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Forest Aesthetics 森林美学 痕跡

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               ...                                           © Daisuke Kawai



これは大きなヤマナメクジの這った痕である

森の底にじっと坐っていると
だんだんこういうものにも目が向くようになってくる

そんなもの,ふつう人はじっくり見たりはしない
丁寧にものを観る,というのはだいじなことである
それが案外できていない 案外とできない

そうでなければヤマナメクジが一流のアーティストなのだということが
かくも世間で理解を得られない,などということはないはずであるから

もっとも,当のナメクジにしてみれば
自分の這った痕が美的であるなどとは
露ほどにも思わぬにちがいあるまいが




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Forest Aesthetics 森林美学 森の底の白い珊瑚

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               ...                                           © Daisuke Kawai


森の底で白い珊瑚が蠢いている
粘菌だとか変形菌などと呼ばれている

菌類でもなく
植物でもない
不思議なもの

エダナシツノホコリという名称を持つ
枝の無い,角の埃 の意

わたしならば
モリノソコシロサンゴモドキと名付ける
森の底の白い珊瑚に模したもの、だ

森陰のあちこち
ふつうでは見えざるところで
無数の小さなものどもがひっそりと呼吸している

森は生命の坩堝であるということ
それは美しくもあり,おぞましくもある
崇高でもあり,荘重でもあり,不気味でもある

されどわたしはそのブキミさを愛する





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Forest Aesthetics 森林美学 森の底の紅い珊瑚

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底で紅い珊瑚のようなキノコを見つけた

樹間をぬって差し込んでくる
午後のかすかな斜光を浴びて
頬を紅く染める瞬間が素敵だ

いろいろなかたち,さまざまなありよう
それは途方もない歳月を噛み砕いてきた
進化というものの経過のひとつであるとは
シゼンカガクの説明するところではあるが

やはりこういうものを拵えるのがお好きな
造物主なるものの背中を想わないわけにはいかない

森の底は,奇天烈な美の宝庫である





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Forest Aesthetics 森林美学 ウスキブナノミタケ

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               ...                                           © Daisuke Kawai


ひょろりと背たかのっぽのキノコ
ウスキブナノミタケ
薄くて黄色のブナの実の茸

地面に落ちたブナの実から出てくる
ブナの実が豊作の年の森の底には
このキノコがたくさんたくさん顔を出す

ブナの実は栄養価が高い
動物たちの糧となる

たくさんたくさんつくっても
たくさんたくさん食べられてしまう

毎年毎年,同じように実をつくっていては大変である
なので数年おきに実の「なり年」をつくることにした

あまり実をつけない年を何回かくりかえすことで
自分を食べることで生きているものを飢えさせる

そのかわり,いざ実をつけるというときには
今度は食べきれないほどの量を一気につくる

もちろん、落とした実のすべてが生長できるわけではない
昆虫に食べられたり,地上や地中の菌におかされたりする

ウスキブナノミタケは
そんな菌類のひとつである

森に降るブナの量を調整しているのだろうか
分解しづらそうな実を
土に還す役割に徹しているのであろうか

細く小さな一本のキノコからも
森のつながりあいが見えてくる




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Forest Aesthetics 森林美学 キノコの宇宙

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               ...                                           © Daisuke Kawai




偶然のぞき込んだ
折れた朽木の内部
タヌキノチャブクロ(狸の茶袋)なる
まんまるのキノコがたくさん生えていた

ずいぶんおかしな名前の菌類である
まあるいかたちを
<ぽんぽこたぬき>になぞらえたものか

そう思っていたら
ホコリタケの別名である
キツネノチャブクロ(狐の茶袋)
なるものに対する名称らしい

即席ラーメンではあるまいし
たぬきでもきつねでも
どちらでもいいような気もするが
いずれも胞子を煙粉状に噴出させる
ホコリタケの仲間だ

成熟してぱんぱんにふくれた袋に
雨滴などがあたると
その刺戟で胞子が噴き上がる
そのさまが呪術的な印象を与えたのだろう
人を化かすものの代名詞である
狐狸のイメージへとつながったのだろう

