江戸時代の画家<伊藤若冲>の名前を、初めて知ったのは『なんでも鑑定団』の番組でした。日本画担当の<安河内眞美>が、鑑定されていた場面を記憶しています。
本書はその<伊藤若冲>の絵師として生きた人生を、妹<お志乃>の目線で語り、見事な構成で描かれています。
京の錦高倉市場の青物問屋「枡源」の長男<源左衛門>(=若冲)は、妻の<お三輪>の自死を契機に絵を描くという自分の世界に没頭していきます。
<お三輪>の弟<弁蔵>は、<若冲>を姉の仇と憎み、<若冲>の贋作を造り続けていきます。
早く隠居した「枡源」との確執、当時を代表する画家<池大雅>・<与謝野蕪村>や<丸山応挙>などの実在の画家との交流を絡め、京で起きた天明の大火などの史実と合わせ、壮大な物語が最後まで生き抜くことなく楽しめた一冊でした。
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