《襍崋・/・古往今来137》稚児車


チングルマ(稚児車)     バラ科(Rosaceae)
学名:Geum pentapetalum

森林限界以上の高所になると草花の世界になっていく。
そんな中で特異な姿を魅せるのがチングルマである。
短い夏に5弁の白い花で見せてくれるが、花名にある由来は、秋に始まる。
高山の紅葉は木の葉ではなく草紅葉だ。
その中で異彩を放つチングルマは、鮮やかな深い赤色の葉になる。
チングルマは、バラ科、バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木。!!
花が終わった後の実、雄蕊が長く伸び、群落はまるで絨毯をひきつめたように見える。
乗鞍岳の畳平・・木曽駒ヶ岳千畳敷カールはだれでもが比較的楽に見ることができる。
が、雲ノ平から高天原周辺で目にする光景は格別の趣があった。
紅葉した葉の中に露・霜とも見える綿毛、一人其の中に佇むと幻想の世界に入れる。
植物名「チングルマ」そんな光景を風車で遊ぶ子供に喩えたか??


8月15日誌「北アルプス・雲ノ平-高天原」

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《襍崋・/・古往今来136》下野草


シモツケソウ(下野草)   バラ科(Rosaceae)
学名:Filipendula multijuga

日本固有種。関東地方以西から四国、九州に見られる。
山地の日あたりのよいところに生え、高さ30~90cm位。
葉は掌状複葉で6月~8月頃に茎の先端に小さなピンク、又は白色の花を咲かせる。
上品なことから、昔からお茶席に飾られていた由。
花名が示すように下野(しもつけ)の国(栃木県)に多く生えていた由。
しかし栃木県の県花はなぜか ヤシオツツジ。シモツケソウは民間団体が決めた栃木の「郷土の花」。
花の色よりさらに赤く鮮やかに見えるシモツケソウの実。茎の赤も合わさり、珊瑚のような姿。
シモツケソウとシモツケが一緒に見られる自生地もある。識別する所は、茎と葉の形。

8月14日誌「北アルプス・栂池」

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《襍崋・/・古往今来135》岩鏡


イワカガミ(岩鏡)   イワウメ科(Diapensiaceae)
学名:Schizocodon soldanelloides

日本固有種の高山植物。北海道から九州のやや高い山、岩場を好む植物。
更に高山の岩場で見られるのがコイワカガミ(小岩鏡)
学名:Schizocodon soldanelloides Siebold et Zucc. f. alpinus Maxim
イワカガミとコイワカガミの違いは、大きさと生育地(標高の差)だが、
イワカガミの花は下向き、コイワカガミは横向きに咲く(チョット識別出来ない)。
明確な違いは、葉が丸く縁にギザギザがないのがコイワカガミ。
葉縁に棘状ギザギザがあるのがイワカガミで葉に艶がある。
また箱根神山等で見かけるヒメコイワカガミは棘状ギザギザ少ない(判別難しい)。
学名:S. i. Maxim. var. minimus (Makino) T.Yamaz.

8月13日誌「北アルプス・剣岳剱沢」

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《襍崋・/・古往今来134》小梅螵草


***
雑務で久し振りに青森から福井までの日本海沿いの町々を訪ねていた。
報道で拝しただけだが、大災害、絶句、言葉を持てません。
お見舞い申し上げます。

日誌として記しております故、日付が前後しておりますことお許し願いたく存じます。
*****


コバイケイソウ(小梅螵草) ユリ科(Liliaceae)/メランチウム科(Melanthiaceae)
学名:Veratrum stamineum

茎上に枝分かれて全体が円錐状に見える円錐花序がでて白い花を沢山つける。
真ん中の長い花穂には両性花、脇に枝分かれてつく花穂に雄花がつく。
花被片は長卵形で6枚。 雄蕊は6本で花被片より長い。葯は黒紫色。
花が「梅」に、葉が中国産の「螵蘭」に似て、梅螵草より小さいことで和名が付いた由。
根茎にアルカロイドを含み有毒。
日本固有種で北海道から本州の中部に生育。
亜高山帯や高山の湿った草地や湿原に見える。