しかし朽木の薄闇に浮かび上がっていたそれは
きつねでもたぬきでもなく,惑星だった

あんぐりと口をあけた
ほの暗い洞の中へ差し込んだやわらかな斜光
かそけきひかりに照らされたそれは
まさしく宇宙的な存在だった

呪術的な狐狸というのもなかなか面白い見方であるが
森の底の小さな宇宙に浮かぶ惑星というのも味がある

観る者の想像力次第で
自在にその印象を変化させる
自然界の造形物が秘めている
その喚起力には常に驚かされる

森散策の愉楽は
ときにこうして
宗教的でもある




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Forest Aesthetics 森林美学 秘密

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               ...                                           © Daisuke Kawai




きのこの秘密を知りたいと思うのなら
その傘の裏側をのぞきこんでみたまえ







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Forest Aesthetics 森林美学 小人の群れ

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               ...                                           © Daisuke Kawai



苔の褥から伸び上がった胞子体が
木洩陽に透き通った姿で
そよそよと森をぬける風に揺れている

それは三角帽子の小人たちが無数に集まり
ざわざわとなにごとか話し合っているような
そんなことを想わせる眺めだった





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Forest Aesthetics 森林美学 苔の褥

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               ...                                           © Daisuke Kawai



苔が覆っている
樹木の根を
岩石の壁を
黒土の表を
みっしりと覆い尽くしている

それは原初的な
きわめて原初的な繁茂の姿だ








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Forest Aesthetics 森林美学 水が流れている

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               ...                                           © Daisuke Kawai



水が流れている
しかし岩上にむした緑苔が剥がれることはない

この風景が意味することはなにか
わたしたちはそこからなにを読み取るべきか

ありふれたものから,気高いものを
かたちをなさないものから,美しいものを

森羅万象を認知し,意識し,展開させること
それが森を観るということの愉しみ,その真髄

乾ききった死の世界を豊饒の大地に変えたのは水の動き
その水に呼応し,世界を紡いでいった小さなものたちの在り方

冬の滝の岩壁にはりついた苔の群れのひとつひとつが
雲霧のごとき飛沫をとらえ,無数の冷たいオブジェを生みだす

やがてそれらが季節と共に流れの一端に加わり,
海へ向かって一体化し,
ふたたび雨霧として舞い戻るドラマには
科学と芸術の幸福な両立がある

諸行無常
できあがったものが硬化してしまわないよう
自然は常に永遠の活動を働かせている

森の底を水が流れているように
人のなかにも水が流れている






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Forest Aesthetics 森林美学 青い花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



そうそれは森のどこにでもある
いたってふつうの青い花であり
野生の紫陽花というだけのもの

しかしどうしてかその花が袖を引く
くいくいと袖を引く
立ち去ろうとしても,できない
見過ごすことができない

凝視することによって顕現してくる青は
それまでの青とはどこか異なって見える

聖なるもの
それはこうして不意に顕れるものなのか





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Forest Aesthetics 森林美学 花の霊性

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               ...                                           © Daisuke Kawai



ねえ,これってエクトプラズム?
そんなことをいった少女がいた

非科学的なことをいうな
そんな非難の声が聴こえてきた

ごもっとも

ただそれがもし,眼には見えぬ聖なるものへの
畏敬から出た素の言葉であったとしたならば?






