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遠くから受診された患者様でした。過去に、6回連続して、いつも10~20mmの胎児が子宮内死亡していました。流産した胎児の染色体検査は2回検査され、すべて正常でした。アスピリン、ヘパリン、大量免疫グロブリン治療は、すべて複数回受けていました。当院での精査結果では、不安感と罪悪感が強く、子宮内が免疫的に...
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自分を他人と区別するために自分の細胞には自分だけのしるしがあります。それを 「同種抗原」 と言い、親から子へと遺伝されています。そして自分と違う細胞(組織)を体内で見つけたら、自分の免疫細胞は非自己細胞を攻撃(拒絶)するのです。しかし例外もあります。それが妊娠なのです。その原因は現在でもはっきりしま...
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「 妊娠中に インフルエンザワクチン予防接種 を受けた約5千人の妊婦さんは、 受けなかった妊婦さんに比べて、 死産率が約50%低下していた。 」という研究報告がオーストラリアから2016年3月にありました。(Clin Infect Dis. 62: 1221-1227, 2016)この結果より、1)...
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卵は半分異物(夫由来)です。免疫系は異物と、異物化した細胞(癌、感染)を受け入れません(攻撃します)が、通常、卵については、受け入れています。その理由の全容は、まだ 「なぞ」 です。2015年11月号の 「サイエンス」 という世界で最も権威のある 科学誌 に、「寄生虫と妊娠のびっくりする関係」 が報...
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今日は、ある患者さんから素敵なパワーをもらいました。複数の一流体外受精専門クリニックにて、胚移植を合計29回受けられて、今回、初めて、妊娠中期まで、妊娠維持に成功された患者さんからです。当院に受診されてから、約4年。28回目の移植のとき、当院治療にて、3回目の妊娠成立に成功されましたが、妊娠8週で、...
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2010年11月中旬に妊娠36週で元気な赤ちゃんが誕生しました。出産された方は最初の頃こそ自然妊娠できたものの、途中から体外受精による妊娠となり、そのうえに、記憶があるだけでも過去16回の流産を経験されています。(流産がありすぎて、正確な数はわからず、少なくとも16回との事でした。)14回目の妊娠前...
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NK細胞とは、ナチュラルキラー細胞のことであり、白血球のなかのリンパ球の一種です。粘膜免疫という外界との最前線で、侵入物を攻撃して排除する働きを持っています。1985年頃より、正常妊娠とNK細胞との密接な関係が明らかにされてきました。1995年に、NK細胞活性が約40%以上の不育症患者さんはそれ以下...