子宮内膜は、粘膜の層です。
鼻の中の粘膜層とよく似ています。
そこには細い動脈が密集しています。
細動脈の血管壁には、
交感神経と筋肉細胞があり、
交感神経が興奮すると
筋肉が収縮して
細動脈が狭くなってしまいます。
妊娠成立前後の時期と、
妊娠初期の子宮内膜内の
血管(細動脈)の断面の
写真を見てください。
妊娠中期の血管の断面と
大きく違っています。
妊娠初期の血管壁は
母体の交感神経と
筋肉細胞で構成されていますが、
妊娠中期の血管壁では
胎児側の絨毛細胞に
すべて入れ替わっているのです。
ダイナミックな「再構築」です。
再構築により、
血管腔の直径も
0. 05mmから0.5mmと
10倍太くなっているのです。
さらに妊娠中期以降は
母体の神経支配から
逃れているのです。
胎盤内の血管網の絵写真を見てください。
子宮内膜内の母親の動脈の
胎児側への出口が
「恵みの窓」です。
この母親の動脈が、
妊娠初期だけ、
ストレスにより
細くなってしまうから、
危険なのです。
炎症反応の症状は、
「赤く、腫れて、熱っぽく、痛い」
というものです。
炎症反応とは体を守る防衛反応です。
身体の一部に異常が起これば、
栄養補給のため異常部位の血管が拡張して
「赤く」なり、
血管内物質を組織液に出すため
「腫れて」、
免疫細胞が発熱物質を出して活動するため
「熱っぽく」、
神経系が異常の情報を伝達するため
「痛い」のです。
「ストレスによっても、
炎症反応は起こる」 のですよ。
たとえば、
不育症、着床障害で、
慢性的に酷使されている
子宮です。
「ストレスを受けると、その生体内で
炎症を起こす物質が発生する」
ことがわかってきていますので、
その炎症物質(免疫物質等)が
体内で最も酷使されている部位に
集積されていき、
たとえば、
子宮であれば、
「慢性子宮内膜炎」となってしまいます。
免疫攻撃物質が
胚や胎盤になる細胞を攻撃してしまいます。
子宮内の細菌感染による
慢性子宮内膜炎は
ほんの一部ですよ。
ストレスが原因ならば、
ラクトフェリンや抗生物質は
効果ないですよ。
心理的ストレスを受けると、
血小板が固まりやすくなることは
以前よりわかっていましたが、
心理的ストレスを受けると、
免疫細胞も増加して、
炎症性サイトカインが発生してくる
こともわかってきました。
たとえば、
心理的ストレスを感じていると、
脳細胞にも、炎症が起きるようです。
過剰な炎症により、
脳細胞の機能障害が起き、
うつ病になる可能性が指摘されています。
本来、炎症性サイトカインは、
身体の異常を修復するために、
炎症を起こしているのですが、
こころの異常に対しても、
何らかの原因で炎症を
起こしているようです。
炎症性サイトカインが
異常にたくさん分泌されている状態
になったら、
それは組織障害を
起こしてしまいます。
ヨーロッパの一部の国では、
子宮内膜の末梢血管の収縮を
防ぐ治療として、
精神薬の服用も勧められています。
子宮の細動脈は、約120本の
らせん動脈が渦を巻いて密集しており、
その血管壁には神経線維が入っているのです。
移植したとき、
妊娠したとき、
必ず何らかのストレスを感じている
と思います。
そのストレスの種類と程度、
そして、
あなたの性格からくる不安の種類と程度
を、
知ることができれば、
和らげる方法を見つけられます。
ストレスの種類としては、
物理的なストレス(騒音、寒さ等)
化学的なストレス(過剰な薬物・サプリ等)
生物学的なストレス(感染症、アレルギー等)
社会的なストレス(生活上の負担等)
心理的なストレス(人間関係等)
があります。
当院では、
一般的な血液や組織、画像の検査以外に、
生殖ストレスの検査として、
生殖精神分析を行っており、
その治療も
支持的精神(薬物)療法として、
行っています。
難治性の患者様や、
他院で不成功が続いている患者様に、
「同種免疫異常と生殖ストレス」
による複合した原因が
多く見つかっています。
遠くから受診された患者様でした。
過去に、
6回連続して、いつも
10~20mmの胎児が
子宮内死亡していました。
流産した胎児の染色体検査は
2回検査され、すべて正常でした。
アスピリン、ヘパリン、
大量免疫グロブリン治療は、
すべて複数回受けていました。
当院での精査結果では、
不安感と罪悪感が強く、
子宮内が免疫的に荒れていると
判断されたため、
支持的精神療法を基本として、
頓服で抗不安薬を投与し、
妊娠前の子宮内ステロイド洗浄
と妊娠後のステロイド内服治療、
さらに、ピシバニール免疫治療
を、主に行いました。
そして昨年、無事に
元気な赤ちゃんを出産され、
お手紙をいただいています。
難治性の場合、
特に、
こころ と 免役 を
いっしょに整えることが
本当に大切ですよ。
稀なことと思いますが、
流産して、
最大のストレス源が実母の場合もあります。
実例ですが、
過去に6回以上流産されており、
妊娠すると極度に緊張される方がいました。
お話を聞くと、
「生活が悪いから、子供を殺しちゃうのよ!」
と、