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Forest Aesthetics 森林美学 篝火

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森の底に差し込んだ幽かな木洩陽を受け
奇天烈なデザインを誇っている花の筒が
篝火のようにぽっと浮かび上がっている

銀のストライプは,きっと昆虫を
誘致するための仕掛けなのだろう

案外と昆虫にも美がわかるのかもしれぬ
輝く縦筋が,密や花粉といった
即物的な欲求を刺戟するだけのものと
いったいどうしていいきれる 

なにもこの妖しい美しさに絡めとられるのは
昆虫だけではあるまい,と強く思うのである







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Forest Aesthetics 森林美学 見る,見られる

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               ...                                           © Daisuke Kawai


森の底にたたずんでいた蘭
はなやかな色あいなれど
どこか妖しい

凝視していると
向こうもこちらを見返していることに気づく

こちらが見ているだけではない
あちらもこちらを見ているのだ






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Forest Aesthetics 森林美学 しるし

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底をつたう小さな流れにたゆたう白いふくろ
鳥の排泄物
尿酸の固まり
ここに生きものひそんでいるしるしだ

巣孔の中から,親鳥がくわえて運び出したもの
視線を足下から頭上へ移す
ホラ樹の幹にあいた巣孔

巣下への糞の散乱は
そこに脆弱な生のあることを指し示す
だからふだんはもっと遠くに捨てにいくはずなのだろうが
眼下は水洗だったせいだろうか
親はひょいと孔から顔を出すと,そのまま放り出していた

生きもののいるしるし
鳥の糞だといってしまえばただそれだけのことだが
こんなものでもじっと観ていると
いろいろな想念が湧いてくる

生きもののいるしるし
それじたいがアートなのだ





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Forest Aesthetics 森林美学 びいどろ

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨の日の森のびいどろ
無数の水の硝子窓を前にして,わたしはしばし考える
これらはいったいどこから来て,そしてどこへゆくのか
もともとはどういうものであって,これからなにに変わるのか

深い谷や湖面から湧き上がっていた霧
森から落ちてきた水滴とは
はたしてどのような関係にあるのだろうか
いま,わたしの身体が欲している水と
どのような結びつきがあるのだろうか
それよりもなによりも
このびいどろの妖しさときたらなんなのだろうか

めぐる水のはるかな旅路に陶然とし
水をめぐる哲学を前に悄然と立ち尽くす
水の玉を限りなく美しいものと感じ
限りなく善きものであると解し
まごうことなき真実の存在であると受けとめて
それを心から讃えるとき
目の前でゆらいでいる蒼ざめた球体が
無数の神さまのように視えてくる

ああ,そうか
やっぱりそういうことだったのかと
心の深いところでどういうわけか得心し
祈るような思いで感性の筆先に神経を集中させる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぎやまん

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               ...                                           © Daisuke Kawai



雨が降っている
樹の幹を,天の水が伝い流れている
雨の森には,無数の小さな川が生まれるのだ

その足下に,ぶくぶくと泡が立っている
その繊細な盛り上がりこそは,ぎやまんなのである
無数のステンドグラスなのである

そこには見えないはずの森の青が映っている
いったい,この宗教的なテイストときたらなんだ

自然のいちばん繊細な手仕事は
小さなもののなかに見られる




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Forest Aesthetics 森林美学 ぷるぷる

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               ...                                           © Daisuke Kawai


雨が降る
霧が満ちる

楓の稚樹の葉の上に
ぽつり ぽつりと落ちた
透明なしずくが結びあって膜をはり
ぷるぷる ぷるぷる
ゼリーのようにゆれている

水の気配に満ちた森は
こうして生まれるのだ

豊穣の原点を
見たような思いがした



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Forest Aesthetics 森林美学 ブナの落花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



春のブナ林の底に見つけた落花ひとつ
こういうものを目にすると
森は美しい,と思う
そうして 森林美学 という言葉をいつも想う
おのれにとっての森の美とはどういうものなのか
そんな自問自答が,ひっそりと愉しい

  ***

そもそも森林美学という言葉は
人がつくった森(人工林)の施業論であり
あくまでも林業的な概念なのであって
この言葉の輸入元であるドイツの原著も
「人工林の美」を主題としたものだった

