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地域医療の見え方  2015.Dec.2;1(46)

スレッド
[お知らせ]
いつも地域医療の見え方をご利用いただき、誠にありがとうございます。12月より、当ブログ編集方針を若干変更したいと思います。

当ブログは毎週水曜日に、エビデンスレビュー、論文要約、症例報告という3つのセクションを編集し、ジャーナルスタイルで更新を続けてきました。しかしながら管理者の都合上、編集作業を確保する時間が厳しくなってまいりました。当面は毎週更新が相当困難になるものと予測します。またエビデンスレビュー作成もかなり時間的な負担となっており、今後は簡易レビュー、文献紹介の2つのセクションで編集を行い、月に2回の更新を目標に継続してまいりたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

地域医療の見え方:管理人 青島周一

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1. CLINICAL EVIDENCE SUMMARIES
-[Clinical script]カルシウム拮抗薬による浮腫とカスケード-
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[イントロダクション]
カルシウム拮抗薬による末梢の浮腫は比較的コモンな有害事象と言える。1980年から2011年までに報告されたランダム化比較試験106研究のメタ分析[解析対象99469 人、平均56 歳]によれば、コントロールもしくはプラセボに比較して、カルシウム拮抗薬で有意に浮腫が多いと報告されている。 3.2%(95% CI 3.1 to 3.3) 対10.7%(95% CI 10.6 to 10.9)またそのリスクは用量依存的である。低用量に比べて、高用量で有意に多い。5.7% (95% CI 5.5 to 5.9) 対16.1% (95% CI 15.9 to 16.3) また非ジヒドロピリジン系に比べて、アムロジピンなどのジヒドロピリジン系で有意に多い。3.1% (95% CI 2.8 to 3.4) 対 12.3%, (95% CI 12.2 to 12.5)つまりカルシウム拮抗薬の浮腫リスクは、高用量、ジヒドロピリジン系で高い。[J Hypertens. 2011 PMID: 21558959]

[浮腫を改善するための介入]
カルシウム拮抗薬の減量+ARB/ACE-I という方法がある。25のランダム化比較試験のメタ分析(解析対象17,206人、平均56歳 男性55% 、平均追跡9.2週) によれば、カルシウム拮抗薬単独に比べて、ARB/ACE-Iの併用で抹消浮腫が有意に少ない。(相対危険0.62; 95%0.53-0.74)  間接比較ではあるが、ACE阻害薬ではARBに比べて有意に浮腫リスクが低い(相対危険0.74; 95% CI, 0.64-0.84) サブグループ解析ではACE阻害薬の併用で相対危険0.46,(95% CI 0.37 to 0.58;)ARBs の併用で相対危険0.79,(95% CI 0.64 to 0.97)であった。したがってカルシウム拮抗薬の減量とともにACE阻害薬を追加することで、降圧作用を弱めることなく、浮腫軽減が期待できる。[Am J Med. 2011 PMID: 21295192]

[単に薬剤を追加すればよいのか。過治療を意識せよ]
降圧薬を2剤併用することのデメリットが報告されている。80歳を超える高齢者施設入居者を対象とした縦断研究では収縮期血圧130mmHg未満の状態で降圧薬2剤以上使用すると死亡リスクが増加すると報告されている。(ハザード比1.78[95% CI, 1.34-2.37])[JAMA Intern Med. 2015 PMID: 25685919] 高齢者における降圧療法のエビデンスは限定的であり、基本的にはHYVET試験のみである。[N Engl J Med. 2008. PMID: 18378519][JAMA. 2015 PMID: 26172896] 高齢者においてはカルシウム拮抗薬やARBの有用性は厳密には検討されていないと言えよう。ARBではむしろ有害リスクの懸念すらある[Am J Hypertens. 2015 PMID: 25391580]

[降圧療法の過治療。糖尿病を有する高齢者での実態]]
米国退役軍人局のデータより糖尿病を有する高齢患者における高血圧の過治療に関する後ろ向きコホート研究が報告されている。研究対象は70歳以上の糖尿病患者211667人
・非常に低い血圧(血圧120/65 mm Hg未満)でコントロールされている患者群81 226人における治療軽減は, 18.8%
・中等度に低い血圧(収縮期血圧120 〜129 mm Hg もしくは 拡張期血圧 65 mm Hg未満)でコントロールされている患者群25 955人における治療軽減は16%。
・血圧が低くない患者群104 486人での治療軽減は15.1%
米国高齢糖尿病患者での治療軽減は2割に満たないという実態である。[JAMA Intern Med. 2015 PMID: 26502220]

なお近年では、降圧療法は厳格にしたほうが、ベネフィットがあるという報告がなされている。[N Engl J Med. 2015 PMID: 26551272][ Lancet. 2015 PMID: 26559744] しかしながら80歳を超えるような高齢者における厳格な血圧コントロールについては議論の余地があるだろう。単に浮腫があるからといって薬剤を追加するのではなく、そもそもカルシウム拮抗薬の減処方も考慮したい。[JAMA Intern Med. 2015PMID: 26301603] カルシウム拮抗薬は高齢者には潜在的に不適切な処方である。 [Int J Clin Pharmacol Ther. 2008.PMID:18218287]

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2. CLINICAL EVIDENCE SYNOPSES
-注目論文の紹介です-
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[文献]医療費が高い医師は訴訟を受けにくいのか(BMJ メタ分析)PMID:26538498

Jena AB.et.al. Physician spending and subsequent risk of malpractice claims: observational study. BMJ. 2015 Nov 4;351:h5516. PMID: 26538498
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26538498

[研究課題]医療費が高い医療を提供する医師は医療過誤訴訟のリスクが低下するか?

