また流産、また死産した。
そのとき、
旦那さんのことまで気遣える人は、
たぶん、
ほとんどいないでしょう。
自分自身の喪失感、罪悪感で
いっぱいであったはずですから。
旦那さんとしても、
男として、
自分の悲しみは心の奥に仕舞い込み、
あなたを支えようと必死だったはずです。
ただ、旦那さんのなかには、
ご本人以上に
愛するわが子を亡くした悲しみから
立ち直れない人もいらっしゃるのです。
ご本人以上に
女性性が高く、
女性的なやさしさを持った人なのだと思います。
こんな場合、
亡くなった赤ちゃんのことを思い出し、
お二人と、もうひとりとの、
家族の時間 を
持たれることをお勧めします。
亡くなった赤ちゃんが
ご夫婦の絆を
より一層、強くしてくれますから。
「赤ちゃんを殺しちゃうんです」
と、
こんなにも、キツイ言葉で
自分を責めている患者さんがいらっしゃいます。
「流産しました」
という表現では言い表せられない
深い悲しみと
自責の念があるのだと思います。
不育症の患者さんの精神状態を調査した
世界の研究報告によると、
自然流産を経験後、
半年の間に、約11%の女性がうつ病に罹患
Neugebauer, R., et al. JAMA 277(5): 383-388, 1997
反復流産クリニックを受診する患者さんの
約30%は、抑うつ状態~うつ病である
Klock, S. C., et al. Psychosomatics 38(5): 503-507, 1997
反復流産クリニックを受診する
患者さんの不安のレベルは、
精神科の外来患者さんの不安レベルに近い
Craig, M., et al. J Psychosom Obstet Gynaecol 23(3): 157-164, 2002
という研究結果なのです。
不育症、あるいは着床障害の患者さんが、
精神的に、
いかに辛い立場に置かれているのか、
そのことを、
周りの人はどれだけ理解できているのか、
また、
どれだけ多くの患者さんが
自分だけで抱え込んでしまっているのか、
と、
本当に、考え込んでしまいます。
写真は私が撮っています。 冬にはクリニックに飾ってありましたが、「癒される写真」 として、好評でしたので、少し季節はずれですが、アップします。
今、人生の最大の目標は、
赤ちゃんだと思います。
自分たちの赤ちゃんが来てくれるよう、
日々の生活を、
張りつめた気持ちで、
過ごされていることと思います。
でも、ちょっとだけ引いてみて。
あなたの人生の2番目の目標についても、
考えてみてください。
たとえば、
自分の趣味を極めてみるとか、
自分の居場所である家を自分好みにしてみるとか、
お仕事をがんばるとか。
この機会に、何か、新しいものに挑戦してみるとか。
ちょっとしたことでもいいんです。
目標は多ければ多いだけ、
ワクワクするものが多くなり、
少し余裕ができてきますから、
いろいろと、
うまくいきますよ。
2013年4月より、
血液検査で胎児のダウン症などの3種類の染色体異常の有無が
80%以上の精度でわかる検査(新出生前診断)が、
日本でも可能になります。
今月中に、日本医学会で審査され、
認定される約16施設に限られます。
新出生前診断(検査)は、
当面は臨床研究のみを対象としていますから、
いろいろな条件があります。
この検査は、妊娠10週から検査でき、
約2週間で結果がでます。
費用は自費で約21万円です。
この検査は、羊水検査と違って、
採血だけですから容易に検査できますが、
「命の選別」 につながる可能性が高いので、
本当に慎重に考える必要があると思います。
不育症、着床障害の旦那さんへ
夫として、
どうしたらいいのか途方に暮れていませんか。
クリニックへは、
いろいろなタイプの旦那さんが来院されています。
グイグイと引っ張っているような旦那さん、
一緒になって不安そうな表情をされている旦那さん、
一見、冷静そうな旦那さん、
と、いろいろです。
そんな中で、
いいなあ~と感じた旦那さんは、
診察室で奥様が涙されたとき、
恥じらうことなく、
そっと奥様に寄り添って、
背中をさすってあげてみえました。
こちらも心の奥底で、
もらい泣きです。
肝心なことは、
言葉ではなく、
「寄り添う心」 のような気がします。
家の中では、
羽を伸ばさせてあげてください。
良い妻でなくてもいいようにしてあげてください。
その気配り、目配りが、
きっと、
ご夫婦の幸せを運んできてくれますよ。
最近、心が固まっていませんか。
ときには心の体操をしないと、
ますます固まってしまいますよ。
ピリピリして、
イライラして、
ギスギスして、
毎日の生活が重く感じているときは、
泣けてくるような
そんな映画や小説がお勧めです。
涙は心の浄化水ですから。
泣くことができれば、
笑うことだってできますよ。
ちょっとしたことでも、
無理してでも、笑っちゃいましょう。
情けないような笑いでもいいんですから。
ひょっこりひょうたん島、
ひょっこりひょうたん島、
泣くのは嫌だ、
笑っちゃお~。
好きな歌なんかも いいですね。
口ずさんでみると、
少しは心が緩みます。
ご夫婦から作られる赤ちゃんは、
自分から見て、半分は異物ですよね。
当然のことですが、
よく考えると、
その半分異物の赤ちゃんの細胞が
なぜ、
壊されないのでしょうか?
