医療✕キャリアを考えるvol.3「病院事務職の将来性は?」
6月
15日
「ソリスト集団」が「一流オーケストラ」に変貌していくように、チーム力で勝つ医療チームをつくる支援をしてきた私の経験を、医療現場を支える皆さまに共有させて頂きたいと思います。
このブログでは、パフォーマンスの高いチーム作りのヒントになる記事をアップしていきます。
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶
私のファーストキャリアは病院の事務職から始まりました。
私が病院経営を大学で学び始めた20年程前、やっと「病院も経営が必要である!」という風潮が少しずつ一般化されてきた頃でした。
それまでの、どんぶり勘定で診療をさえしていれば勝手に儲かる時代から、戦略的に経営しなければ倒産する時代への移行期。
大学もそれを見越して病院経営人材を育てようと、医療経営、医療経済といった新しい専門領域を学ぶ学科が出始めていました。
それから十数年。
当時、医療経営を専攻してきた卒業生達に連絡をとる機会がありました。
きっと各現場でリーダーとして活躍されている方も少なくはないはず♬と期待していましたが、実はほとんどの卒業生が医療経営の仕事に携わっていないということが判明したのです。
聞けば、看護師免許を取得して再スタートした人
診療所を転々としたけれど人間関係で悩み一般企業に転職した人
早々に専業主婦になった人
専門学校に行き直しITの道へ進んだ人
様々な方向修正をしながらも新しい道で楽しく活躍しているようでした。
本人が望む道に進むことが一番!皆が生き生きとしていて良かった!と思う反面…何となくモヤモヤが残りました。
「皆、一度は医療経営という道に興味を持って、4年間ともに学んできたのに、10年足らずでどこ行きよった!?😭」
それが正直な気持ちだったのかなと思います。
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶
病院の事務職は医療機関の中で唯一ライセンスを必要としない”専門職”です。
病院の中で求められる役割も多く、とても幅広い知識とスキル、高度なコミュニケーション能力、ついでに体力も求められ、まさに病院という法人の医師であり看護師のような存在です。
限られた社会保障費と人口減少という社会の荒波の中で、病院が存続していくには、彼らの力はとても重要なのです。
しかし、その一方でとてもキャリア形成が難しく、周囲からの評価が得られにくい職種でもあると感じることが多々あります。
その実態は、事務部門が病院から”利益を生み出さないお荷物部署”と捉えられてしまっていることにあるのでは?と感じています。
事務部門の中には、診療報酬算定のプロである医事課、病院の経営を支える管理部(企画、総務、経理、人事、資材等)、その他にも広報、情報管理といった様々なセクションがあります。どのセクションも医療機関の中で診療科や部署を横断した横の繋がりの中で、バランスをとりながら役割を全うしています。その役割というのが「各診療科や部署の利益の最大化」です。
つまり、彼らが頑張れば頑張るほど、各診療科や部署は成果を出すことができ、結果的に病院の成果にも直結します。当然、成果を出す部門には病院側も評価と投資を惜しまないはず。
組織としては成果に対して評価は簡単ですが、事務部門のような間接部門はその成果がとても見えにくく、評価自体がとても難しいという実態があります。事務職がなかなか周囲から評価されにくいのは、まさにこの構図が原因なのだと思います。
だからこそ、病院経営者は組織を正しく見る目を養い、将来を見越した先行投資が必要になってくるのではないでしょうか。
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶
私が支援に入った医療機関は、そのほとんどが事務部門の評価を見誤っているように思えました。
「日常の診療がまわっていれば良い」
「1人減ったところで無駄を省けば問題ない」
という発言も経営幹部からも散見されました。
そして、その医療機関は全て共通して経営難に陥っているということ。
医療機関の経営を支える人材を「ただの事務屋さん」と捉えず、経営のパートナーとして長期的に育てていくこと。
これも今後の私の課題の1つであり、ぜひ全ての病院経営者に考えて頂きたいことです。
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶
■NICOヘルスケア・コンサルティング
■ヤングケアラー啓発活動 任意団体K& ラフィングケラー学校
■NPO法人 まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.