林業的な意味においての森づくり指南として
人工林の美的な在り方を論じたものだった
天然の森の景観美を論じたものではなかった

しかし明治時代,ドイツに留学し
この概念を日本に持ち込んだ人物は
それをそのまま愚直に紹介するのではなく
日本流に換骨奪胎して発表した
それが森林美学である
なんと大正時代にベストセラーになったという
森の美というものに
当時の人びとはそれほど関心があったのか

そこにはドイツの原著・原論にはなかった
日本と森林美だとか
美の概説・概観・形式・美的感情だとか
天然美と風景だとか
芸術美と自然美だとか
風景と其要素だとか
樹木の美的価値やら樹木の美性一般などなど
そんなことが綴られている

  ***

自然のいちばん繊細な手仕事は
小さなものの中にみられる
大きな自然は,小さな自然が集まってできているからだ

カメラを持って,森に出かけてみるといい
マクロ撮影にたけたコンパクトなデジカメがちょうどいい
ついつい見逃しがちな造形や現象の中に
想像以上の美と驚きが待っている

全体を観る・知るために,個を観る・知る
個を知るために,全体を観る・知る

やがて森の美しさが滲みてくるだろう
景観生態学や風景論といったものへの関心も
ゆらゆら湧いてくるだろう





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Forest Aesthetics 森林美学 落花

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ぼんやりした街暮らしに耽溺していたころ
わたしは樹に花が咲くことを知らなかった

そこは孤島のような森のかけらではあったが
そこは確かに森であった

たくさんの樹が思い思いに立ち並んでいた
たくさんの花が枝先にひしめきあっていた

やがて季節がほんのすこしだけ身ぶるいすると
たくさんの樹花が,今度は樹下を飾っていった

樹下の水たまりに集まって浮いたそれは
ことのほか美しかった
わたしは樹にも花が咲き
そして美しく落花するのだということを
はじめて学び,実感した






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Forest Aesthetics 森林美学 若木

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底
午後の最後の照射を浴びて
若木の新緑が浮かび上がっている
まるで舞台照明のようで
いやにドラマチックな立姿だった






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Forest Aesthetics 森林美学 森の夢

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底には,トクサがたくさん生えているのである
直立して群生する,シダの仲間なのである

午後の斜光のもとで目にしたその光景は
まるで森が夢をみているようだった

森は伝えたかったのだ
自分たちも夢を見るのだということを
こんなにも素敵な夢を見ているのだということを










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Forest Aesthetics 森林美学 槍ノ穂木毛

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               ...                                           © Daisuke Kawai

ひょっとして
ガウディにあのインスピレーションを与えたのは
君だったのか

偉大な本,常に開かれ,努力して読むに値する本,
それは大自然の本である ―Antoni Gaudi









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Forest Aesthetics 森林美学 シダの葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai



シダが森の底に緑の海を形成している
面でとらえず,点で観る
ひとつひとつを注視していく
種類により,葉の広げ方のスタイルが異なっている

バスケット状に
あるいは噴水状に葉を伸ばしている
オシダを上から覗き込んでみる
その名にたがわず
雄々しく,ダイナミックに展葉している

それよりもなによりも
この幾何学的な,あまりに幾何学的な雰囲気ときたらどうだ

相似形と入れ子のシンプルにして複雑なデザイン
質朴にして崇高な数学者に邂逅した思いで嘆息する






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Forest Aesthetics 森林美学 はかなき緑

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               ...                                           © Daisuke Kawai



この淡き緑の季節は
いつも一瞬にしておわる
ほんとうに,はかない
それだけに尊い






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Forest Aesthetics 森林美学 水の花

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               ...                                           © Daisuke Kawai


苔の花(胞子体!)の先端についた
ひとひらの雪片がとけて水滴となり
まあるく咲いた,水の花のように見えた
はかなげで
でも,きりきりとみなぎっていて
そうっと覗き込んでみると
そこには残雪の白い森が閉じ込められていて
さらにもうひとしずくがぶらさがっていた




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Forest Aesthetics 森林美学 カケスの春

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               ...                                           © Daisuke Kawai



