リーダーとして理想を身近に語ってみる
7月
21日
理想を語ることは、一見すると絵空事のように受け止められたり、現実を見ていないと思われがち。
「そんなことよりもやることあるだろう」
なんて言われることばかりだが
私は粗末にしたくない。
結果をつくることに尽くすけど、本当に人を動かすのは「数字」や「手段」ではなく
「どこへ向かっているか」
「それを目指す理由は何なのか」
という理想の語り口。
つまり
理想を語ることは、方向性を示す力以上に、「その道を共に歩みたくなる理由」を育てる力なんだと思っている。
理想は
人の行動に『意味を宿すための灯り』になるんだ。
理想とは、単なるスローガンなんかじゃない。
それは、リーダー自身の「どんな世界を生きたいか」という意思であり、
同時に、メンバーの努力や選択に「意味と希望」を与えるもの。
人は、自分の行動が「ただの仕事」ではなく「自分たちが目指す世界に近づく一歩」だと感じられたとき、
・主体性がふくらみ
・つながりが育ち
・小さな改善に喜びを見いだせるようになる。
理想とは「目標」ではなく、「実感の伴った行動の原動力」なんだ。
そしてその理想をリーダー自身の言葉で語ることが、チームに「未来を共有する関係性」を育てる鍵になっていく。
たくさんのリーダーとかかわってきた中で、あるプロジェクトチームではそのリーダーは常に「進捗率」「未達項目」を中心に語っていた。
メンバーは「管理される…」という感覚に嫌気を感じている様子だった。
それはリーダー自身も感じていて、本当に伝えたいことは何だったのか、ゆっくりお話した。
後日、違和感を感じていたリーダーが、ある定例ミーティングでこんなことを話した。
「僕たちがこの仕事に取り組む理由は、一人ひとりが声を届けやすい社会を実現したいからなんです。
成果も大事。
でも、その先にある誰かの安心のことを、常に忘れずにいたい。
どうか一緒に進んでほしい。」
その瞬間、場の空気が変わるのを感じたそう。
その後メンバーからは
「このプロジェクトが自分ごとになった気がする」
「作業じゃなくて、価値に向かってる感じがする」
「志していたことを思い出した気がする」
そんな声が聞こえてきたことを嬉しそうに知らせていただいた。
理想を語ったからこそ、現実逃避していたような現実にもともと持って意味が目を覚ましたような、そんな瞬間だったような気がした。
きっとそれが、リーダーの語りがもつ力なんだ。
理想を語れるリーダーとは
『希望を他者の言葉に変えて届けられる人』なのかもしれない。
理想を語ることは、単なる夢や理念の表明ではない。
それは
行動に意味を宿す言葉を、関係性の中で紡げる力のこと。
そしてその力こそが、リーダーを「指示する人」ではなく、『共に歩む人』としてチームに根づかせていくのだと思う。
理想を語れるリーダーは
・口先の希望ではなく、「今ここ」にある営みの意味を見出して
・一方的な訴えではなく、「問いを育てる」語りを選び
・自分だけの夢ではなく、「誰かの願いをすくい上げる」力として発揮できる。
それが、リーダーという存在に温度と信頼を宿すのではないかと、最近そんなことを感じるようになってきた、ポンコツリーダーでした。
↓コーチ加藤雄一