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ツナ缶レビュー zu-mix3.0

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由比缶詰所 ホワイトシップ印・炙りビントロ(2017)1年寝かせたレビュー書下ろし

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“びん長鮪のハラモ肉を軽く『炙...
“びん長鮪のハラモ肉を軽く『炙り』、一枚一枚丁寧に手作業ではがしたものを、その香ばしさと共に閉じ込めました。単品ではもちろん、パスタやサラダのトッピングとしてもお使いいただけます。”


由比缶詰所 ホワイトシップ印
炙りビントロ(2017産)
びんながまぐろトロ肉オリーブオイル漬スライス
最高級品

由比缶詰所 ホワイトシップ印・... 由比缶詰所 ホワイトシップ印・...

創業85年の老舗が紡ぐ伝説のツナ缶


 由比缶詰所のフラッグシップ、「炙りビントロ」。ツナ缶ブログの愛読者には説明不要のレジェンドだが、改めて一から解説する。

 「入手性を無視して、長井さんが最高と思うツナ缶は何ですか?」への答え。
 ビンナガの身を炙り、それを一つ一つ剥がし詰め、オリーブオイルに漬けたツナ缶。

 そのグレードはツナ缶ブログの5.0点評価を覆す6.0点。炙ったビンナガの身を崩さずにはがして詰める職人技は、缶詰会社の求めた最高のツナ缶といえる。2013との相違点で、2016年からモンマルシェが1296円のツナ缶を出し始めたが、「かたまりのまま詰める技術」と「炙ったビンナガの身を崩さずにはがして詰める技術」は全く別のベクトルにあり、これらの量産はどちらも他社が簡単に真似できるものではない。モンマルシェがデザインや情報と味のトータルバランスで最高級を目指したのが、由比缶詰所はただ味の一点勝負だけで最高級を作り出したのだ。
 その味はツナ缶ブログの5.0点評価を覆す6.0点。味で5点満点を超える規格外ツナ缶は片手の指で数えられるだけしかなく、6.0点は2013年からツナ缶ブログでもっとも高いスコアになっている。
 その入手性はツナ缶ブログ評点ギリギリ最低の0.1点。公式の通販では買えない。由比にある直売所に行かないと買えず、ツナ缶求道者か地元民しかその味を知ることは不可能な、門外不出の味を堅持している。2014年頃まではお得意様向けの通販で購入できたのだが、ここ数年はずっと直売所限定となっている。通年購入できるツナ缶の中ではこれが最も入手しづらいツナ缶だ。

 新陳代謝の激しくなるツナ缶業界だが、これ以上に伝説のツナ缶という二つ名の似合う製品は未だ現れていない。
 同価格帯のTVSEきはだとろ炙り(No.68)やシーチキンとろはグレードも味も勝負にならない。価格と中身で最高級を獲りに来たモンマルシェ鮪とろ(No.48)も、正直炙りビントロに及ばない味というのが感想だ。山梨罐詰の鮪のトロ醤油味はキハダ使用という点で単純比較が困難。

筆者が炙りビントロに寄せる思い


 公開日の本日10月10日は「缶詰の日」で、「まぐろの日」だ。およそ1世紀以上前、初めて官製缶詰(鮭缶)の量産に成功したと記録されているのが1877年10月10日だから、缶詰協会が缶詰の日にした。まぐろの日については、726年に百人一首の歌人の一人・山部赤人が明石で鮪についての歌を奏上したのが10月10日だからまぐろの日になった
 缶詰の日でまぐろの日──実質ツナ缶の日といえるこの日に、筆者は生を受けた。ツナ缶の知見を深めるなんて縁もゆかりもなかった少年時代と学生時代を送ったのに、社会人となってから突然変異めいてツナ缶の蒐集に目覚めたことと、実質ツナ缶の日に生まれたのは、何かの因縁なのだろうか……
 筆者がツナ缶を勉強しだしたのはせいぜい5年くらいしか経ってないが、その5年前に筆者を変えたツナ缶がある。それが由比缶詰所の「まぐろフレーク油漬(水色)」と「炙りビントロ(2013)」である。前者でツナ缶に深淵があると知った筆者を、後者は容赦なく沼の底に近い所へ突き落とした。以後、何をしても三日坊主になるような性格を無視して、5年弱も「ツナ缶のことだけを延々と書いたブログ」を運用し続けることになると、当時は思わなかっただろう。なんのマネタイズもせず、ただ趣味だけで。
 この5年間にもツナ缶にまつわる情勢は変わっているが、国内主要ツナ缶製造会社のうち由比缶詰所だけが5年間のうちにツナ缶の新規プロダクトを出さなかった。そのくらい既存の自社製品に磨きをかけている、あるいは極めて保守的な会社がこの二つということだろう。

