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今年の読書(29)『本所おけら長屋(十四)』畠山健二(PHP文芸文庫)

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今年の読書(29)『本所おけら...
『下町のおきて』(1997年8月・読売新聞社)や『下町呑んだくれグルメ道』(2016年7月・河出文庫)などの著書がある、墨田区本所育ち<畠山健二>の『本所おけら長屋(十四)』(2020年4月7日刊)です。このシリーズを読みつないでいるわけではなく、家人に新刊本の購入依頼した新聞広告の切り抜きの裏面がたまたま本書の宣伝広告となっていて、本来買い求めたかった表側の書籍とは別物が間違って購入されてきました。

というわけで、いきなり(十四)からの登場となっています。本シリーズは、2013年7月の一巻目刊行以来、大人気の『本所おけら長屋』シリーズ。江戸落語や下町漫才の台本で鍛え抜かれた技をひっさげ、文庫書下ろし時代小説として発刊されています。

隅田川と堅側に挟まれた一角にある「おけら長屋」を舞台として、個性豊かな住人たちが、日常生活に起こる出来事を、米屋の「万造」と酒屋の「松吉」を中心として、下町人情を絡めて、描いた四編が収録されています。

松吉の義姉、「お律」が「おけら長屋」にやってきます。二十両を奪われたという若者「新吉」を助けた「お律」は、田畑を打った虎の子の大金二十両を貸してしまう『まつあね』。
酒好き者同士の徳島藩の「若芽錦之介」と津軽藩「甲斐守高宗」との交流を描いた『かたまゆ』。
家を飛び出して2年ぶりに身重となって「おけら長屋」の裏手にある「金閣長屋」に戻ってきた「お菜美」の古都の顛末が描かれる『きれかけ』。
長屋の住民が娘のように思っている「お糸」の出産を巡る大騒動が描かれる『おみくじ』など、読み終わるとほのぼのとした人情話として、短いタイトルの意味がよくわかる短編集でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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