わがやをしばしば訪れる鹿はくまごろうにとって、洋子さんが丹精込めて育てていたばらやチューリップなどを食い荒らす歓迎されざる訪問者であることは前に述べた。
わがやのバックヤードにはカナディアンメープルがたくさんあるが、この樹は極めて生命力が強く、伐採した樹の幹から次々と新しい枝を伸ばして若葉をつけ、庭の景観を著しく害する。そのためくまごろうはカナディアンメープルの若い枝を切除するのが春の仕事になっている。また、バッターカップとよばれる黄色い目立つ花をつける多年生の雑草も繁殖力が強く、バックヤードのグラウンドカバーであるツタのカーペットを押しのける厄介者だが、この駆除も年中行事である。
一昨日の夕食時に洋子さんが窓の外に鹿が来ている、というので見ると、雄の若い鹿が一頭でバックヤードを訪れていた。はじめはツタの若葉を食べていたが、そのうちにカナディアンメープルの若葉を食べ始めた。それらを食べ尽くすと今度はバターカップの花を食べ、庭の一部分ではあるがその辺りのすべてのバターカップの花が消えた。鹿を迷惑に思っていたわれわれではあるが、この鹿は例外だ。スカベンジャーとして時々来て欲しい。そういえば以前、シアトルの公園か何かで雑草の駆除に羊を使っているのをニュースで見たことがあるが、この鹿もそれに匹敵するすぐれものだ。またの訪問を期待する。
ホバリングしながら砂糖水を飲むハミングバード
さかさまのハミングバード
わがやにはハミングバードがフィーダーに入っている濃い目の砂糖水を飲むために頻繁に訪れる。近頃のように花がたくさん咲いている時期になってもわがやのフィーダーは人気スポットだ。われわれはこのフィーダーを世話している洋子さんにあやかり、Yoko’s Caféと称している。以前使っていたフィーダーは止まり木がないため、ハミングバードはホバリングしながら長いくちばしをフィーダーの穴に差し込んで砂糖水を飲んでいた。
今使っているフィーダーには飲み口の周りにある花びら模様に止まり木があり、怠惰なハミングバードはこの止まり木に止まって羽根を休めてのんびりと砂糖水を飲む。
先日、何気なくフィーダーを見るとハミングバードが上下さかさまになって止まり木に止まっているのに気付いた。この鳥はさかさまの状態で数分間ぶらさがっていた。よく見ると、くちばしをわずかに開いて長い舌を動かしている。具合が悪いのか、と思ってこの鳥に近付くと身の危険を察知したのか逃げていった。
数日後、一羽のハミングバードが止まり木に止まってじっとしていたが、仲間の鳥が飛んできてこのハミングバードに接触すると、まるで鉄棒で遊んでいるかのようにぐるりと180度回転し、さかさまになった。人間でも逆立ち健康法をやっている人もいるが、このハミングバードも胃下垂か何かで逆立ち健康法をやっていたのだろうか。この日以来、逆立ちハミングバードを見ることはない。
ねこはよく眠る。わがやの花里子は一日のうち、少なくとも20時間は眠っている。眠っていないのは、餌を食べるか、外の景色を眺めるか、おもちゃで遊ぶか、甘えるか、用を足す時くらいだ。近くに座っていると思ったら、いつの間にかうとうとと眠っている。変な格好をして寝ていても、われわれと違い寝違えたり肩を凝らせたりはしない。寝起きざまに思い切り背伸びをすれば、それですべておしまいだ。ねこは夜行性というがそれは野生の猫で、花里子のようにデッキ以外は屋外で行動しないねこは、夜中はわれわれのベッドの上で頭を抱えて熟睡している。洋子さんは時々ねむれない、と不満を漏らすが、いまだかつてねこの不眠症なんて聞いたことがない。ねこは眠ることに関しては天才だ。
ねこは狭いところが好きだ。身を守るのに適していると考えているのだろう。病院に連れてゆく時は嫌がるくせに、普段はリビングルームにおいてあるキャリーケースの中に勝手に入って丸くなって熟睡している。陽だまりがあれば、真夏の暑い日でもその真ん中で気持ち良さそうに眠っている。
われわれがテレビを見ている時、そばに置いてある花里子用の寝箱に入って顔を上げていたのに、眠気が我慢出来なくなって頭がこっくりと下を向いた。まるで謝っているように見えたので、起こさないようそっとシャッターを押したが、この状態でしばらくの間眠っていた。
わがやには相変わらず鹿が訪れているが、多くの場合暗くなってからの訪問のため、朝、洋子さんが育てている花が食べられていて初めて歓迎されざる訪問者に気付くことが多い。チューリップはここ数年全滅、ユリは囲いをつけて何とか守っているが、シャクヤクやあじさいには見向きもしない。これらは鹿にとって有毒のようだ。
昨日は夕方まだ明るいうちに4頭の鹿がわがやのバックヤードに現れた。これまでほとんどの場合、訪ねてくるのは母鹿と小鹿の家族であったが、今回は珍しいことに角のある雄鹿が3頭と角のない小鹿が1頭だった。鹿は成長すると雄は雄同士、雌は雌同士で集団を作ると聞くが、これは雄の集団なのだろう。バックヤードではメープルやツタの若葉を貪っている。食事が一段落すると、バックヤードを運動場に見立てて追いかけっこをして走り回る。やはり雄鹿なので行動が活発だ。大切にしているそめいよしのや日本のもみじが被害を受けないか、見ていてはらはらする。
9時過ぎ、周囲がかなり暗くなってきた時には彼らはもういなかった。ねぐらに帰ったのだろう。鹿は見ていると可愛らしいが、食害を引き起こすので、ハミングバードやリスやアライグマのようには歓迎出来ない。