 自分の誕生祝いくらい、特別なツナ缶を開けたい。そこでこれを持ってきたわけだ。
 炙りビントロは年を変えるごとに、その年のビンナガの脂乗りなどで味が微妙に変わる。そのため、各年製造ロット分ごとにツナ缶レビューを書いている。
 なお、2017ロットを今開けているのは、メーカ側が十分な熟成を進めるため翌年春~夏ごろになるまで前年ロットを解禁しない(2018秋に買えるのは、今年夏に解禁された2017ロット)という事情によるもの。2017.10製造。ちょうど1年熟成されている。

缶を開けたところ


  
 美しい。
 ひいき目かもしれないが、誠に美しく詰められている。それぞれ一度はがされた身でありながら、一つたりとも崩れていない。筆者はこの身を一枚一枚ゆっくり分離させて食べるのが好きだ。
  
 身はやわらかく、食べても身が崩れてこない。しっかりした食感を楽しめる。下味は相変わらず薄く、調味料とも喧嘩しにくい。由比缶詰所の他オリーブオイル漬で使われているのと同じ油で、強い香りはなくサラサラしている。存在感の主従関係はしっかりまぐろ>油となっていて、鮪とろ(No.48)のようにオリーブオイルを全面的に押し出してエレガントさを演出したものと全く異なる性格に仕上がっている。同じ超高級品の次元だが、手に入れたキャラは全く異なっている。
 2013産と比べより炙り目が薄く、焦げるような香りは引っ込んでいる。
 
 味という面で、これの右に並ぶツナ缶はいまのところないと思う。5年間、百数十種のツナ缶を食べても尚、結論は変わらなかった。
 
 
 たとえ今後のツナ缶が、情報を食う時勢になったとしても。
 たとえ今後のツナ缶が、高級品と廉価品の二極化になったとしても。
 
 本品には、毎年変わらず「伝説のツナ缶」であってほしいという、”私”の思いを載せて、筆を置くこととする。

各種スペック



・グレード ★★★★★★ 6.0
・価格   ★★★★★☆ 5.4 #540円/個(直売所)
・味覚評価 ★★★★★★ 6.0 #レジェンドはレジェンドのまま
・入手性  ★☆☆☆☆☆ 0.1 #直売所限定
・原産国  国産

内容量80g 322kcal/缶 食塩相当量0.5g
原材料 びん長まぐろ(国産)、オリーブ油、食塩
JAN:なし 製造固有記号IM
製造者 株式会社由比缶詰所(静岡市清水区由比429-1)
Tuna canning review No.118

■「ツナ缶スーパーリンク!!」



(No.03)炙りビントロ(2013産)

→5年前に書いた、2013年産炙りビントロの記事。これを立ち上げたばかりのブログの3記事目にもってきてて、ああこの時期から道を踏み外してたんだなと思った。しかも書いてることはあんまり変わってない。当時の値段は☆6評価だけど、今はこれより高いツナ缶たくさんあるため2017産は5.4に改定。

(No.11)まぐろ油漬フレーク(綿実油)

→”筆者をこの道に引き込んだ其の製品”。ホワイトシップ印復活の当初からラインナップされてる。水色の油漬フレーク(綿実油)は地元民に強く支持されてる不朽の名作。シーチキンLフレークがライトミート製品の基準点なら、油漬フレーク(綿実油)がホワイトミート製品の基準点。

(No.68)トップバリュセレクト きはだまぐろとろ炙り
→槍玉1号。販売価格はほぼ同じだが、こっちは流通コストも上乗せされてる。同価でこっちがグレード劣るのは仕方ない。イオンで売ってる。

(No.48)オーシャンプリンセス鮪とろ
→槍玉2号。1296円。こっちは全国流通を目的にしたお取り寄せブランドのモンマルシェだ。ローレルや高級オリーブオイルなど、香りづけが強い。トータルデザインで高級品。炙りビントロが静岡生まれの最高級なら、こっちは(今のところ)気仙沼生まれの最高級といえるだろう。
#めずらしいツナ缶 #オリーブオイル漬 #気合の入ったツナ缶レビュー #由比缶詰所

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灰色道化
灰色道化さんからコメント
投稿日 2018-10-16 19:47

なんというものを紹介されておられるのか… 
しかも通販で売ってなーい! 
 
写真だけでとんでもなくうまそうです 
静岡に行くことがあれば必ず思い出します

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長井ずみ
長井ずみさんからコメント
投稿日 2018-10-17 07:45

「通販やるとすぐ売り切れてしまうため」直売所のみの販売にしていると聞いたことがあります
由比は静岡駅から5駅離れてますが、平日に訪れる機会あったら思い出してみてください

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