『思い出の高山植物』
雲上の楽園と呼ばれ北アルプスの最深部に位置し日本で最も高い場所にある溶岩台地、面積にして25万平方メートルに及ぶ。
池塘が点在する・・・そしてそこに到達するには、どの登山口からでも2日を要する、まさに秘境であり別天地である。
この楽園を「雲ノ平」と呼び、高山植物の宝庫としても知られる。
今でこそ木道やベンチが設置されているが、我が学生時代のそこは、自然の花園であった。
山岳パトロールをしていた学生時代。数年間の夏、北アルプス・八ヶ岳を闊歩していた。
ある夏の8月中旬、2週間振りに入浴したい、と山を下っていた時、出会った光景が上の画像。
目的地、高天原温泉(たかまがはらおんせん)、と言っても黒部川源流付近、標高2,100mにある温泉。
山奥で登山口から1日でたどり着けないような場所、秘湯中の秘湯(天然露天風呂)と言える温泉。
昔、モリブデン鉱山が近にあった。そこで働く作業員たちが利用していたと伝えられている。
しんどい、山中見回り(監視・山岳指導員)だったが、山小屋の人々と親しくなり、おまけに宿泊料なし、後々も恩恵に預った。
コバイケイソウは、最も強く印象に残っている花だ。

8月12日誌「北アルプス・雲ノ平-高天原」

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《襍草・/・古往今来133》蓮華升麻


レンゲショウマ(蓮華升麻) キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名; Anemonopsis macrophylla Sieb. & Zucc.

本州中部の深山、主として落葉広葉樹林の林床に見える。
日本の植物群を代表する固有属の1つ。
奥多摩・御岳山の群落は余りにも有名だが・・・。
首都圏の山岳地、丹沢にも自生地はある、が箱根には見当たらない。
この花の咲いてる風情、言葉を持たない。
静かな環境で拝む丹沢が一番だが、場所を表すると!?!
而して、自生地に踏み込むには勇気がいる。
蝮との遭遇を覚悟しないといけない。然るに最近、見ていない。

この三つ峠の登山道も最近は賑わっていることだろう。

なんと優美に、瀟洒に魅せるか!!山野草の白眉と言える。

8月11日誌「1997・8 三つ峠」
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《襍草・/・古往今来132》大豆


だいず(大豆)       マメ科 (Fabaceae, Leguminosae)
分類:草 学名:Glycine max subsp. max
別名: エダマメ(枝豆)、ミソマメ(味噌豆)、アゼマメ(畔豆)

食卓、夏に欠かせない枝豆。葉は、3出複葉で互生。
葉腋の短い穂状花序に紫紅色・白色などの小さな蝶形花をつける。
花の付く位置が見えにくいこともあって意外と見落としている。

8月10日誌「鎌倉市・稲村ヶ崎」
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《襍草・/・古往今来131》台湾杜鵑草


タイワンホトトギス(台湾杜鵑草)   ユリ科(Liliaceae)
分類:草 学名:Tricyrtis formosana

花壇の一角にタイワンホトトギスが、咲き始めた。
茎先で枝分かれし、そこにやや小形の花が上向きにつく。
花被片は6枚で斜めに開き、花被片の色は淡い紅色で赤紫色の斑点が入る。
花冠のつけ根の部分には黄色い斑紋がある。
外花被片のつけ根の部分には球状のふくらみが2つずつある。
葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、つけ根は茎を抱く。

環境省のレッドデータリスト(2007)では、
「ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種」
として絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。
ここ神奈川県に自生してるわけもない。
何らかの要因で庭先に地植えされたのだろう??


8月09日誌「自宅庭」
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《襍家族・/・古往今来・番外編》!?!


わが子たちは、其々独立し、別に居を構えている。
長男のおき土産??義兄弟?(猫)が我々夫婦を見守り、介護??してくれて^^)。
13年前にその子は、我が家にやってきた。
台風が接近してる天候の昼下がり、
平塚・馬入川(相模川)河口橋の袂で踞っていた赤ちゃん猫。
それを見た長男・・「連れ帰るしかないっしょ」、と連れ帰った。
手のひら大の可愛い赤ちゃん猫、タオルに包まって次男の膝で怯えているふうだった。
足の肉球が火傷状態、暑い道路か砂浜をさ迷っていたのだろうか?
親族会議^^)で同居決定、馬入川をもじって「バニュー」と命名。
翌日、近くの獣医さんに診てもらい、カルテに名前と推測誕生日を記してもらい帰宅した。
以来、数日の冒険家出数回??あったが、病気一つせず現在に至っている。
我が父親の介護、最期をも見とってくれた三男(猫)。
そんな三男に相性の合う友達が出来た。画像左の「くろ」(勝手に命名)。
このくろちゃん、野生でいたいのか、どこかで居候しているのか???
年2回、梅雨時期と年末頃にしか来訪しない。
我が家に逗留させたいのだが、脱走を繰り返している。
そんな対応が2年も続き、引っ越せないでいる。
海の見える自宅に2匹を連れて戻りたいのだが・・・!
「くろ」の居所!?!先でもかわいがってもらってる?事を思うと・・・。
「ふうてんの寅さん」よろしく・・・ふうてんのくろちゃん。
今いずこ!?!って少し心配、気にかかる。