わがやのバックグラウンドに再び鹿が訪れた。今回は母鹿と小鹿二頭の家族連れで、小鹿はその大きさから今年生まれたのだろう。母親のそばで草や木の若葉を食べている。
鹿は泳いでレイク・ワシントンを渡りマーサーアイランドにやってくると思われるが、小鹿たちを見ていると、彼らが一緒に500メートル以上ある距離を泳いできたとは思えない。とすると彼らはマーサーアイランド生まれなのだろうか。
この島には鹿を襲うような動物はいない。また食べ物となる草や木の若葉、チューリップやバラなど季節ごとの花、家庭菜園で育てている野菜類などは豊富である。冬でもツタがそこらじゅうにあり、雪もめったに降らないので年間を通して餌には困らないのだろう。2008年11月にくまごろうが初めてこの島で鹿を見て以来、鹿の生息数は増え続けていることだろう。
昨日夕食後に何気なくバックヤードを見ていると、アライグマが歩いているのを見つけた。まだ小さく子供と思われるが、わがやに顔を見せるのは久し振りだ。バックヤードを横切って、メープルの切り株に座り、くまごろうの方をじっと見つめている。
アライグマはマーサーアイランドのシンボルともいえる動物で島内にたくさん生息しているが、夜行性のため自宅周辺に現れない限りあまり見かけることはない。以前住んでいた島の南にある住宅には近くに巣穴があったのかアライグマが一家揃ってよく訪れていたが、今住んでいる家ではあまり見かけない。
アライグマは雑食性で小動物、魚やザリガニなどの水性動物、昆虫、農作物などを食べるが、島の南に住んでいた頃は子供たちが小さかったこともあって、卵を与えると小さな穴を開けて殻はそのままにして中身を上手に飲むのをガラス越しに眺めたものだ。
昨日はアライグマがバックヤードにいるあいだ、木の上でカラスがうるさく鳴いていた。アライグマは木登りも上手なので、林の中にあるカラスの巣が襲われないよう、仲間に警告をしていたのかもしれない。アライグマも鹿と同様その姿は可愛いのだが、人をあまり恐れずゴミ箱をあさってゴミを散らかしたり、ドアが開いていれば室内に侵入するなど悪さをすることもあるので、ちょっぴり迷惑な訪問者でもある。
わがやの姫君は体重が7キロもあるおデブちゃんだが、さすがはネコで敏捷だ。デッキの手すりの幅は9センチに満たないが、その上にピョンとジャンプし、手すりの上で昼寝も出来る。手を揃えると、それだけで手すりの幅一杯となり、胴体の両側は手すりから下に垂れることになる。
このような格好で、うとうとしながらすぐ先に吊り下げられているフィーダーを訪れるハミングバードを眺めるのが花里子の好きな夏の過ごし方のひとつだ。
このところ頻繁に鹿の親子がわがやを訪ねてくる。かのこがはっきり見える小鹿が2頭と母鹿1頭の親子連れだ。
下草やつたの若葉を食べているのは構わないが、フロントヤードの桔梗のつぼみを食べたので洋子さんは腹を立てている。鹿のせいでここ数年わがやではチューリップや背丈の低いバラを育てられないが、いずれわがやの庭では鹿が食べない椿、さくら、シャクヤク、あじさい、ラベンダー、てっせん位しか花を咲かせることが出来なくなるかもしれない。
ほぼ毎月のようにわがやに鹿が訪ねてくるようになり、またしばしば鹿がわがやの前の道を横切って向いのグリーンベルトとの間を往来するため、マーサーアイランド市に依頼して昨年6月にわがやの前を走るGallagher Hill Roadに『鹿に注意(Deer Crossing)』の標識を立ててもらった。わがやをはさむ約100メートルの地点に2本の標識が立てられ、これで鹿が巻き込まれる事故が防止出来るだろうと少し安心した。
今年1月、この標識のうちわがやに近い1本が何者かにより引き抜かれなくなっていることを発見し、市に連絡したところ数日後に復旧した。不心得ものがいたずらして引き抜いて、近くの谷に放置してあったようだ。
3月になって再び同じ標識が紛失しているのを見つけ、市に連絡した。念のため標識のあった近くの谷を注意深く見たが、標識らしきものは見当たらなかった。数日前に新しい標識が立てられた。
それにしても誰がこの標識を引き抜いたのだろう。わがやの前の道は高校生が通学に使っているが、交通量が少なくないので日が高いうちはそのようないたずらは不可能だろう。やるなら闇に乗じて暗くなってからに違いない。新しい標識は簡単に引き抜かれないよう、柱はコンクリートで固められてある。念のため手で押したり引いたりしてみたが、びくともしない。これで当分の間は標識が紛失することもないだろう。
ネコは体内にたまった毛を排泄するために時々草を食べるが、花里子は草に加えパンジーが好きだ。そのためわがやでは冬でも室内で鉢植えのパンジーを育て、切らしたことがない。しゃれたヨーロッパ系レストランではパンジーは食べられる花としてサラダに添えられる。
フロントデッキに落ちていたさくらの花びらを花里子が食べようとしていたので、洋子さんが満開のさくらの小枝を取ってきて見せると、花里子は花びらを1枚づつおいしそうに食べる。さくらの花はさくら湯にしたり塩漬けにしたりして食に供するが雅なものである。さくらの花が好きな花里子も意外と風流なネコ?
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