びんながまぐろ全体からわずか1%程度しか取れないとろ肉だけを使用し、一缶ずつ丁寧に手詰めしました。オリーブオイル漬けで、少し贅沢な家飲みにぴったりな一品です。 こんなツナ缶です ■おねだん けっこう高い(600円前後) ■魚の種類 ビンナガマグロ(ホワイトミート) ■液汁の種類 油漬け(ゆるい香りのオリーブオイル) ■身のほぐし方 トロ肉のかたまり ■おすすめの食べ方 お皿にあけて一枚ずつはがして おいしそうに食べてほしい シーチキンとろ、まさかのリバイバル・リニューアル(2021.11開缶) シーチキン群の中で高級品として渋い地位にいるシーチキンとろ。なんと80年代に販売されていた「シーチキンとろ(オリーブオイル漬)」にリバイバルした。これにあわせ、フタが開けやすいものから従来のタブ付き(EO缶)に戻り、ついでに国産からタイ製造に転換した。 この先祖返りについて、おそらくシーチキン全体で進めている「賞味期限をYYYY.MM(年月)表記に統一」が大きく絡んでいると考えている。 Q:どうしてシーチキンの賞味期限は年月表記になったの? いつまで食べられるの? A:シーチキンを売るお店や、それに携わる方々の負担を減らすため。書いてある年月の月末まで食べられる。 従来シーチキンの賞味期限は年月日が書かれたYYYY.MM.DDになっていて、たとえば賞味期限が 2021.06.10 なら、2018年6月11日に作られたツナ缶(3年-2020年の閏年を引く)といったように製造日の逆算がしやすいメリットがあったが、販売店や卸の倉庫に 2021.06.10 と 2021.06.22 のツナ缶が在庫したときに先入先出(古い在庫から先に消化する)で前者と後者を区別しなければならず、整理の手間を流通側に与えていた。 それを解決するのが年月を書くYYYY.MM表記で、 どちらも 2021.06 という賞味期限を使ってしまえば、事実上どちらも同じロットとして扱えるため、販売店と倉庫の負担を減らすことができる。 また、賞味期限はどちらの 2021.06 であっても、その月の月末(2021.06.30)までメーカーが保証してくれる。 しかしこう思うはずだ。「(缶詰会社から見て)消えた日単位のロットはどう管理するの?」と。 なんのことはない。 /YA ※などの缶詰会社用の符号を足すことで、缶詰会社はそのツナ缶がいつ作られたのかがわかる。 ※(この/XAというのは製造日の上旬がX中旬がY下旬がZ・1桁目は1から順にA-Jを割り当てるという符号パターンのたとえで、実際にシーチキンで用いられているものではない) 他のシーチキンはほとんどYYYY.MM表記に統一されつつあり、他社のツナ缶も追従して順次変わっていく……と思われる。 ■年月表示がもたらすメリットについて詳しく: ・「賞味期限の年月表示化」 農林水産省 2016.12 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_3-15.pdf どうして先祖返りしたの? A:たぶん賞味期限YYYY.MM統一のあおり。他のやさし~る缶もEO缶または在庫限りに。 「やさし~る」ははごろもフーズの登録商標で、イージーピール缶と呼ばれる技術でアルミ製のフィルムをくっつけ、従来のEO缶より軽く開缶できてフチで手を切らないやさしさを獲得。さらに従来と同等の賞味期限3年を持っていて、消費者には良いことづくめの仕組みだった。しかし、前出の賞味期限YYYY.MM統一に伴って月末まで製品保証する必要があることから「賞味期限は製造から37ヵ月」に一ヵ月伸びたため、順次賞味期限を一ヵ月伸ばしても品質上問題がないか確かめる試験を行っている。 そして、この試験ないしYYYY.MM表記に移行させる際、何かの意志決定でリニューアル、もしくは終売にしようと判断され、ラインナップが整理されたのではないか? タイ産に変わったのは製造を担ってきた焼津プラントに内部的な事情があったから? なのかもしれない。どちらにせよ推測の域を出ないのだが、賞味期限YYYY.MM統一に伴うテコ入れで今までやりたかったことをまとめて実施、その結果がオリーブオイル漬へのリバイバルだったのではないだろうか。 (なお、筆者の手元にやさし~る缶かつ製造後3年以上経ったツナ缶があるが、変敗や腐食などの問題はみられないことを付け加えておく。保存の条件は他の缶詰と同じ) この余波で在庫限りになったやさし~る採用缶の一例が シーチキンとろ、シーチキン炙りとろ(いずれもリニューアル)、素材そのままシーチキンファンシー(終売) 。 いずれも強烈な個性のツナ缶だったため、無くなるのは悲しい。しかし、素材そのまま~は水煮のためライトミート製品と差別化しきれないという拡販のネックを抱えていたため、このタイミングで命脈を絶たれるのは自然なことだったのかもしれない…… わりとどこにでも売っているはず。ヨーカドーとか、お高い感じのスーパーとか。前パッケージより黒くて派手に、縦置きになり、見つけやすさとレーン占有量への配慮がうかがえる。 イージーピール缶をやめて、サンマ蒲焼のようなタブ付きイージーオープン缶になった。2021.6製造。 缶を開けたところ かたまり状のとろ肉が入っている。開けるとほんのりオリーブオイルの香りがする。 節目に沿ってはがすことができて、はがすとピンク色の身が現れる。外は固いが、中はやわらかい。食べてるときもオリーブオイルの自己主張が目立つ。 かたまりのままおいて彩るのも、節目で剥がして花のように飾るのもよい。 少なくともタイ産になってグレードや味が落ちたようには感じなかった。 ☆各種評価 ・グレード ★★★★★ 4.8 ・価格 ★★★★★ 5.0 #540円/缶 ・味覚評価 ★★★★☆ 4.4 ・入手性 ★★★☆☆ 3.0 #お高いスーパーにあるはず ・原産国 国産 ☆スペック 固形量55g / 内容総量75g 213kcal/缶 食塩相当量0.8g たんぱく質16.0g 原材料 びんながまぐろ(国産)、オリーブ油、食塩、野菜エキス/調味料(アミノ酸等) JAN:4902560011921 製造固有記号AC TORO TU /AW はごろもフーズ株式会社(静岡県静岡市清水区島崎町151) 製品ページ Tuna canning review No.195 参考資料 ・[PDF]「賞味期限の年月表示化」農林水産省食料産業局 2016.12 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_3-15.pdf ・[PDF]「とろ肉だけを使用した贅沢なシーチキン!「シーチキンとろ」「シーチキン炙りとろ」新発売」はごろもフーズ 2021.8 https://corp.hagoromofoods.co.jp/ja/news/news-3449441819080717386802425790/main/0/link/210813c.pdf ・「数字で見るシーチキン」はごろもフーズ 2018 https://www.hagoromofoods.co.jp/shokudou/numbers/ ・「シーチキン60年の歴史」はごろもフーズ 2018.11 https://www.hagoromofoods.co.jp/shokudou/history/