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Forest Aesthetics 森林美学 鷹

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森をぬけたところで
頭上からの視線を感じた

見上げると鷹が舞っている
空に浮かび,こちらを睥睨している

オオタカと呼ばれる
実にスタイリッシュな猛禽類である

なんという美しいフォルムだろう
鷹狩の際,殿様が最も愛した鷹である

この姿に孤高の美を感じるのは
なにも武将だけでもあるまい

深山幽谷の森に棲む珍しい鳥かと思われがちだが
むしろ耕地の防風林や雑木林など
人の生活圏に近い「森のかけら」で出逢える機会が多い

されど木々のあいまを潜行するように飛び動くから
そうそう目につくわけでもない

森の鷹の美を堪能するには
近隣のちょっとした森や林の
その梢あたりをただじっと見つめながら
ひたすらに待つのがよかろう

むかし,そんな仕事をしていたことがある
鷹を待つ仕事である

そんな仕事があるものかと思う人もいるだろうが
そういう仕事があるのである

世の中にはいろいろな仕事があるものだ

いたって呑気な仕事のようだが
わたしには長くつとまらなかった

あくまで個人的嗜好としてだが
待って見る喜びよりも
偶然の出逢いの喜びの方に重きを置いてしまう

待ってまで見るほどの
待ちわびるほどの
そこまでの情熱を対象に持てないのだろう

待つという行為を伴っても対峙したいと思う
そんな相手が自分にはあるかと問うてみる

こころもとない
待てない
待つほどのことはない,とすぐに思ってしまう

そのくせに
正体のよくわからないなにかを
もうずっと待っているような気もする




















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Forest Aesthetics 森林美学 草の美

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               ...                                           © Daisuke Kawai



麗しい緑に染められた
夏草のデザインを
眺めているうち
こんなことを想った

自然に対する
「観察」
「観賞」
「観想」
という態度
それは自然というものを知覚し
そして思考する人間からのまなざしそのものである

それはやがて
目に見えぬ聖なるものをも探り出し
畏敬という想念を生む

それはやがて
森の底で蠢くものどもが
宇宙的に融和していく原初性をも見いだしていく

森羅万象へと向ける深く広いまなざしは
それゆえに,どこか宗教的なものとなる

その表出の一端が
きっとアートと呼ばれるものだろう
自然の模倣を,人工的創造へと
感性的・技術的に転換する瞬間である

アートとは,その元素となった自然を
改めて批評的に観察することを
つよく促す力を秘めたものでなくてはならない




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Forest Aesthetics 森林美学 夏草

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               ...                                           © Daisuke Kawai




自然と向きあう,というと
とかく人間に対する巨きな存在としての自然が想定される
日常ではなかなか遭遇することも接点を持つこともない
いわばふだんの暮らしとは対極に位置する行為として

だが冒険や探検やサバイバルを通さなければ
人は自身の身体および精神に攪乱を及ぼすような
根深い自然体験ができないかといえば
実はそうでもないのではないか

むしろ自然体験を特殊なものとしてカテゴライズすることで
自分の日常から遠く離れた,まず無関係なものとして考える
そうした思考の癖がついているだけなのではないか

森の底に繁茂する
名も知らない(名もなき,ではない)草を観察する
ただの草である
よくある草である
なんの価値も魅力もない草である
そういう既成の概念を
いちどクリアするということは
想うほどには容易でもないにせよ
観賞する・観想するといった行為を通し
やがてある種の精神性・身体性がともなってくることがある
そういう試みを,人は身近な場所でも行うことが可能である

もちろん巨大な山岳,大原生林,大河,大海原を
日常のつながりとしての事象として身体感覚でもって捉え
それをひたひたと実感することなどできない

しかし小さなとるにたらない自然の一端が
どこかに,なにかにつながっているという
不思議な端緒の実感というものは
案外なところで口を開けていることがある

そんなふうに想わせる小景というものが,確かに在る





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Forest Aesthetics 森林美学 樹花と虫

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               ...                                           © Daisuke Kawai



