現在の日本地形図(Wikipedia Commonsより借用)
本州の中央部、糸魚川市と静岡市を結ぶライン(糸魚川ー静岡構造線)を西側のヘリ、柏崎市と千葉市を結ぶライン(柏崎ー千葉構造線)を東側のヘリとする地域はフォッサマグナと呼ばれる。この地域では海抜ゼロメートルから地下6000メートル以上にわたって比較的新しい地質の層があり、、更にその上に新潟焼山、妙高山、浅間山、八ヶ岳、富士山、箱根山、天城山など1500~3700メートルの火山が連なっている。伊豆半島、首都圏、房総半島などもフォッサマグナの上にある。フォッサマグナを初めて発見したのはドイツ人地質学者で東京帝国大学教授だったハインリッヒ・ナウマン教授で1875年のことであったが、それ以後このような地質学上世界でも珍しい地形がどのように出来たのかをめぐって、明治時代から色々と議論されてきた。
ナウマン教授は本州が南下し、伊豆・小笠原島弧と衝突した際に衝撃で本州中央部に巨大な裂け目が出来たためではないか、との説を唱えた。これに対し東京帝国大学教授の原田豊吉は本州が元々2つの島弧に分かれていたのが両者が接近して衝突してひとつの島弧になったのではないか、と主張した。
最近注目されている説は藤岡換太郎博士が提唱するスーパーホットプルーム説だ。約2000万年前にスーパーホットプルームと呼ばれるマグマが地殻を上昇してユーラシアプレートの東端で噴火し、ユーラシア大陸から日本列島の元となる島弧が切り離され、この割れ目が成長することで日本海が形成されていった。このように出来た海を地質学では背弧海盆(はいこかいぼん)と呼び、日本列島は背弧海盆によってユーラシア大陸と隔てられている、と言える。1700~1500万年前に先の噴火で出来た割れ目が押し広げられ、その結果本州を形成する島弧は東西に分断され、日本海は中央の亀裂により太平洋と接続することになる。西側に分断された島弧は糸魚川ー静岡構造線を東端とし、また東側に分断された島弧は柏崎ー千葉構造線を西端とする。
本州に残されている1500万年より古い地磁気(古地磁気)を測定すると、糸魚川ー静岡構造線より西側では陸地が時計方向に、また柏崎ー千葉構造線より東側では反時計方向に移動していることが明らかになっているが、これは地殻変動により東西の二つの島弧が観音開きのように移動したためと考えられる。このように移動した二つの島弧の間に新しい地層が堆積してフォッサマグナが形成されたのだ。
フォッサマグナの地質は諏訪湖周辺より北と南では全く異なっていることが明らかになっている。すなわち北部フォッサマグナは海底火山の噴火による火山岩と山から流れ出た土砂による堆積岩がフィリピン海プレートの北上に伴う圧力によって海が隆起したものであり、また南部フォッサマグナはフィリピン海プレートの移動により伊豆・小笠原弧の島々が乗り上げたことにより御坂山地、富士山、箱根山地、丹沢山地などが形成された時の堆積物であり、サンゴなどの化石が含まれた火山岩が堆積していると考えられている。またフォッサマグナの上には多くの火山があり、これらが噴火して新潟から関東・静岡にかけて多くの山が形成された。
日本は西日本はユーラシアプレート、東日本は北アメリカプレート、そして伊豆半島はフィリピン海プレートに乗っており、それらの三つが伊豆半島の付根付近で重なり合っており、世界でも特異な場所にあって地震や火山活動が多発する国土である。日本人はそれらに伴う災害と隣り合って生きているが、同時に温泉や豊かな自然といった恵みも享受している。われわれの自然を恐れ、敬う心は古代日本人譲りであり、現代人であるわれわれは最新科学を駆使して防災に尽力しなければならない。
国際宇宙ステーションで使用されるリチウムイオンバッテリー (JAXAより借用)
先週、2019年のノーベル化学賞はリチウムイオン電池を発明したスタンリー・ウッティンガム特別教授、ジョン・グッドイナフ教授、吉野彰博士に授与されると発表されたが、くまごろうはかねてよりLED照明とリチウムイオン電池はノーベル賞に値する現代の大発明と思っていたので、喜ばしい限りである。
スタンリー・ウッティンガム特別教授は1976年に正極にニ硫化チタン、負極に金属リチウムを使うリチウムイオン電池を開発してリチウムイオン電池の基本概念を提案したが、金属リチウム電極は安全性などに問題があり実用化には至らなかった。
グッドイナフ教授は1980年にリチウムイオン電池の正極を発明したことで受賞したが、当時オックスフォード大学に留学していた水島公一博士が1978年にグッドイナフ教授の元でコバルト酸リチウムがリチウムイオン電池の正極に適していることを発見したのがきっかけで正極の発明につながった。
