今年の読書(70)『母が笑う』シャンタル・アケルマン(モ・クシュラ)
10月
23日
長篇やドキュメンタリーなど生涯に40本の作品を残した映画監督<シャンタル・アケルマン>(1950年6月6日~2015年10月5日)の自伝的エッセイ『Ma mère rit』が、フランスでの刊行から13年を経て<永田千奈>で初邦訳され、『母が笑う』の題名で、2026年10月6日に発売されています。
1950年にベルギー・ブリュッセルで生まれた<シャンタル・アケルマン>です。1971年にニューヨークに渡り、実験・前衛映画の影響を受け、以後はニューヨーク・パリ・ブリュッセルを拠点に独自の表現を切り開きました。
映像インスタレーションにも取り組み、世界各地の美術館・美術機関で作品を発表。『母が笑う』では、ホロコーストを生き延びた母<ナタリア>の晩年を背景に、映画を作ることについてつづっています。<シャンタル・アケルマン>は、2014年に母<ナタリア>を亡くし、翌2015年に鬱病で入院生活を送っていたパリで、自身の生涯を閉じています。
アウシュヴィッツ強制収容所を生還したユダヤ系の母<ナタリア>の晩年と、その介護という現実が基軸となっています。母との確執、複雑で深い愛、自身の精神的な不調(うつ病など)や内面の苦悩、家族の記憶が、家族写真や映画のスチールを交えながら自在に往来する形で綴られています。
また、本書は、母をめぐる<シャンタル・アケルマン>の映画遺作ドキュメンタリー『No Home Movie』(2015年)とも深く密接に関連しています。