8月08日誌
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《襍草・/・古往今来130》檜扇


ヒオウギ(檜扇)    アヤメ科(Iridaceae)
学名:Belamcanda chinensis DC. (Iris domestica)

檜扇、檜の薄片を扇状に合わせた板扇で宮中の儀式に使われていた。
其の姿に似ていることから花名になった由。
ピンク色のヒオウギの花があるらしいが、実際に見たことはない。
日本名でシャガ Iris japonica というと射干(シャカン,shegan)を指す。
これは、音の訛りでの命名だが、漢名の射干は このヒオウギを指す。

この花、ヨーロッパアルプスの麓でも見られた。
我が長男が4歳の初夏、ドナウ川の源泉と称される場所を訪ねた。
ドナウ川の始まりの町として知られるドナウエッシンゲン。
町の城郭(城館か)近くにドナウの泉と呼ばれる小さな泉がドナウ川の源泉と称されている。
地理学上のドナウ川源泉は、シュヴァルツヴァルト地方、フルトヴァンゲンにある。
ドナウの泉に関心を持ったきっかけは、斎藤茂吉の随筆を読んだ時。
その昔、オーバードナウを旅した斎藤茂吉は『滞欧随筆』に記録を綴っている。
それと同じくして、『霜』(1942,齋藤茂吉)の中に、
「あるときは庭におりたち射干(ひあふぎ)の人工授精われ為したりき (八月十日)」
 射干の萎まむとするゆふまぐれ底ごもりして鳴神(なるかみ)きこゆ
 九月になれば日の光やはらかし射干の実も青くふくれて (初秋小吟)
ここに表れている射干(ひあふぎ)は、どんな花だろうと思っていた。
単に学習不足であっただけだが、「ベラムカンダ・キネンシス」!?!
が射干でありヒオウギだと知り、西欧にも自生してると知った。
茂吉翁が記した、射干(ひあふぎ)はドイツでは見つからなかったが、
スイス・サンモリッツ近くのシルヴァプラウナ湖畔で見つけた。

日本を代表する祇園祭、この祭り期間、京都の至る所でヒオウギが飾られている。
この風習は、ヒオウギで悪霊退散したことから厄除けの花として飾られるようになった。
祇園祭は、元々、疫病流行させている怨霊の怒りを鎮めるために始められた由。
それ故に、悪霊退散に使われたヒオウギは欠かせない植物となったらしい。

現在の日本に最も必要な花と映る。  

8月07日誌「2012年8月2日箱根仙石原」
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《襍草・/・古往今来129》男郎花


オトコエシ(男郎花)  スイカズラ科(Caprifoliaceae)
学名:Patrinia villosa (Thunb. ex Murray) Juss.
別名:チメクサ, トチナ

オミナエシに対して、強そうな感じがするというので、男エシという名が付いた由。
異説に「女郎花」とは、古い時代、女性は黄色の粟などの雑穀飯を食べていたので、
黄色い花を「女飯(おみなめし)」と呼び、
男性は白米を食べていた事で白花をつけるほうを「男飯(おとこめし)」と呼んだ?
それらが転訛したとも言われている。
しかし、花が白いだけの違いでは!?!  山野に多く見られ、高さ60-100cm位。
集散花序に小さい白い花をたくさんつける。生け花にしたあとの水には悪臭があるとか。
中国では豆醤の腐った臭いに似てるので敗醤と呼ばれている等々、色々ある。
薬として消炎や排膿、できもの、悪腫に用いられた、と資料にある。


8月06日誌「2013/8北海道紋別市郊外」
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