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投稿日 2021-03-29 00:33
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
あけるパスタソース 三洋食品「○○によく合う」ツナ缶シリーズのひとつ。オリーブオイル特有の風味を乗りこなすため、トマトとバジルでおかず系缶詰にプロダクトデザインを寄せた。 現在は新オリーブオイルツナに看板を譲っているものの、新オリーブオイルはオリーブオイルの風味を生かし、旧オリーブオイルはオリーブオイルの風味をいなした……という性格の違いによって棲み分けされている。 三洋食品の直売所で購入した。2017.6製造。3年半の熟成をおこなっている。☆缶を開けたところ 大きな身とトマトの皮、バジルの葉(黒い点)が見える。パッケージから想像していたものと違い、バジルやトマトの風味は最前列から一歩引い...
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投稿日 2020-12-31 10:43
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
■阿部亀商店 WILD ALBACORE TUNAの解説:クラウドファンディングからの刺客 宮城県は塩釜の水産加工会社によるツナパウチ。はるか昔ツナ缶の黎明期、塩釜にもツナ缶会社が点在していたが、企業の統廃合や気仙沼への移転ほかの事情でむこう半世紀くらいは製品作ったぜという記録がなかった。本品は、各地で興る小ロットツナパウチのトレンドをくみ、そこにクラウドファンディングという新機軸を用い資金を獲得している。インスタでも購入報告がちらほら。 原材料はビンナガと食塩のみ。食品添加物不使用を前面に押し出し、裏面にはアレンジレシピも書いてある。 クラウドファンディングのリターンのため、通常の方法では...
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投稿日 2020-07-26 00:57
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
シーチキンの源流 もともとシーチキンは1958年に後藤缶詰所(今のはごろもフーズ)が商標登録したもので、その食感と色がニワトリの肉に近いことから名づけられた……そんなエピソードが知られる。高度経済成長によって相対的にツナ缶が手ごろになったこと、内販拡大を支えたはごろも隊の活躍が後押しして、「ツナ缶」を日本の市場に根付かせた。シーチキンファンシーは命名当初から今に至るまで姿かたちを変えラインナップされ続けていたと記憶する。 なお「今も売ってる中で日本最古のツナ油漬缶」は、シーチキンではなく三洋食品のプリンス赤缶(1953)で、創業者のこだわりを堅持することでシーチキンとはまた異なるファン層を獲得...
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投稿日 2020-07-17 05:53
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
沖縄向けの高級シーチキン 沖縄のツナ缶生態系は内地(本州)と大きく異なる。人口当たりのツナ缶使用量が莫大で、福岡県民510万人が食べるツナ缶を沖縄県民145万人の人口で消費しているし、それにあわせて地元スーパーのツナ缶売場も輸入廉価品から国産高級品、箱売りからバラ売りまで幅広く網羅している。首都圏も静岡も、ツナ缶売り場で箱売りしてるのってなかなか見ないし。 その中で、高級品の位置づけになっているのが本品シーチキンフレーク。ビンナガマグロと綿実油を組み合わせた伝統的なホワイトミート製品で、同社Lフレークやマイルドもろとも12缶入り1箱単位で販売されている。 ときには12缶1296円という(内地...
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投稿日 2020-04-30 23:51
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
「普段使いの高級ツナ缶」として 関東に展開するスーパー、ヤオコーの自社プライベートブランド「Yes!」。その中の高級品レンジを担うYes!Premiumにある黄土色のツナ缶がこれ。 パッケージ上部に中身の写真(盛り付けてない)を載せているほか、同PBのまぐろ油漬缶から価格で差別化している。とはいえ3缶セット473円税込(1缶あたり157.6円)と、ほぼ普及品の価格で購入できる。 廉価品に集中しがちなスーパーPBの中で異彩を放つ。 油の使用量を少し減らすことで、1缶あたりのカロリーを200kcal以下に抑えた。製造は駒越食品が担当していて、バロー(中部地方のスーパー)の高級品レンジのツナ缶やオト...
