記事検索

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://jp.bloguru.com/falcon
  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1940件

今年の読書(70)『母が笑う』シャンタル・アケルマン(モ・クシュラ)

スレッド
今年の読書(70)『母が笑う』...
長篇やドキュメンタリーなど生涯に40本の作品を残した映画監督<シャンタル・アケルマン>(1950年6月6日~2015年10月5日)の自伝的エッセイ『Ma mère rit』が、フランスでの刊行から13年を経て<永田千奈>で初邦訳され、『母が笑う』の題名で、2026年10月6日に発売されています。
 
 1950年にベルギー・ブリュッセルで生まれた<シャンタル・アケルマン>です。1971年にニューヨークに渡り、実験・前衛映画の影響を受け、以後はニューヨーク・パリ・ブリュッセルを拠点に独自の表現を切り開きました。
 
映像インスタレーションにも取り組み、世界各地の美術館・美術機関で作品を発表。『母が笑う』では、ホロコーストを生き延びた母<ナタリア>の晩年を背景に、映画を作ることについてつづっています。<シャンタル・アケルマン>は、2014年に母<ナタリア>を亡くし、翌2015年に鬱病で入院生活を送っていたパリで、自身の生涯を閉じています。
 
アウシュヴィッツ強制収容所を生還したユダヤ系の母<ナタリア>の晩年と、その介護という現実が基軸となっています。母との確執、複雑で深い愛、自身の精神的な不調(うつ病など)や内面の苦悩、家族の記憶が、家族写真や映画のスチールを交えながら自在に往来する形で綴られています。
 
また、本書は、母をめぐる<シャンタル・アケルマン>の映画遺作ドキュメンタリー『No Home Movie』(2015年)とも深く密接に関連しています。
#エッセイ #ホロコースト #単行本 #志賀監督 #映画 #読書

今年の読書(69)『香港映画との日々、伏線と回収の間』西森路代(亜紀書房)

スレッド
今年の読書(69)『香港映画と...
アジアの映画やドラマを中心に執筆してきたライターの<西森路代>(1972年生まれ、愛媛県出身。)による、香港映画の魅力と自身の半生をつづったエッセイ『香港映画との日々、伏線と回収の間』が、9月25日に刊行されています。
 
 本書では、1990年代から香港と香港映画に魅了されてきた著者が、香港映画との出会いと自身の人生を重ねながら、その魅力を伝えています。
 
地元の愛媛・松山から夜行フェリーで大阪へ向かい、そこから香港へ飛ぶ旅を何度も繰り返した時代や、30歳で上京し、アジア系のムックの編集に携わり、文化放送のラジオ番組のディレクターを経てフリーライターとなり、派遣や契約社員として働きながらエンタテインメントの仕事へ近付いていった軌跡を振り返ります。
 
作中では<ジャッキー・チェン>、<トニー・レオン>、<金城武>、<ルイス・クー>ら俳優や、<ウォン・カーウァイ>、<ジョン・ウー>、<ジョニー・トー>の監督たち、『男たちの挽歌』・『インファナル・アフェア』・『花様年華』・『旅立ちのラストダンス』をはじめ、2025年に日本でもヒットしました『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』などの作品が取り上げられ、香港映画をめぐる30章で構成されています。
#単行本 #映画 #読書 #香港

今年の読書(68)『のんフィクション ヒーロー誕生』小松成美(文藝春秋)

スレッド
今年の読書(68)『のんフィクション ヒーロー誕生』小松成美...
俳優・アーティストである<のん>の評伝『のんフィクション ヒーロー誕生』が、9月15日に文藝春秋より発売されています。
 
ともにドラマ化されました『虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡』・『M 愛すべき人がいて』で知られるノンフィクション作家<小松成美>が長期間にわたる取材を重ね、生い立ちから<能年玲奈>から新たな<のん>への命名、創作活動への飽くなき衝動までを書き上げています。
 
 <のん>は、今年2026年には映画『平行と垂直』やドラマ『Tokyo middle 30』などの作品に出演しています。本書では、これまでほとんど語られることがなかった彼女の心の内が明らかにされています。
 
兵庫県神崎郡神河町の大自然の中で育った少女時代には、モデル活動における体型管理で苦しみ、母と激しく衝突する葛藤の日々がありました。15歳で出会ったアクティングコーチからは演技の楽しさを教わり、主演に抜擢された2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』では〈尊敬すべきレジェンド俳優〉たちとの出会いもありました。
 
また2016年に話題を集めた長編アニメ『この世界の片隅に』(2016年)でのエピソードも披露され、周囲の不安や懸念を押し切って彼女を起用した監督<片渕須直>の思いや、<のん>が〈すずさん〉を声で演じ切った挑戦の様子も出てきます。
 
その一方でギターとバンドを愛し、ミュージシャンとしての情熱と気概を音楽に込める一面がありました。ジャンルを超えて挑戦し続ける彼女の探究心や、深い信頼で結ばれた「チームのん」の存在、そこから生まれる奇想天外なプロジェクトの数々も紹介されています。
 