端正でシックな色あいが
とても和的な印象なので
この鳥の美しさを表現する時には
よく「和菓子のような羽毛」といってみるのです

カラスの仲間であるので,賢そうな顔つきをしています
わたしの通う森で,この鳥を目にする機会が増えるのは春と秋
もしかするとひっそりと,どこかで子育てしているかもしれません

秋になると,小さなグループをつくっているのを見かけます
雪が降る頃には暖地へ移って姿を消し
雪どけの頃になると再び戻ってくるのです

ひらひら、ふわふわ漂うように飛ぶ姿が
よく目立つこともさることながら
この鳥の存在を知らしめるのは,なんといってもそのダミ声
野猿が喚いているようなその声は
容姿とはうらはらにいささか下品な印象も
しかもどうしてか,仲間と集まって大騒ぎするのが大好きな様子
コミュニケーション能力にも長けているのでしょう

ブナの冬芽がふくらみはじめた森に
この鳥の濁った鳴声が響き渡ると
ああ,ここにももうじき緑の波が
怒涛のように押し寄せてくるのだと思い
うきうきした気分になれるのです





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Forest Aesthetics 森林美学 生まれたての葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai



いろいろな季節に
いろいろな魅力があるのだけれど
自分がいちばん好きな季節は
森がまだあわい緑の空気をただよわせている頃
透き通る緑葉が栗色の芽鱗を押し破り
産毛を輝かせ
生き生きと伸びようとしている頃







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Forest Aesthetics 森林美学 斃れた木

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               ...                                           © Daisuke Kawai



地に這うもの
伏してなお圧倒的な存在感を放つ
斃(たお)れた樹
ここまでの雰囲気を放つものには
深い森の中でもそうそう出逢えない
苔むし,蒼ざめた,聖なる倒木
目にするたび
巨いなる兵の神
オオイナルツワモノノカミ
という言葉を想う





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Forest Aesthetics 森林美学 樹貌

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               ...                                           © Daisuke Kawai



人は巨きな樹に憧れる
樹高が何メートルであるとか
幹回りが何メートルであるとか
どれがいちばんで
どれがどれを上まわったとか
数字や順番が大好きなようである
しかしそういうことばかりに囚われてしまうと
樹の貌(かお)を見逃してしまう
それは決してひとつではない
ためつすがめつ眺めてみればみるほどに
実にいろいろな貌が見えてくる
それは時として見る者をおびやかし
そしておののかす
畏れ,という感情もまた尊いものである





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Forest Aesthetics 森林美学 盆栽岩

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               ...                                          © Daisuke Kawai



かつて川が谷から削り落とした岩塊
そこに巨樹が居並び,大きな盆栽を拵えている
ハルニレ、ミズナラ、ブナ、ケヤキ、イタヤカエデ、ホオノキ
堅い岩の上に,ふつう樹は生えないし,育つこともない
初めに生えたのは苔だ
そのマットが,いつしかこれの樹々を育てたのだ
繊細にして,大胆
自然というものは,時にものすごい作品をつくる
朝陽が,この芸術をいっそうドラマチックに演出していた







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Forest Aesthetics 森林美学 ヤマセの森のブナ

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               ...                                          © Daisuke Kawai



息を呑むように美しい樹がある

陽のひかり
雨のしずく

美しい沈黙
たおやかな微笑

喜劇もあったろう
悲劇もあったろう
目をそむけたくなるような惨劇だってあったろう

しかしここでは
そのどれもがごくさりげないできごとにすぎない

このすらりとした樹の幹には
そんなものがしっかりと織り込まれている

海霧の森,ヤマセの森は,
かそけきものの宿る場所

わたしはまだこの樹を讃えきる
ほんとうの言葉をもたない

ただ立ち尽くし,見上げ,ひたすら見つめるだけだ
それでもここで
耳を澄ませることをまなび
凝視するということをまなんだ

みずからの来し方行く末を
この樹の麓にじっと坐って
ゆっくりと反芻することをまなんだ






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