身体に異物が入ってきたら、
普通は、
その人の免疫細胞がその異物を破壊するのですが。
実は、
壊されない理由として、
「免疫学的な妊娠維持機構」
があるからと考えられています。
「免疫学的な妊娠維持機構」とは、
赤ちゃんの細胞に対して、
母体は、
いろいろな免疫反応を引き起こしており、
妊娠ホルモンと協力し合って、
壊さずに、
かえって増殖・分化を助けている仕組みです。
しかし、
この仕組みが、うまく働かないと、
着床障害や不育症になると考えられるのです。
働かなくなる原因にはいろいろとありますが、
精神的なことによっても、
多くの影響を受けているのです。
今日は、ある患者さんから
素敵なパワーをもらいました。
複数の一流体外受精専門クリニックにて、
胚移植を合計29回受けられて、
今回、初めて、
妊娠中期まで、
妊娠維持に成功された患者さんからです。
当院に受診されてから、約4年。
28回目の移植のとき、
当院治療にて、
3回目の妊娠成立に成功されましたが、
妊娠8週で、
流産された既往があります。
その手術も当院で行いました。
そのとき、
初めて、旦那さんが付き添ってくれたそうです。
手術後、
赤ちゃんの真っ白な絨毛組織を見て、
「わー、すごい!!」
と。
初めて、
ご夫婦で流産した赤ちゃん組織と対面されたのです。
たぶん、
それからのご夫婦は、
流産した赤ちゃんを愛しむ心を持たれ、
今回の赤ちゃんのために、
精神面から、
より良い子宮内環境を整えられたのではないかと推測します。
今回29回目の胚移植前に、
子宮内洗浄療法と、
ピシバニール免疫療法をしました。
妊娠成立後は、
ステロイド療法と
ピシバニール免疫療法と、
支持的精神療法を行いました。
そして、本日、
身長約10cmの元気な赤ちゃんと一緒に、
当院を卒業されたのです。
女性としての自分を信じぬいていた
ご様子でした。
周りからの目に耐え、
ときには身内からの非難にも耐え、
赤ちゃんを育む環境を耕しつづけ、
幸せの花を咲かせたのだと思います。
本当に、
おめでとうございました。
2月の雨は、何か、やさしいですね。
もう少しで、春。
春になったら、どこか遠くに行ってみたい。
春を身体で感じてみたい。
薄着になって、
心も軽く、
何かワクワクするような、
そんな何かをしてみたい。
公園の花のつぼみを見ていると、
心がやさしく、
豊かになっていくような、
そんな何かを感じます。
今度こそは と、できることはすべてしました。
でも、
また・・・。
言葉もでません。
医学的な説明はいろいろと、できます。 が、・・・。
でも、
今は まったく、無意味です。
身体を震わせ、
絞り出す声で、
「 赤ちゃんと一緒に、このまま、死んでしまいたい! 」
と。
「 こんな自分、生きていていいんですか? 」
と。
こんなとき、
私たちは、
ただ、
ただ、
いっしょに、悲しんであげることしかできません。
悲しみのなかで、
「 本当にお別れするまでは、
おなかの中の赤ちゃんとの時間、
大切にしてあげて。 」
と、
祈るような気持ちです。
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