< 宇宙誕生後最初に形成された分子イオンを宇宙空間で初めて検出(画像:Hubble Legacy Archive/ESA/NASA) >
138億年前のビッグバンによって宇宙が誕生した際、その後の化学反応で生じた最初の分子イオンが、このほど研究者らによって宇宙空間で検出され、4月17日刊行の科学誌『ネイチャー』に掲載された論文が詳細を伝えています。
ビッグバン後には水素化ヘリウムイオン(HeH+)が最初の分子イオンとして形成されたと長く考えられてきたものの、それを示す証拠は見つかっていませんでした。
(HeH+)はヘリウム原子と陽子が結合したもので、時とともに崩壊し、水素分子とヘリウム原子に分かれたとみられています。水素とヘリウムは、宇宙空間でそれぞれ1番目と2番目に多く存在する元素です。
(HeH+)の存在自体は1925年に実験室で実証されていますが、宇宙空間で検出されたのは今回が初めてです。地上の望遠鏡では大気の存在のために検出が難しいとして、研究者らは下層大気の上を飛行する遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)を使用。SOFIAに搭載された高分解能の分光計GREATで、惑星状星雲「NGC7027」の中にある(HeH+)を検出しています。
宇宙における化学は(HeH+)から始まった。その存在を示す確たる証拠が宇宙空間で見つからなかったのは、天文学者にとって長年のジレンマでした。
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