家の中で消えた銃をめぐって家庭内に疑心暗鬼が広がっていく様子をスリリングに描いた
『聖なるイチジクの種』が、2025年2月14日より公開されます。
『悪は存在せず』などで国際的に高く評価されながらも母国イランでは自作映画で政府を批判したとして複数の有罪判決を受けた<モハマド・ラスロフ>監督が、2022年に1人の女性の不審死をきっかけに起きた抗議運動を背景に、実際の映像も盛り込みながら描きだしています。
テヘランで妻や2人の娘と暮らす「イマン」は、20年にわたる勤勉さと愛国心を評価され、念願だった予審判事に昇進します。しかし仕事の内容は、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を下すための国家の下働きでした。報復の危険があるため家族を守る護身用の銃が国から支給されますが、ある日、家庭内でその銃が消えてしまいます。
当初は「イマン」の不始末による紛失と思われましたが、次第に妻「ナジメ」、長女「レズワン」、次女「サナ」の3人に疑惑の目が向けられるようになります。捜索が進むにつれて家族でさえ知らなかったそれぞれの顔が浮かびあがり、事態は思わぬ方向へと狂いはじめます。
2024年・第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされるなど高い評価を獲得した作品です。