今年の読書(59)『カソウスキの行方』津村記久子(講談社文庫)
5月
4日
著者は、『ポトスライムの船』にて、第140回芥川賞(2009年下半期)を受賞しています。
表題作をはじめ、3篇の作品が収録されていますが、どの作品も旨いシャンペンを感じさせる味わいで楽しめました。
「カソウスキ」は「仮想好き」の意味であり、本社から郊外の倉庫勤務に左遷させられた<イリエ>は、28歳の独身で彼氏はいません。
倉庫業務は残業もなく、同僚の<藤川>は妻子持ち、もう一人の<森川>が独身だと言うことで彼氏と仮定して仕事に励んでいる心情を、明るく描き切っています。
他の二作品についても、20代の男女の恋愛感が素直に語られており、ストイックでユーモアのある語り口がどの作品にも感じられ、さわやかな読後感が残りました。
投稿日 2014-05-05 06:42
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2014-05-05 06:51
ワオ!と言っているユーザー