今年の読書(62)『酒を主食とする人々』高野秀行(本の雑誌社)
11月
14日
酒をたしなむ者として、気になるタイトル『酒を主食とする人々: エチオピアの科学的秘境を旅する』という単行本 –が、2025年1月22日に刊行されていました。
表紙に写る少年の持っているペットボトルは、アルコール度数3~4%の「パルショータ」と呼ばれるお酒です。それは、英補給のための「弁当」であり、また水分補給のための「水筒」でもあると言います。
本書はエチオピア南部の「デラシャ」という民族が、イネ科モロコシ属の「ソルガム」という穀物からつくられる濁り酒を子供から大人までが栄養源として暮らしている取材旅行記です。
テレビ番組の一環としての取材でもあり、紆余曲折の場面もありますが、結果的に実在していた酒を主食とする秘境の住民たちでした。1日中呑んでいるのに、しなやかな肉体を持つ人々の出会いは、現代医学では説明できないようですが、一人の酒のみとしては、勇気をもらえる一冊でした。










田中 久史
kito
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