吉野彰博士は1985年に負極として炭素材料である黒鉛を使用すると、黒鉛がリチウムを吸蔵するため金属リチウムが電池内に存在せず安全であること、およびリチウムの吸蔵量が多く高容量が得られることなどを明らかにしてリチウムイオン電池実用化の基礎概念を確立した。
これらの技術を組合せ、1991年に世界で初めてソニーが、次いで旭化成がリチウムイオン電池を商品化した。現代社会ではリチウムイオン電池がスマートフォン、コンピューター、自動車、発電、航空機、宇宙ステーションなど広範囲に使用されているが、従来のリチウムイオン電池の3倍以上の出力特性を持ち、低温および高温での優れた充電性、高い充放電サイクル耐久性などの特徴を持った安全性の高い全固体電池の開発が進められており、新エネルギー・産業技術総合開発機構は2020年代前半には車載用全固体電池の実用化を目指している。
またリチウムやコバルトなどの資源は無尽蔵ではなく、現在のリチウムイオン電池では電気自動車1000万台分の電池を作ると資源が枯渇するとも言われている。資源の豊富さと価格の点で代替電池としてナトリウムイオン電池の将来性が注目されている。ナトリウムはリチウムと同じアルカリ金属であり、イオン化傾向はリチウムに次いで高い。しかし電池の電圧はやや低く、現状では電気容量もリチウムイオン電池に劣るため、更なる電極や電解質に関する研究により、安全で高性能な大容量ナトリウムイオン電池が実用化されることが望まれる。
リチウムイオン電池の詳細は2016年6月22日のくまごろうのサイエンス教室を参照されたい。
サンドウェッジとアプローチウェッジ
TaylorMade M6 Driver
このところゴルフの調子が良い。今年8月の10ラウンドの平均は91.1で、80台が3回ある。
もともとドライバーショットはまっすぐ飛ぶ方で、フェアウェイウッドやミドルアイアンのショットも比較的安定しているおかげでパー4のミドルホールでグリーンの近くまで2打で来ることが多かったが、去年まではアプローチで失敗してダブルボギーや最悪トリプルボギーを叩くことが少なくなかった。
パットについてはここ数年ほぼ毎朝練習しているため、少なくともパッティングのストロークはかなり安定してきたと思っている。その成果か最近はとても長いパットを除けば3パットがかなり少なくなっているように感じる。
今年は寒いうちから色々なYouTubeのゴルフレッスンを見て、バンカーショットとアプローチショットを勉強した。くまごろうのサンドウェッジは数年前に買ったアメリカのシニアの間では人気のあるXE1というロフト65度、バウンス7度でソールが一番広い所で50ミリもある代物、バウンスは小さいがソールの幅が広いため砂に潜ることはない。YouTubeのゴルフレッスンの教えに従ってバックスイングで早めにコックをすることにより、バンカーショットの成功率が良くなった。またシアトル付近のゴルフ場の砂は重いのが一般的で、プロのように力のないくまごろうは思い切り打ち込むつもりで打たないと良いバンカーショットにならないことが判ってきた。おかげで最近はバンカーから1回で脱出する確率は80%以上だ。
アプローチウェッジはもう5~6年使っているCleveland CG15 ロフト58度、バウンス8度で、チップショットはそんなに悪くなかったがバンカー越えなどの30~50ヤードのピッチショットで失敗することがあった。YouTubeのゴルフレッスンでピッチショットではバックスウィングで早めにコックをすると良いことを知り、早速練習してみたが確かに思ったようなショットの出来る確率が高くなった。
くまごろうは過去5年ほどドライバーにはTaylorMade RBZ 10.5度を使用してきたが、クラブトーナメントの賞金を資金の一部として8月末にTaylorMade M6 10.5度を手に入れた。このクラブは今年発表された最新モデルで、特徴はTwist Faceと呼ばれる少しねじれたフェースにより多少スウィートスポットを外してもまっすぐ飛ぶこと、ヘッドにカーボンファイバーを多用して重量を軽減し、その分46グラムのウェイトをヘッドの底部後方に取付けてショットの安定性を増したことにある。まだこのドライバーに替えて日が浅いが、良いショットの時はこれまでのドライバーより10ヤードほど飛距離が延びていて、これまでパーが取りにくかったホールでパーが取れたりすることがある。くまごろうのティーショットは比較的低弾道のため、これまで使っていたドライバーではシャフトを回転するロフト調整機能を利用して0.25度上げていたが、新しいドライバーでも同じように調整したところ、確かに弾道は高くなるがボールが左に飛ぶようになった。インターネットで調べると、ロフトを上げるとその分フェースが左を向くことがわかり、直ちに標準のロフトに戻した。戻してからはボールが極端に左に行くことはなくなったが早くこのドライバーを使いこなせるようになるよう、練習に励まねばならない。
