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Forest Aesthetics 森林美学 頭骨

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森の底で羚羊の骸を見つけた
白蝋のような骨だけになっていた

四肢は既に見当たらず
森のけものたちが
思い思いに持ち去ったものと思われる

頭骨だけが,まるでお供えのように
ぽつんと残されていた

遺されたわずかな毛が
うすぎたない老婆の髪のようにも見える
窪んだ眼窩が
なにやら恨みがましいものに思えてくる
居並んだ歯が
生への執着を引き摺っているようで忌々しい
体液のなごりをしきりと舐め取っている
蠅の姿が鬱陶しい

骸は不快だ
おぞましい
もはや腐臭こそ薄らいではいるが
見ているとどうしてか,次第に腹が立ってくる
しかし不快なる聖というものもあるのだ

なにゆえに古人は
頭骨を神前に供えたのか

土に還る
森に還る

そんな上澄みの言葉だけでは決して御しきれない
この猛烈な腹立たしさはなんだ

体液のなごりをしきりと舐め取っている
蠅の姿が鬱陶しい
しかし不快なる聖というものも
やはり明らかにあるのだ









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Forest Aesthetics 森林美学 葬送花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



とっても愛らしい可憐な花だったのだが
どこか憂鬱な供花のように見えてしまう

葬送に花を供する
人間的な,あまりニンゲン的な発想かと思っていたが
屍の上に咲いた紅い花は
案外とそうでもないことを物語っているようだった






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Forest Aesthetics 森林美学 胡蝶花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



胡蝶花は
そのままただながめているだけでも
じゅうぶんに美しいのだけれど
目を近づければ近づけるほど
その不思議な構造美に魅入らされる
これを蟲になった気分というのか
それでも当の蟲たちが
花蜜を堪能するという食欲以外の愉しさを
はたして享受しているのかどうかうたがわしい







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Forest Aesthetics 森林美学 蛍袋

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               ...                                           © Daisuke Kawai



愛らしい袋だった
蛍を入れれば
小さな燈火になると
それをふだんとは異なる角度から覗き込んでみる
すると妖怪がこちらを見ていた
ぎょっとした
されど見入ってしまった

この妖しげな紅い斑点に魅かれ導かれて
いろいろな蟲たちがこの袋を訪れるのだろう

出口のない袋小路なのに
どこかへ通じているようにも思われてくる




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Forest Aesthetics 森林美学 脱殻

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               ...                                           © Daisuke Kawai



すでに生命の本体が脱け出たあとの
文字通りの「脱け殻」であるというのに
この触れればすぐに毀れてしまいそうな
あまりもはかなげな透明感ときたらどうだ

あたりで喧しく鳴き騒いでいる蝉たちにも
こういう頃があったのだ

過去の記憶をとどめた脱殻にこそ美を感じるのは
思い出を尊ぶ心理につながるものなのであろうか




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Forest Aesthetics 森林美学 菌の花

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               ...                                           © Daisuke Kawai





うずたかく積もった落葉の布団を
やわらかな土壌に還す菌の花には
実にいろいろなかたちがある
地味ではあるが愛らしい
頭巾を被ったきのこに逢った






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Forest Aesthetics 森林美学 落葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底の落葉が
その日最後の残光をはらんで
ふっくらとふくらんでいるように見えた
硬いブナの落葉が
ほんのすこしやわらかくなったように思えた

岩の風化の歳月と
葉の朽ちる時間との
圧倒的なちがいを思いはするが
時間軸のちがいというだけで
どちらも永劫に同じというわけにはいくまい




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Forest Aesthetics 森林美学 モアイは語る

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               ...                                           © Daisuke Kawai



イースター島のモアイは
文化人類史学的に
いろいろなことを語っていると思う

こちら岩崖で見いだしたモアイは
人類が築いたオブジェではないものの
やはり実にいろいろなことを物語っている

そもそも岩の造形に美を感じるという
ヒトの視点こそが芸術であり

蒼然とした岩肌に無機の美を感じ
そこに生きる地衣類や蘚苔類
そして樹木に有機の美を観取する

この渾然一体の美の世界観こそ
自然史を読むことの醍醐味であろう








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Forest Aesthetics 森林美学 岩肌の美

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               ...                                           © Daisuke Kawai





岩肌の美に目を向ける人は少ない
冷たい感じのする無機物だからだろうか
森の底の,そのさらに底には
土や岩の世界がある

地熱,という言葉がある
無機的な気がしない
むしろ鉱物やミネラルと共に
生命の源をささえる恵みの言葉だと思う

そういうことを忘れて
森の美を讃えてもつまらない

森の底でこんこんと湧く滋養の水は
はたして森の土壌がつくるものだが
その下に広がる岩盤というベースがなければ成立しない

鉱石からの恵み
それが泉や水源への信仰へとつながる
そしてそれはそのまま
一見冷徹な岩肌への
篤い敬いとなる






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Forest Aesthetics 森林美学 樹の時間

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ブナの巨木に魅せられて
そればかりを撮り歩いていた頃があった

ながいながい歳月
風雪に耐えぬいてきたのであろう
威風堂々とした立姿と
美しいフォルム
そんなものにあこがれていた

あきてしまったなどというわけでもないが
いつのまにかそういうことをしなくなった

そのかわりというわけでもないが
いつの頃からか
みっしりと苔むした樹ばかりを撮るようになった
そこにもまた歳月という時間がある

それは樹の時間だ
樹が過ごしてきた時間である
苔むした緑の幹から感じる時間である
そういう意味では
威風堂々とした立姿や美しいフォルムにだって
それはじゅうぶんに感ぜられることではあるが

苔をみっしりと身にまとった樹の時間
なにか格別のものという気がするのだ









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