138. 人においてストレスは流産の原因か
8月
17日
1980年から2007年までの間に、
人における
ストレスと流産の関係を調査した
9つの主な研究報告があります。
そのうちの7つが、
ストレスは流産の原因か、あるいは
非常に密接な関係があると結論しています。
その中のひとつが、
1995年、イギリスの精神科医のオヘアー医師らの研究報告です。
自然流産のために入院した婦人と正常分娩のために入院した婦人、
それぞれ各48名を心理士により半構造化面接をしました。
その結果、
流産婦人は正常分娩婦人に比べて、
妊娠前3ヶ月の間に、
有意に多くのストレスを受けていました。
(54% 対 15%)
私は、1994年からストレスによる
免疫系、ホルモン系のアンバランスと
それによる流産の発症を研究してきました。
当時は名古屋市立大学に在籍していましたから、
名市大の精神科と産婦人科と熊本大学精神科の
共同研究を立ち上げ、
1994年から2004年まで約10年間、研究を行いました。
その最終報告が2004年、スカンジナビア精神医学専門誌に
報告されています。
その研究内容は、
原因不明の不育症のご夫婦をそれぞれ別々に、
妊娠前と妊娠初期(妊娠4~5週)の時点で、各2回、
約1~2時間、半構造化面接を行いました。
その結果、
抑 う つ 気 分、
悲 観 的 思 考、
社 会 的 支 援 へ の 不 満
の
いずれかを持っていた婦人は、
その妊娠が、その後、有意に高頻度で流産に終わっています。
この結果より、
ス ト レ ス は 流 産 の 原 因 で あ り、
特に上記の3つの心理社会因子は
流産の危険因子である
と結論づけられたのです。