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Forest Aesthetics 森林美学 しるし

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底をつたう小さな流れにたゆたう白いふくろ
鳥の排泄物
尿酸の固まり
ここに生きものひそんでいるしるしだ

巣孔の中から,親鳥がくわえて運び出したもの
視線を足下から頭上へ移す
ホラ樹の幹にあいた巣孔

巣下への糞の散乱は
そこに脆弱な生のあることを指し示す
だからふだんはもっと遠くに捨てにいくはずなのだろうが
眼下は水洗だったせいだろうか
親はひょいと孔から顔を出すと,そのまま放り出していた

生きもののいるしるし
鳥の糞だといってしまえばただそれだけのことだが
こんなものでもじっと観ていると
いろいろな想念が湧いてくる

生きもののいるしるし
それじたいがアートなのだ





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Forest Aesthetics 森林美学 びいどろ

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨の日の森のびいどろ
無数の水の硝子窓を前にして,わたしはしばし考える
これらはいったいどこから来て,そしてどこへゆくのか
もともとはどういうものであって,これからなにに変わるのか

深い谷や湖面から湧き上がっていた霧
森から落ちてきた水滴とは
はたしてどのような関係にあるのだろうか
いま,わたしの身体が欲している水と
どのような結びつきがあるのだろうか
それよりもなによりも
このびいどろの妖しさときたらなんなのだろうか

めぐる水のはるかな旅路に陶然とし
水をめぐる哲学を前に悄然と立ち尽くす
水の玉を限りなく美しいものと感じ
限りなく善きものであると解し
まごうことなき真実の存在であると受けとめて
それを心から讃えるとき
目の前でゆらいでいる蒼ざめた球体が
無数の神さまのように視えてくる

ああ,そうか
やっぱりそういうことだったのかと
心の深いところでどういうわけか得心し
祈るような思いで感性の筆先に神経を集中させる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぎやまん

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨が降っている
樹の幹を,天の水が伝い流れている
雨の森には,無数の小さな川が生まれるのだ

その足下に,ぶくぶくと泡が立っている
その繊細な盛り上がりこそは,ぎやまんなのである
無数のステンドグラスなのである

そこには見えないはずの森の青が映っている
いったい,この宗教的なテイストときたらなんだ

自然のいちばん繊細な手仕事は
小さなもののなかに見られる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぷるぷる

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               ...                                           © Daisuke Kawai


雨が降る
霧が満ちる

楓の稚樹の葉の上に
ぽつり ぽつりと落ちた
透明なしずくが結びあって膜をはり
ぷるぷる ぷるぷる
ゼリーのようにゆれている

水の気配に満ちた森は
こうして生まれるのだ

豊穣の原点を
見たような思いがした



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Forest Aesthetics 森林美学 ブナの落花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



春のブナ林の底に見つけた落花ひとつ
こういうものを目にすると
森は美しい,と思う
そうして 森林美学 という言葉をいつも想う
おのれにとっての森の美とはどういうものなのか
そんな自問自答が,ひっそりと愉しい

  ***

そもそも森林美学という言葉は
人がつくった森(人工林)の施業論であり
あくまでも林業的な概念なのであって
この言葉の輸入元であるドイツの原著も
「人工林の美」を主題としたものだった

林業的な意味においての森づくり指南として
人工林の美的な在り方を論じたものだった
天然の森の景観美を論じたものではなかった

しかし明治時代,ドイツに留学し
この概念を日本に持ち込んだ人物は
それをそのまま愚直に紹介するのではなく
日本流に換骨奪胎して発表した
それが森林美学である
なんと大正時代にベストセラーになったという
森の美というものに
当時の人びとはそれほど関心があったのか

そこにはドイツの原著・原論にはなかった
日本と森林美だとか
美の概説・概観・形式・美的感情だとか
天然美と風景だとか
芸術美と自然美だとか
風景と其要素だとか
樹木の美的価値やら樹木の美性一般などなど
そんなことが綴られている

  ***

自然のいちばん繊細な手仕事は
小さなものの中にみられる
大きな自然は,小さな自然が集まってできているからだ

カメラを持って,森に出かけてみるといい
マクロ撮影にたけたコンパクトなデジカメがちょうどいい
ついつい見逃しがちな造形や現象の中に
想像以上の美と驚きが待っている

全体を観る・知るために,個を観る・知る
個を知るために,全体を観る・知る

やがて森の美しさが滲みてくるだろう
景観生態学や風景論といったものへの関心も
ゆらゆら湧いてくるだろう





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Forest Aesthetics 森林美学 落花

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ぼんやりした街暮らしに耽溺していたころ
わたしは樹に花が咲くことを知らなかった

そこは孤島のような森のかけらではあったが
そこは確かに森であった

たくさんの樹が思い思いに立ち並んでいた
たくさんの花が枝先にひしめきあっていた

やがて季節がほんのすこしだけ身ぶるいすると
たくさんの樹花が,今度は樹下を飾っていった

樹下の水たまりに集まって浮いたそれは
ことのほか美しかった
わたしは樹にも花が咲き
そして美しく落花するのだということを
はじめて学び,実感した






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Forest Aesthetics 森林美学 若木

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底
午後の最後の照射を浴びて
若木の新緑が浮かび上がっている
まるで舞台照明のようで
いやにドラマチックな立姿だった






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Forest Aesthetics 森林美学 森の夢

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底には,トクサがたくさん生えているのである
直立して群生する,シダの仲間なのである

午後の斜光のもとで目にしたその光景は
まるで森が夢をみているようだった

森は伝えたかったのだ
自分たちも夢を見るのだということを
こんなにも素敵な夢を見ているのだということを










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Forest Aesthetics 森林美学 槍ノ穂木毛

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               ...                                           © Daisuke Kawai

ひょっとして
ガウディにあのインスピレーションを与えたのは
君だったのか

偉大な本,常に開かれ,努力して読むに値する本,
それは大自然の本である ―Antoni Gaudi









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Forest Aesthetics 森林美学 シダの葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai



シダが森の底に緑の海を形成している
面でとらえず,点で観る
ひとつひとつを注視していく
種類により,葉の広げ方のスタイルが異なっている

バスケット状に
あるいは噴水状に葉を伸ばしている
オシダを上から覗き込んでみる
その名にたがわず
雄々しく,ダイナミックに展葉している

それよりもなによりも
この幾何学的な,あまりに幾何学的な雰囲気ときたらどうだ

相似形と入れ子のシンプルにして複雑なデザイン
質朴にして崇高な数学者に邂逅した思いで嘆息する






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