この本は単なる芸能人のエピソード集ではありません。社会の理不尽や周囲の無理解に囲まれながらも、自分の心を偽らずに、我が道を切り拓いてきた《一人の開拓者の記録》です。
#単行本 #映画 #読書

今年の読書(67)『昆虫絶滅 』オリヴァー・ミルマン(早川書房)

スレッド
今年の読書(67)『昆虫絶滅 』オリヴァー・ミルマン(早川書...
昆虫が姿を消したとき、何が起きるのか、地球の気候変動の加速、食料供給の崩壊、病気の蔓延など、今そこにある危機と、昆虫たちのSOSを分析した2023年12月5日刊行の<オリヴァー・ミルマン>の『昆虫絶滅 』です。
 
昆虫はばくだいな種類と個体数を誇り、地球上のあらゆる地域と環境において、そこに適した種が存在し、そこに同じく生息する太の動植物に対し、よし悪しは別として長い歴史の中に存在してきました。そんな昆虫たちが、世界的にみて絶滅の危機にさらされています。本書は,その窮状を、強く訴えています。
 
世界から昆虫が消えた地球上で、人類の生活がどれほど悲惨なものになるかを描いたプロローグに始まり、悲惨な世の中の未来図を、学術論文を引用しながら展開されています。
 
我々が日常生活に利用する食料や資材は、多くに種の昆虫の働きに支えられています。しかし、近代化による地球温暖化や大規模農業生産に伴うの山などの自然環境の破壊・農薬散布・外来種の影響などで、個体数が減少の一途です。
 
昆虫の減少は一部の昆虫愛好家だけの嘆きではなく、共に地球上に暮らす人間自身の問題であることを気づかせてくれる1冊でした。
#単行本 #昆虫 #読書

今年の読書(66)『帳の向こう』若林正恭・國分功一郎(文藝春秋)

スレッド
今年の読書(66)『帳の向こう...
お笑いコンビ・オードリーの<若林正恭>と哲学者の<國分功一郎>の共著『帳(とばり)の向こう』が9月11日に発売されています。
 
本書は、コロナ禍の2021年3月号から2025年10月号まで4年半、文芸誌『文學界』(文藝春秋)にて5回にわたって行われた対談をもとに書籍化されています。
 
<若林正恭>がもっとも話したい相手は、哲学者の<國分功一郎>でした。「目的と手段」の社会は終わりつつある?資本主義の魔物に、どう立ち向かえばいい?現代で「快適」を求めるには、勇気が必要?かなど、2人が語り合った、現代への違和感のすべてが話し合われています。
  
<國分功一郎>は「まえがき」で、これは、2人で行ってきた定点観測のようなものです。では私たちは何を観測していたのでしょうか。それは私たちが生きている社会であり、より詳しく言えば、この社会にある息苦しさのようなものであったと思います。と綴っています。
 
<若林正恭>は「あとがき」で、「私がシステムに対しての距離を測り直したきっかけは、國分先生が帳の際で、哲学やその普遍でもってヒントを与えてくれたからに他ならない」と記しています。
#単行本 #読書

今年の読書(65)『九龍城砦III 終章』余兒(早川書房)

スレッド
今年の読書(65)『九龍城砦III 終章』余兒(早川書房)...
映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の続編の原作であり、小説『九龍城砦』3部作の完結篇『九龍城砦III 終章』が、8月29日に早川書房より刊行されています。
 
 <余兒(ユーイー)>による「九龍城砦」シリーズは、1990年の香港の九龍城砦を舞台に「、陳洛軍(チャン・ロッグワン)」、「信一(ソンヤッ)」らの熱き絆と死闘を描く物語です。完結篇では、「龍捲風(ロンギュンフォン)」の死後、「信一」が九龍城砦を統べる「龍城幇(ロンシンボン)」の龍頭に就任します。
 
しかし、それを快く思わない元老の「狄秋(ディッ・チャウ)」が香港黒社会最凶の男「雷(ロイ)公子」と手を組み、澳門や台湾をも巻き込んだかつてない規模の戦いが繰り広げられ、マカオや台湾も巻き込む壮絶な戦いが始まります。
 
850ページの厚さですが、ストーリーがテンポよく展開し、面白く読み終えれました。
 
なお、本作を原作とした映画の続編『原題:九龍城寨之終章』は、2027年に海外で公開予定ですが、日本配給権はクロックワークスが取得していますが上映は未定です。
#単行本 #映画 #読書

今年の読書(64)『夢ノ町本通り─文庫版─』沢木耕太郎(新潮文庫)

スレッド
今年の読書(64)『夢ノ町本通...
『深夜特急』直前、26歳の時に書いたエッセイが収録されています<沢木耕太郎>の『夢ノ町本通り』は、2023年9月29日に刊行されていますが、『山本周五郎名品館』の項目を抜粋して、文庫本の体裁として整えられ2026年08月28日に『夢ノ町本通り─文庫版─』として、発売されています。
 