以前、実母から非難する言葉を浴びせられ、
その経験がずっとトラウマとなっているのです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
私がその方にお話ししたことは、
実母であっても性格や環境は違うので、
わかってもらえないことはある。
わかってもらおうとせず、
自分の居心地がいいような状況にする。
自分の居心地がいい環境は、
赤ちゃんにも居心地がいいのですから。
今は自分を信じて、
自分の赤ちゃんの生命力を信じて。
妊娠の事は
まずは
旦那さん以外の誰にも言わないで。
ウソも方便ですよ。
人体発生学から見て、
発生9日目頃(妊娠3週2日)(胚盤胞移植4日目)
には胎盤になる絨毛細胞の組織内に腔隙が出現し、
子宮内膜のラセン動脈~毛細管と交流し始めます。
ラセン動脈の血管平滑筋細胞層は
母体の交感神経の影響下にあります。
つまり、母体がストレスにより
過剰な緊張状態にあれば、
ラセン動脈が収縮して
胚に十分な酸素を供給できません。
この危険を少しでも回避するためなのか、
妊娠4週頃より子宮内膜内の絨毛細胞が
ラセン動脈内に浸潤し、
妊娠16週頃までに、
血管平滑筋細胞と
ほぼ完全に置換してしまうのです。
これにより、
妊娠16週以後については、原則、
胎児―胎盤系は
母体の神経支配を受けることなく、
血管を拡張して酸素に満ちた血液を
吸収できるのです。
今度こそは と、できることはすべてしました。
でも、
また・・・。
言葉もでません。
医学的な説明はいろいろと、できます。 が、・・・。
でも、
今は まったく、無意味です。
身体を震わせ、
絞り出す声で、
「 赤ちゃんと一緒に、このまま、死んでしまいたい! 」
と。
「 こんな自分、生きていていいんですか? 」
と。
こんなとき、
私たちは、
ただ、
ただ、
いっしょに、悲しんであげることしかできません。
悲しみのなかで、
「 本当にお別れするまでは、
おなかの中の赤ちゃんとの時間、
大切にしてあげて。 」
と、
祈るような気持ちです。
世界中の研究機関より、
1980年から2007年までの間に、
人における
ストレスと流産の関係を調査した
9つの主な研究報告があります。
そのうちの7つが、
ストレスは流産の原因か、あるいは
非常に密接な関係があると結論しています。
その中のひとつが、
1995年、イギリスの精神科医のオヘアー医師らの研究報告です。
自然流産のために入院した婦人と正常分娩のために入院した婦人、
それぞれ各48名を心理士により半構造化面接をしました。
その結果、
流産婦人は正常分娩婦人に比べて、
妊娠前3ヶ月の間に、
有意に多くのストレスを受けていました。
(54% 対 15%)
私は、1994年からストレスによる
免疫系、ホルモン系のアンバランスと
それによる流産の発症を研究してきました。
当時は名古屋市立大学に在籍していましたから、
名市大の精神科と産婦人科と熊本大学精神科の
共同研究を立ち上げ、
1994年から2004年まで約10年間、研究を行いました。
その最終報告が2004年、スカンジナビア精神医学専門誌に
報告されています。
その研究内容は、
原因不明の不育症のご夫婦をそれぞれ別々に、
妊娠前と妊娠初期(妊娠4~5週)の時点で、各2回、
約1~2時間、半構造化面接を行いました。
その結果、
抑 う つ 気 分、
悲 観 的 思 考、
社 会 的 支 援 へ の 不 満
の
いずれかを持っていた婦人は、
その妊娠が、その後、有意に高頻度で流産に終わっています。
この結果より、
ス ト レ ス は 流 産 の 原 因 で あ り、
特に上記の3つの心理社会因子は
流産の危険因子である
と結論づけられたのです。
いろいろな動物、
たとえば、
ラット、ハムスター、マウス、
そして、馬において、
妊娠初期のストレスが流産の原因になる
という研究報告は、
1973年から1989年にかけて
数多く発表されています。
1984年には、
マウスにおいて、
ストレスが胎児の先天異常率も上昇させた
という研究報告もあります。
マウスにおいては、
流産しやすい組み合わせがわかっています。
その流産しやすいマウスモデルの
妊娠直後に24時間、
音のストレスを与え、
与えなかった群と
その流産率を比較した研究報告が、
1995年、
ドイツ、フランス、カナダの
共同研究チームより発表されました。
その結果は、
ストレスを与えなかった群の流産率が15%に対して、
ストレスを与えた群の流産率は35%と高率でした。
このメカニズムについては、
ストレスにより、
神経伝達物質(サブスタンスP)が上昇し、
その神経伝達物質が
NK(ナチュラルキラー)細胞を含めた
免疫系を活性化して流産させている可能性が高い
と報告されています。
このように
動物実験ではありますが、
妊娠初期のストレスにより
流産が誘導される
という研究報告は数多くあるのです。
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