オオバクロモジという
ブナの森の常連ともいうべき低木に咲いた
クリーム色の地味だけれど可憐な花に
どこからともなく羽虫がやってきた

ただそれだけのことなのに
その光景が妙に心に焼きついてしまう

ほのかな木洩陽をはらむように
うすぼんやりと輝く花の姿だけであったなら
こんなにも視点がさだまったろうか

ひとは
あるものとあるものの「関係」に
心魅かれるのかもしれない










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Forest Aesthetics 森林美学 傘の下

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               ...                                           © Daisuke Kawai



柄が二本あるが
傘の部分がひとつに融合している
不思議なかたちのきのこがあった

下からのぞきこんでみると
それぞれの白い柄に
ひとつずつ黒い蟲がついていた

傘はひとつだが柄は二本あるのだから
蟲が二頭いたっていいわけだ










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Forest Aesthetics 森林美学 渦蜘蛛の巣

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ずいぶん変わったデザインの蜘蛛の巣だと思い
きっと珍しいものだろうと思っていたら
どうやらそうでもないらしい

渦巻状の巣を張るので渦蜘蛛というのである
蜘蛛は渦の中央でじっとしていて目立たない

普通の蜘蛛の巣にも幾何学的な魅力を感じているのだが
渦蜘蛛の巣にはよりアーティスティックな様式美がある

蜘蛛が芸術的であろうとしているのかどうか
そんなことはわからないし,おそらくそうではないのだろうが
あまりのオリジナリティと
あまりの精密さに舌を巻く

生きる糧を得るためのものが
結果的に芸術的であると感じ入る
それが人に独自の感覚なのだといいきれる根拠はあるのだろうか














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Forest Aesthetics 森林美学 草鞋虫

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草鞋虫と団子虫というのがいるのだが
それらのちがいがよくわかっていない
こいつはたぶん草鞋虫と呼ばれる方だ
霧の森ではこんなものにもよく出逢う

植木鉢を持ち上げると,ごそごそしている
古い木造のアパートずまいだったころには
廊下や壁をよくごぞごぞしていた気もする

庭や家屋で目にする時の印象とは
ちょっとちがってみえるのだから
相手の陣地にいるせいもあるのか

こういう生きものも,森にはいる
どういう生きものがいたってよい





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Forest Aesthetics 森林美学 貝殻

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               ...                                           © Daisuke Kawai




貝殻とは海辺に行かねば拾えないものと思っていたが
森の底にも転がっているものなのだとはじめて知った

かたつむり,とはまたちがったものである

鈍い銀色の光をおもおもしく放った
その森の巻貝の殻は
もともとそういう色であったのか
それとも長いあいだに擦り切れて
そういう味を出すようになったのか

いずれにせよこの森の貝殻が
森の底にひっそり融けてゆくのには
あとどのくらいの歳月が必要なのであろうかと

そんなせんないことを
ただつらつらと考えている









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Forest Aesthetics 森林美学 蝦蟇蛙

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               ...                                           © Daisuke Kawai




霧の森の底に坐っていると
いろいろなものに出逢える

実に立派な面がまえをした
蝦蟇蛙がのっそり登場した

蝦蟇と書いて がま と読むという
蟇蛙と書いて ひきがえる と読む

どちらにもある この 蟇 という字面が
この妙に存在感ある生きものを表している

おぬし このような場所でいったいなにをしておる
あらわれた主がそう問うてきたような気がしたので

いやとくになにをしているというわけでもないのだ
そう答えつつ がまがえる と ひきがえる では

いったいどちらの呼び名のほうがよいであろうかと
そんなどうでもよいことをただつらつら考えている







ワオ!と言っているユーザー

Forest Aesthetics 森林美学 尺取虫

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               ...                                           © Daisuke Kawai



霧の森の底に坐っていたら
目の前の濡れた木の葉の裏
尺取虫がのそのそしていた








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