6月頃から時おり右膝の内側やや下あたりに軽い痛みを感じたが、走っても異常ないのでそのままランニングを続けていた。7月になると普段は異常ないのに階段を下りる時に痛みが生じ、走るのは自粛して速歩することにした。この季節はゴルフもシーズン真っ最中、色々なトーナメントやイベントがあり、多い週には4回もラウンドすることがあった。
8月に入ってインターネットで自己診断すると、この痛みは鵞足炎によるものらしい。鵞足とは太ももからの3つの筋肉が膝下部の骨である脛骨に内側で接続する腱の部分であり、使いすぎで炎症を起こすのが鵞足炎だ。陸上競技、サッカー、バレエなどをやる人に多いらしい。炎症は冷やしたり痛み止めの服用で収まるが、安静にすることが最上の治療法とのことだ。
ランニングは7月中旬から中止しているが、ゴルフはこのシーズンのために寒い冬でも頑張ってトレーニングや練習を続け、また5月以来アプローチの技術が向上したこともあって最近は満足出来るラウンドが続いており、シーズン初めには17.9だったUSGAのハンディキャップが6月には19.5まで上ったものの、8月末には17.2まで改善している状況のもと、鵞足炎でも中断することが出来ず週2回を限度として続けている。
幸いなことにスウィングは膝に悪影響を与えていないようで痛みを感じることはないが、18ホール回ると7キロ以上歩くのでラウンド後は多少膝痛があり、階段を下りる時に顕著だ。従来から行っているが鵞足部付近のストレッチを十分行い、また効果の程はわからないが少しでも鵞足部を保護するために右ひざにサポーターを巻いてラウンドしている。
トーナメント開始前のプラクティスグリーン
16番ティーグラウンドからのマウントレニア
今日はわがRainier Golf & Country ClubとMeridian Valley Country Clubのシニア対抗戦でシアトルから南約30分の所にあるMeridian Valleyに遠征した。このコースはホワイトティーが合計6248ヤードのパー72で、以前LPGAのSafeco Classicのコースで、岡本綾子が何回もプレーした所である。今日も昨年同様快晴のもと、コースからはシアトルからよりもずっと大きく感じられるマウントレニアが望まれた。
今日はショットが安定しており、また6月以来練習してきたサンドウェッジでのアプローチショットがうまく決まり、5パー、11ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーで45/43の88、自分としては悪くないラウンドだった。
去年はなぜかあまり咲かなかったあじさいが今年はもう満開になった。日本ではあじさいは梅雨時の花だが、シアトルのわがやでは例年7月か8月に咲きそろうのに今年は少し早いようだ。
あじさいは水やりをさぼるとすぐに喉が乾いたと葉をだらしなく下げるので、晴天の日には夕方の散水が欠かせない。しかし9月頃までわれわれの目を楽しませてくれるだろう。
これまで国際的な質量の単位であるキログラムは密度が最大となる4℃の水1リットルを1kgと定義し、1889年よりパリの国際度量衡局にあるプラチナとイリジウムの合金で作られた国際キログラム原器を標準としていた。従来はこのキログラム原器の精度で十分だったが、科学技術の進歩によりキログラム原器の汚染などによる1億分の5程度の重量変化が問題となり、1999年に開催された国際度量衡総会において、分銅のような人工物に頼らず1億分の1の精度で質量を再現出来るようなキログラムを新たに定義するために、参加各国の計量標準研究機関が研究に取組むこととなった。
キログラムを定義するひとつの方法として、アインシュタインの特殊相対性理論と光量子仮説から光子のエネルギーと質量を関係づけるプランク定数に基づくものがある。プランク定数とは量子力学における光子の持つエネルギーと振動数の関係をあらわす比例定数であり、光子の持つエネルギーEは、プランク定数hにより光子の振動数νとは下記の式で表せる。
E = hν
またアインシュタインの特殊相対性理論により、物質の静止エネルギーEは物質の質量mと真空中の光速度cにより
E = mc2
であり、二つの式から
hν= mc2
という関係式が導かれ、『1キログラムは振動数が光速の二乗をプランク定数で割った値の光子のエネルギーに等価な質量である。』と定義出来る。
プランク定数はキッブルバランス法と呼ばれる、資料の重さを電流と電圧により非常に精密に測定する電気力学的重量測定装置により求められる。この装置は電流の流れるコイルの間に働く力を測定する代りに、コイルの間に置かれた資料の重量をコイルに流れた電流を精密に測定することにより求めるものである。アメリカの国立標準技術研究所(NIST)をはじめ、フランス、カナダでは、2017年までにキッブルバランス法により1億分の3.5という極めて高い精度でプランク定数を測定している。