本に誘われ旅に出た30年間の軌跡をたどる豊潤なエッセイ集です。
 
『凍』を書くきっかけとなった一冊、モハメッド・アリの劇的な人生の行方、『深夜特急』に繋がる映画「ミッドナイト・エクスプレス」との出会い、取材のために働いた梅田の紀伊國屋書店での日々、新鮮な気持ちで歩いた大阪での日本一長い商店街・天神橋筋商店街での古書店を巡る濃い三日間。本を読み、スポーツを観戦し、映画を楽しみ、そして旅をしてきた<沢木耕太郎>の軌跡を辿ることができる、一冊でした。
#文庫本 #読書

今年の読書(63)『絶滅の牙』レイ・ネイラー(創元SF文庫)

スレッド
今年の読書(63)『絶滅の牙』...
ヒューゴー賞受賞の<レイ・ネイラー>の『絶滅の牙』は、2025年10月10日に文庫本が(創元社)より発売されています。
 
近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていました。象を保護する生物学者だった「ダミラ」は死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスにデジタル移植し、群れを率いる存在となります。だが彼女らを狙う密猟者が現れ、自然と人間の相剋を、SFならではの視点で描いています。
 
マンモスの生態や種族保存の工作、マンモスの牙を狙う密猟者や狩猟好きの富豪たちが登場し、生態系のバランス維持の難しさや、ヒューマニズム事態に潜んでいます傲慢さや独善を露呈させています。
 
それにしても、記憶や意識が保存さるようになった世界で、それらを恣意的に利用される者の意識がとても悲しく伝わる、一冊でした。
#SF #ヒューゴー賞 #文庫本 #読書

今年の読書(62)『ターミネーション・ショック 』ニール・スティーヴンスン(パーソナルメディ)

スレッド
今年の読書(62)『ターミネーション・ショック 』ニール・ス...
小説『スノウ・クラッシュ』で〈メタバース〉という言葉を生みだし、人工知能(AI)社会を先取りした<ニール・スティーヴンスン>が描く、地球温暖化が深刻化した近未来を舞台にした環境問題「Cli-Fi(気候変動フィクション)」小説として、破天荒な英雄たちによる地球改造の物語『ターミネーション・ショック』は、2025年10月15日に発売されています。
 
オランダの女王「サスキア」自ら操縦する小型機が、滑走路に乱入した野ブタと衝突して不時着します。その場に居合わせたのが、テキサスで巨大な野ブタを追っていたハンターの「ルーファス」でした。「サスキア」をその場から助け出すと、彼女と行動を共にすることになります。
 
世界が気候変動による海面上昇や異常気象に苦しむ中、テキサスの億万長者である「T.R.シュミット博士」は、「世界最大の銃=ビッグガン」と呼ばれる巨大な装置をメキシコ国境近くに建設し、二酸化硫黄を成層圏に噴射するソーラー・ジオエンジニアリング計画を進めていました。
 
そして、オランダ、ヴェネツィア、太平洋の島々など、海面上昇の脅威に晒される低地国家や地域の有力者と資産家を招いた発射実験によって既成事実化してしまいます。
「T.R.シュミット博士」のソーラー・ジオエンジニアリング計画の支持者と反対者の間で国際的な対立が激化していく中、登場人物たちはそれぞれの立場で地球規模の危機に立ち向かいます。
 
環境問題の近未来小説というだけではなく、各国の利害関係や思惑も絡み、現代社会の問題点を集約した小説としても楽しめました。
#単行本 #地球温暖化 #読書

今年の読書(61)『犯罪前夜』吉川英梨(小学館)

スレッド
今年の読書(61)『犯罪前夜』...
テレビドラマ『新東京水上警察』の原作として話題を呼びました、『アゲハ 女性秘匿阿捜査官 原麻希』から始まる〈ハラマキ〉シリーズや「十三階」シリーズなどの警察小説の名手<吉川英梨>の『犯罪前夜』は、2026年4月22日に刊行された社会派エンタメ小説です。
 
大阪市内で起きた強盗殺人事件。闇バイトによる犯行と思われますが、大阪府警本部捜査一課の「高城」が犯人グループを追って大阪港へ到達すると、観光帆船のシージャック事件へと発展してしまいます。制圧のために海上保安庁特殊警備隊(SST)の隊長「岸本」らが突入しますが、船では思いもよらない事態が待ち受けていました。
 
第1部の悲劇的な幕切れを迎えたシージャック事件には、多くの謎が残されます。犯人たちはなぜ犯罪に手を染めることになったのか。シージャックされた船の中で、本当は何が起きていたのか。
 
第2部「加害者家族」では、犯人たちの家族と刑事たちの交流が描かれますが、関西人らしい漫才らしい会話を導入して、悲劇の中の喜劇を巧みに描いています。
 
そして第3部の終盤から、予想だしない真相が浮かび上がり、第4部で終結に向けて展開していきます。警察小説の名手が時代を切り取る、破格の社会派エンターテインメントとして、一気読み必死の一冊です。
#単行本 #読書
ハッピー
悲しい
びっくり