広告の良し悪し ~心に届く広告とは~
「良い広告とは何か?」
この問いに対して、私は日々多くの広告を見ながら、常に考えています。
広告と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは「商品の特徴や機能を伝えるもの」でしょう。たとえば「この製品にはこういう機能があります」「他社製品と比べてこれだけ優れています」といった内容です。もちろん、それは広告の基本であり、必要な情報であることに違いありません。
しかし、私はこのような広告は、正直あまり効果がないのではないかと思っています。なぜなら、製品の機能を説明するだけなら、パンフレットやWebのカタログを見れば済む話だからです。それをあえて広告でやる必要があるのでしょうか?
広告には、それ以上の役割があるべきです。
機能ではなく「体験」を伝える
では、どのような広告が良い広告なのでしょうか。私が考えるひとつのポイントは、「お客様の目線で語られる広告」です。たとえば企業が「この機能はこうです」と説明するのではなく、「実際に使っているお客様が、こんな便利な体験をしました」というような構成にすること。これはいわゆる“ユーザーストーリー型”の広告です。
そうすることで、商品そのものではなく、それを使ったときの「実感」が伝わります。見ている人も、「自分もこういう体験ができるのかもしれない」と想像することができ、共感が生まれます。
しかし、それでも伝わるのはあくまでも「理屈」であり、左脳で理解する情報にとどまります。
右脳に訴える広告とは?
では、右脳、つまり感情や直感に訴える広告とはどんなものでしょうか?
わかりやすい例が「ビールの広告」です。
ビールのCMを思い出してください。ビールの醸造方法や原料の詳細を熱心に語るものは、あまり見かけませんよね。
代わりに、登場するのは——
- 夕暮れの海辺で友人と笑い合う人たち
- 仕事帰りに乾杯してホッとする瞬間
- 家族と一緒に過ごす夏のバーベキューの風景
つまり、商品そのものではなく、「その商品を使って得られる時間」や「その商品とともにある幸せな記憶」を伝えているのです。
これは、見る人の感情に強く訴えかける広告の形です。実際にビールを飲むと幸せになる、という保証はありません。でも、そのイメージを想起させることが、広告の目的なのです。
人は「感情」で動く
車の広告もそうです。性能や価格を前面に押し出すよりも——
- その車に乗ってドライブしている風景
- 家族と旅行に出かけている笑顔
- 恋人と夜景を見に行く静かな時間
こうしたイメージを通じて、「この車に乗ることで自分もこんな体験ができるかもしれない」と感じてもらう。これが右脳に届く広告です。
ブランド商品の広告、ファッション広告、住宅リフォームの広告なども同じです。人は「この製品を持っていると、自分がこう見える」「こう感じる」という“感情の価値”に惹かれるのです。
まとめ
広告は「物」ではなく「夢」を売ること。良い広告とは、製品のスペックを伝えるだけではなく、
- 「この商品を手にしたら、あなたの生活がどう変わるか」
- 「どんな気持ちになれるか」
をイメージさせるものです。
人は「欲しい」と思って買うのではなく、「なりたい自分」を想像して買うのです。だからこそ、広告には「情報」ではなく「夢」が必要です。そして、その夢がリアルであればあるほど、人の心に届くのです。
広告は単なる宣伝ではありません。それは、人の心に触れ、動かすための「ストーリーテリング」なのです。
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内倉憲一(うちくらけんいち)
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