炎症は 本来、
病気ではなく、
血流を増加させて
組織を直すための生体反応です。
ですから
炎症部位は赤く充血しているのです。
受精卵が子宮に接着すると、
そこには炎症物質がでています。
炎症物質が近くの血管から
新しい血管を引っ張り込んでくるのです。
この血管新生が
受精卵のライフラインになっているのですよ。
ですから、
弱い炎症は
「妊娠維持の味方」
なのです。
ただ、ブログNo.590のように、
強い炎症は
「妊娠維持の敵」
になります。
カゼの季節です。
冷気により鼻水がでる
冷感アレルギーの方や、
冷気、乾燥、ストレスで咳こむ方は
特に気をつけて。
鼻の中や、気管支の中は、
粘膜の免疫系により、
子宮の中
と、似ているのです。
強い炎症状態では、
免疫細胞が
インターフェロンーガンマ(IFNγ)等
の炎症物質を
大量に分泌しますので、
着床不全や流産を引き起こしてしまう
可能性が高くなるのです。
体外受精・胚移植は3回以上あり、
流産も2回以上ある不育症の方は、
年々増えています。
体外受精・胚移植の治療は
妊娠がゴールではありません。
妊娠しても、流産する方は
少なくないのです。
当院受診された患者様の
10年間の統計では、
流産2回以上経験した
不育症の方(4223人)の
約6人に1人が
体外受精・胚移植も
3回以上経験しており、
体外受精・胚移植の
不成功を3回以上
経験した方(1888人)の
約3人に1人が
流産も2回以上
経験していました。
当院は
不育症の治療と
着床障害の治療を
専門としていますので、
体外受精でやっと妊娠できたのに、
さらに
流産という苦難を経験された方が
多く受診されているのです。
繰り返す体外不成功と、
繰り返す流産を
経験されている方は、
卵の原因以外に、
子宮内環境の原因として、
同種免疫異常と
生殖ストレス
の両面を持っている割合が
非常に多いようです。
2018年12月16日、東京にて、
受精卵の形を顕微鏡でみる
従来のグレード検査ではなく、
細胞の核の染色体(遺伝子の集まり)の
数の異常を検査する
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
について、
日本の予備的研究の途中結果が
公開シンポジウムとして発表されました。
少し前まで
着床前スクリーニング(PGS)
と、呼ばれていた検査です。
結果は、
35~42歳の女性77人中、
38人が胚を移植することができ、
38人中27人が妊娠され、
27人中3人が流産したとのことでした。
移植できた人の
妊娠成功率は約70%であり、
流産率は約10%ということになります。
また、
従来のグレード検査と、
今回の着床前検査の結果は
ずれていました。
受精卵の良し悪しの判断に
グレード検査だけでは無理がある
ことになります。
さらに
遺伝子医学研究者からは
受精卵の高いモザイク率が指摘され、
そのため、
着床前検査の不完全性についても、
発表されていました。
着床前検査(PGT-A)は、
出生前検査(NIPT)と同じく、
生命の選別ではないとは言えないので、
倫理的にも十分な検討が必要であることも
発言されていました。
今後、日本産婦人科学会は、
より詳細な分析のため、
臨床研究を継続するようです。
2018年12月9日、本日午後、
名駅のミッドランドスクエアにて、
第20回「青クリの会」を開催しました。
約40名の方が参加されました。
2011年11月27日に
第1回「青クリの会」を開催して
7年間、
1年に約3回開催してきましたが、
今回にて、「講演会」 は
いったん終了させていただきます。
7年前は、不育症がほとんど
認知されていない状況でしたが、
現在は、
多くの方に認知されていますので、
今後は、来年2月頃より、
「青クリ説明会」 として、
当院の特徴である
不育症と着床障害の
「生殖ストレス」と、
「同種免疫異常」の
原因、検査、治療を中心に、
具体的にお話しする予定です。
具体的になった時点で、
アナウンスさせていただきます。
2008年5月~2018年4月までの
10年間の治療成績がやっと集計できました。
10年間の当院治療成績は、
1769名の不育症の治療成功率が
78%であり、
1187名の5回以上体外受精・胚移植
不成功という
着床障害の治療成功率が
25%でした。
対象のカルテを
すべて見直していますので、
大変な作業でしたが、
一年間の反省を込めて、
また、
患者さんのことを思い出しながら、
行いました。
詳しくは当院のホームページの
治療実績をチェックしてみてください。
今までの治療実績
についてのブログは
下記の #(ハッシュタグ) を
クリックすると、検索できます。
今まで何回も流産をして、
何回も赤ちゃんを失くしている
方にとって、
妊娠初期の超音波検査は
期待より、
こわくて、怖くてです。
今日、ある方の赤ちゃんが
心臓の動きを止めていました。
超音波検査の画像を見ながらの、
私の声は空々しく、
ご本人の気持ちは
閉ざされていました。
結果がすべてですが、
運命もあり、
本当に辛くて悲しい瞬間です。
専門の助産師が
ご本人に寄り添ってくれました。
治療させていただいている私も
気持ちが折れそうになってしまいます。
忙しい日常のなか、
不安がどんどん増え、
生きている 意味 さえ、
わからなくなってしまう
ときがあります。
それでも、
多くの方は
がんばっています。
毎日の生活のなか、
がんばったのに、
結果が伴わなかったとしても、
がんばったなら、
その行動は立派なことです。
がんばった自分をほめてあげて。
その行為が
生きている 意味 であり、
生きている 喜び なのですから。
現在、当院初診の約3人に1人が、
38歳以上です。
また、その多くの方が
仕事を持っています。
ばりばり仕事をされている方は、
一般的に、
妊活と妊娠初期の生活も
仕事のように、
いろいろ考えすぎてしまう
傾向があるように感じられます。
仕事ならば、
ある程度、
がんばりに見合った達成感はありますが、
赤ちゃんを授かるために、
過剰ながんばり・ストレス・不安は
禁物ですし、
また、
結果には運命もあります。
あまりにも仕事のように
考えすぎ、がんばり過ぎると、
逆に
子宮内環境を悪くしてしまう
場合もあるのです。
このような場合の
子宮内環境の悪化には、
ブログNo.573でお話しした
交感神経の過緊張による
恵みの窓の縮小が、
原因のひとつと考えられます。
ブログNo.479を見ると、
認知行動モデルがわかります。
落ち込んだとき、
自然と浮かんでくる考えは、
たぶん悲観的な事ばかり。
そんなとき、
あまり深く考えず、
まったく関係ないことに
気晴らししてみては?
ひたすら体を酷使してみては?
時間をおいて、
今度は、
無理やり
今の自分を納得させるよう、
考えてみては?
あなたは
がんばっているのですから、
あなたのこころは
激しく動いているのですから、
つまり、
あなたは、
深く 激しく 生きている。
何の 関心事 もなくなったら、
こころは動きません。
生きている意味が薄れます。
良いことも、
また、悪いことであっても、
関心事 が多ければ、
イキイキ生きている
ということです。
ブログNo.211、192、173、6、5、
も参考に。
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