今年の読書(26)『マスカレード・ホテル』東野圭吾(集英社文庫)
2月
28日
警視庁捜査一課はその暗号から、第4件目の犯行現場が、「ホテル・コンテルシア東京」だと確信、それぞれの部署にホテルマンとして潜りこ込み、10日以内に決行されると予測される日まで警備体制を敷いています。
容姿から<新田>警部補がフロントクラークとして配置され、ホテルのフロント担当で年下の<山岸尚美>の指導を受けながら、ホテルマンとしてのにわか教育を受けながら殺人犯の捜査に当たります。
殺人事件の推理小説でありながら、ホテル(ウー)マン<山岸>の細やかな応対を通し、ホテルにくる人々は「お客さま」という仮面(マスカレード)を付けての様々なトラブルを描き、プライドの高い<新田>が捜査の第一陣から離れてフロント業務に携わらなけれないけない理不尽さを対比させながら、「その日」を迎えます。
脇役の地元渋谷署の<能勢>刑事もいい味を出しており、ホテルという業界物と殺人事件の刑事物とが合わさり、一冊で二冊分楽しめる面白さでした。