もうひとつのキログラムを定義する方法としてアボガドロ定数によるものがある。アボガドロ定数はこれまで12グラムの原子量12の炭素原子に含まれる原子数と定義されてきたが、量子力学ではプランク定数とアボガドロ定数の間には
hNA = cArMUα2/2R∞
なる関係があり、この式の右辺は100億分の1という精度で求められている物理定数であるため、プランク定数とアボガドロ定数のどちらかが1億分の1の精度で求められれば、他方も同一レベルの精度で特定することが出来る。
アボガドロ定数NAはモル質量M、単結晶の密度ρ、原子1個の体積υにより下記の式で表せる。
NA = M/(ρ・υ)
それゆえ単結晶原子のモル質量、密度、格子定数(原子間距離)をX線結晶密度法により精密に測定すればアボガドロ定数が求められる。しかしモル質量を決めるためにはその物質の同位体存在比率を正確に知る必要がある。炭素原子を例にとると、中性子が6個である原子量12の炭素原子の他に、中性子が7個の原子量13、8個の原子量14の2つの同位体が自然界に存在し、従来の方法ではモル質量は1千万分の1の精度が限界であった。
原子の中でもシリコンは結晶の完全性が高く、単位結晶の中に8個のシリコン原子が含まれるので、同位体をほとんど含まない単結晶が得られれば、その単結晶の体積から原子数がわかり、またその質量を計ればアボガドロ定数が精度高く規定される。2004年にアボガドロ国際プロジェクトが発足し、ロシアの核燃料施設で質量数28のシリコンだけを分離して99.99%まで精製し、ドイツでシリコン単結晶がつくられた。この高純度シリコン単結晶を球体に加工してアボガドロ定数の精密測定が行われた。
日本の産業技術総合研究所は超高精度なレーザー干渉計を用いて、直径約94ミリメートルのシリコン単結晶球体の直径を2000の方位から原子間距離に相当する0.6ナノメートルの精度で測定した。この際、シリコンは温度により膨張するため、真空容器内で温度を0.001℃の精度で制御した。またシリコン球体の質量は真空天秤を用いて日本国キログラム原器と比較して測定した。シリコン球体表面には厚さ数ナノメートルの酸化膜などからなる表面層が形成されるが、X線光電子分光法などの技術により表面層の厚さを0.1ナノメートルの精度で測定し、アボガドロ定数の精度向上に努めた。その結果、2017年までにアボガドロ定数を1億分の2.4という世界最高レベルの精度で測定することが出来た。
2017年に世界の国家計量標準機関が測定した8つのデータが国際科学会議によって設立された科学技術データ委員会に提出されたが、これらが1億分の1のレベルで一致し、その結果2018年に新たなキログラムならびにアボガドロ定数は下記のように決定された。
『キログラムはプランク定数を6.62607015X10のマイナス34乗ジュール・秒と定めることによって定義される。』
『アボガドロ定数は6.02214076x10の23乗と定義する。』
これらの新定義は2019年5月20日より使用されるようになったが、日本で計測されたデータがキログラムの定義改定に貢献したことは日本の技術水準の高さを示しており、誇らしいことである。
それにしても科学技術の進歩とはいえ、これからの中高生は昔のような『1キログラムは4℃における水1リットルの重さ』というような簡単な答えではマルがもらえなくなる。同様に『1メートルは地球の北極から赤道までの子午線の長さの1千万分の1の長さ』ではなく、『1メートルは真空中を光が1秒間に進む距離の299,792,458分の1』であり、『1秒は地球が自転する時間の24分の1を1時間とし、その3600分の1の時間』ではなく、『セシウム原子の共鳴周波数が9,192,631,770ヘルツなので、1秒はセシウム原子の共鳴周期の9,192,631,770倍』である。
友人を訪ねてハワイ島に来ている。
昨日はMauna Laniでゴルフ。ハワイのゴルフ場の景色は最高。
今年のシアトルの天候は不順で2月に続き3月も気温が低く、後半になってようやく春らしくなってきた。
わがやのそめいよしのの開花は3月22日だったが、一週間後の今日満開となった。去年はわれわれが日本を訪問していた3月の4週目の満開だったようなので、ほぼ同じだ。ちなみに2017年は3月15日、2009年は4月11日の満開だった。
わがやの桜が満開になればゴルフシーズン、今年は頑張るぞ。
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