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投稿日 2020-01-21 03:43
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
本州の果てで造られる生マグロの味付缶(本記事の「勝浦」は、特記ない限り和歌山県の「那智勝浦」です) 本場静岡県から西に450km弱。和歌山県、那智勝浦町。国産ツナ缶の97%は静岡でつくられている(2018年)が、わずかに別の地域でも製造されている。 読者にとってなじみ深い宮城県が数パーセント、他に高知県、和歌山県。この風光明媚な場所でごく少量製造され続けているツナ缶がある。 筆者は過去二度にわたり勝浦へ出向き、このツナ缶を購入しているが、JF和歌山に移管したあとの製品はまだ購入していなかった。そのため、またツナ缶のためだけに勝浦まで足を運び、本缶を手に入れた。しかも今回は日帰り。 なお、兄弟...
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投稿日 2019-09-26 11:55
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
全て手作りのツナ瓶 2017年、東京・池尻大橋の小料理屋から生まれたツナ瓶詰「おつな」シリーズ。ツナ缶では再現できないシックな見た目と小洒落た名前が渋谷区民に受け、贈答品として各メディアに取り上げられるに至っている。その人気は、19年9月現在ネット通販全品が一か月のバックオーダーになるほど。名前的が伊豆川飼料・とろつなしろつなそっくりで、同社との親交もある。 焼津に直売所併設のラボを作ると聞いてご挨拶に伺い、そこで頂いたのが本品だ。ツナ製品としては珍しく高品質なインタビュー記事が幾つかあったので、製造に至るまでのストーリーは本記事末・参考資料の項が役立つと思う。 ツナ缶ブログは製品に着目する...
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投稿日 2019-08-28 13:17
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
希少な自社ブランド&ホワイトミートのツナ袋 三共食品は主にOEMでレトルトパウチ製品を作っている会社で、一般消費者がその名前を目にすることはほとんどない。このツナ袋も二十年ほど前から作られていたものの、大々的にアピールされるようになったのは最近のことだ。製品の出自は山梨罐詰のまぐろ油漬ソリッドとよく似ている。 ツナ缶との違いはパッケージや油の割合にあり、缶よりかさばらないパッケージで、油漬カテゴリながらツナ缶(70g)に換算したカロリーは163kcalまで抑えられている。これでいて液切りが要らず、あらゆる手間が軽減されている。なにより、ホワイトミート(ビンナガ)製品でパウチを採用する国産品は...
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投稿日 2019-07-21 23:21
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
これぞツナ缶のルーツ 戦前生まれの老舗缶詰会社、由比缶詰所。その中で創業当初からの味を堅持してるツナ缶の片翼がこの綿実油ファンシーである。戦時下統合、統合の解散、OEM専業時代を経て自社ブランド(ホワイトシップ印)を再興したとき、白と水色の大型缶がそこにいた。 大型缶から枝分かれする形で90g小型缶がラインナップされ、現在はこちらの小型缶・オリーブオイル漬が由比缶詰所の人気製品となっている。 スペックそのものは90年前の対米輸出ツナ缶と同じ、伝統的な綿実油漬のソリッド(かたまり肉)缶となっている。違いは缶の大きさくらい。 同じような製品スペックだとシーチキンファンシー、モンマルシェの綿実油ソ...
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投稿日 2019-06-04 22:26
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
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長井ずみ
希少なホワイトミートのかたまり水煮 高いツナ缶を作り続けているモンマルシェ。ツナ缶もオイルサーディンも軒並み脂っこい製品で占められているが、これは水煮で高級感を求めたものだ。オイルを受け付けない体質の人でも安心して食べられる。 実は「ビンナガ(ホワイトミート)使用の」「水煮で」「ソリッド」という製品はツナ缶全体で見ても非常に少なく、国内で本品と競合しうるツナ缶は素材そのままシーチキンファンシーや、ノザキのゲイシャ水煮ソリッドくらいしかない。そのくらい、市場に出回る水煮缶はライトミートやフレークが多いのだ。ツナ缶ブログでも初めて取り上げるジャンルになった。 スペックに着目しよう。水煮缶の平均カ...