[方法]フロリダ州にて2000年から2009年までの間に、急性期ケアで入院したデータを用いて、医師の医療過誤の記録を調べた。7つの専門分野における医師において、高額な入院費用が、医療過誤訴訟リスクにつながるか検討した。なお、患者特性、併存疾患、および診断で補正した。

[研究結果とその限界]24 637人の医師(年間154 725人の医師)、18 352 391件の入院データ、4342件の医療過誤訴訟を解析した。その結果、医療費の高い医師ほど、医療過誤訴訟リスクが低下した。例えば、内科医師において、医療過誤訴訟を経験する確率は、入院あたり$19 725で1.5% (95% 信頼区間1.2% to 1.7%)、入院あたり$39 379で0.3% (95%信頼区間0.2% to 0.5%)であった。6つの専門領域で、より多くの医療費を使うことが医療訴訟リスクの低下に統計学的に関連した。しかし、医療費に影響しうる疾病の重症度に関する情報が欠けていたという研究限界がある。

[この研究で追加される知見]医療費の高い医療を提供することは医療過誤訴訟の低下に関連する。

[コメント]近年話題に取り上げられることの多いポリファーマシーの問題。その有害性は複数の研究で示唆されており、何らかの介入が必要であろう。しかしながらその介入効果については議論の余地がある。薬剤費用や薬剤剤数こそ減らす可能性はあるものの、臨床アウトカムについては不明なのである。[J Am Geriatr Soc. 2014 PMID: 25243680] [Cochrane Database Syst Rev. 2014PMID: 25288041]

医療現場に目を向ければ、既に多剤併用となっている患者の減処方には多大な労力がかかってしまうという現実がある。医療経済的にはメリットが想定される減処方だが、患者への対応として、時間的、人的コストがかさむ。ただ処方通りに薬をもらっていくこと、実際にはそれで医療が回っているという側面が医療経済面と独立して存在しているだろう。減処方による有害事象リスクすらありうる。ポリファーマシーであっても幸せに過ごしている人もいるわけで、単純な減処方が、どれほどベネフィットがあのか、一律な答えは出ないようにも思える。

本研究はフロリダ州の入院データベースを用いた観察研究で、一般内科、専門内科、家庭医療科、小児科、一般外科、専門外科、産婦人科の7つの診療科医師の過去の記録を検討したものだ。医療にコストをかける程、訴訟のリスクが低いという結果になっている。

[文献]催眠鎮静薬の交通事故リスクは飲酒運転に例えると?[コホート研究PMID: 26066943]

Hansen RN.et.al. Sedative Hypnotic Medication Use and the Risk of Motor Vehicle Crash. Am J Public Health. 2015 Aug;105(8):e64-9. PMID: 26066943
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26066943

[目的]催眠鎮静薬の使用と自動車事故の関連性を検討する。

[方法]ヘルスケアシステムより催眠鎮静薬の新規使用者409 171人のコホートを用いた。21歳以上でワシントン州にて自動車運転免許を取得した人を研究対象とした。

[結果]催眠鎮静薬はコホート全体の5.8%が使用した。交通事故リスクはトラゾドンの新規使用でハザード比 1.91 (95% CI = 1.62, 2.25)、ゾルピデムの新規使用でハザード比= 2.20 (95% CI = 1.64, 2.95).であった。これらのリスク推定値は、血中アルコール濃度0.06~0.11%に相当する。

[結論]催眠鎮静薬の使用は交通事故リスクに関連する。長期間処方せざるを得ない場合には、このようなリスクを十分に考慮すべきである。

[コメント]薬剤の使用と交通事故リスクを検討した論文は多い。以下の主要なものを上げておく。
心房細動▶[Int J Cardiol. 2015 PMID: 26126057]
携帯電話▶[BMJ. 2005. PMID: 16012176]
向精神薬▶[J Am Geriatr Soc. 2011. PMID: 21883110]
ベンゾジアゼピン▶[Drug Saf. 2011. PMID: 21247221][ JAMA. 1997. PMID: 9207334]
血糖コントロール▶[PLoS Med. 2009. PMID: 19997624]
処方薬全般▶[PLoS Med. 2010. PMID: 21125020]
カフェイン▶[BMJ. 2013. PMID: 23511947]
抗てんかん薬▶[J Clin Pharmacol. 2013. PMID: 23426609]
抗うつ薬▶[J Clin Psychiatry. 2012. PMID: 22967773][ Br J Clin Pharmacol. 2013 PMID: 24148104]
喫煙▶[Inj Prev. 2000 PMID: 11144627]

本研究の面白いところはアルコールの血中濃度相当量が抄録に記載されているところである。「These risk estimates are equivalent to blood alcohol concentration levels between 0.06% and 0.11%.」
0.06~0.11%とは概ね「ほろ酔い」相当だと言われている。ビールで約1~2本飲酒した状況だ。つまりビール1~2本でも交通事故リスクは約2倍になるとも言える。飲酒と交通事故リスクについては別の機会に調べてみたい。

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3. EDITORIAL NOTE
-編集後記-
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誠に勝手ながら今月より編集スタイルを変更させていただきました。ブログ記事作成に欠ける時間が確保できないのも理由の一つですが、もう少し丁寧に論文を読みたいという思いもあります。実際に丁寧に読めているかどうかは別かもしれませんが、当面はこのようなスタイルで更新を続けたいと思います。引き続きよろしくお願い申し上げます。
#学校 #教育 #受験 #外国語 #科学

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