今年の読書(98)『珈琲店タレーランの事件簿2』岡崎琢磨(宝島社文庫)
7月
16日
主人公は24歳のバリスタ<切間美星>で、コーヒーミルをカリカリと回しながら事件の概略を訊き、持ち前の名推理で「この謎、たいへんよく挽けました」の決まり文句で解決していきます。
今回は、東京の美術大学の学生である妹<切間美空>が、夏休みを利用して姉が働く京都に観光旅行と称して出向いてきますが、その裏側には<美空>のある計らいがありました。
外見も性格も正反対の<美星>と<美空>ですが、二人の家庭環境と<美星>の心の傷がわかる構成を主軸に据え、ふたりの関係のおもわぬどんでん返しには、著者の企みのうまさに思わず唸ってしまいました。
本書も、「タレーラン」に持ち込まれる日常の謎を解く<美星>の推理が楽しめる一冊でした。