《時節感慨・・呟記・・“晩秋・・野の草木!!”》
イワシャジン(岩沙参);
ミヤマシャジン、ヒメシャジン、ハクサンシャジンの仲間で本州中部の山岳地帯の岩場に自生。
キキョウ科ツリガネニンジン属でツリガネニンジン、ソバナなどもも同属。白花種もある。
分布域は関東地方南西部、中部地方南東部にあり、山岳地帯の渓流沿いの岩場などに自生している。
岩沙参・学名の小種名の「takedae」は登山家であり高山植物研究家である武田久吉博士に因んだもの。
花期になると、茎の上部から花序を出し、長さ1.5~2.5?程度の花を多数咲かせる。
花は細い花柄を持ち花冠が浅く5裂した釣り釣鐘形。細茎に枝垂れて咲く花の風情はなんとも言えない。
基本種の花色は紫だが、白花品種もある。一重咲きの他、二重咲き品種も見られる。
近年、平地での栽培に順応した株が流通しており園芸種も見られる。
冬は地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹く。暖地での栽培は夏越しが難しと言われる。
イワシャジンの漢字「岩沙参」、沙参とは、漢方薬の生薬で根を乾燥させたもの。
岩場に生える沙参(しゃじん)という意味でイワシャジンの名前が付いた。
イワシャジンは地域変異の多い植物で生育する地域によって草姿の違いが見られる。
ホウオウシャジンは、南アルプスの鳳凰三山に分布、茎や葉が細く草丈も低いので繊細な印象がある。
ヤシャジンシャジン山梨県・夜叉神峠付近に分布、イワシャジンとホウオウシャジンの中間タイプ。
ウメガシマシャジン、静岡安部川上流梅ケ島周辺に分布、花がやや短く丸みを帯びている。
ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草・種子);
平地~山地に見られるアキノキリンソウの高山型。
茎中部の葉は長さ2~14㎝の惰円形~広披針形、葉柄に翼がある。頭花は頂部に固まってつく。
頭花の直径は1.2~1.5㎝。総苞は長さ3.5~6.2㎜、幅4~5㎜。総苞片は4~6列、先が尖る。
周辺花2~9個、舌部は長さ2~5㎜ 、幅0.9~2.8㎜。痩果は長さ2~3㎜。冠毛は長さ3.1~5.2㎜。
草丈が低く、15~(50)75㎝、総苞が幅8~10㎜、総苞片が3列といわれている。
アキノキリンソウは花序が長く、頭花の間に隙間がある。総苞の幅が狭い。
ムラサキシキブ(紫式部);
ムラサキシキブは山野に生える落葉低木。九州~沖縄地域には、オオムラサキシキブ、が分布する
オオムラサキシキブは、ムラサキシキブの海岸型変種。有花柄の葉がムラサキシキブより大きい。
コバムラサキシキブは有花柄の葉がムラサキシキブより小さい小葉の品種。
ムラサキシキブの木は、園芸種のコムラサキと比べ木高が3~5mにも成長する。
人の背丈より上に花や実を付け、同間隔に実をつけるコムラサキと比べ、実のつき方がまばら。
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先日の紅葉・黄葉散歩は、久しぶりの息抜きだった。感謝と温故で感慨深いものがあった。
観光客でごった返す「忍野八海」であったが、訪問客が目もやらない所で楚々と魅せる植物。
色々と想像させてくれた。はっきりと特定できない野草名。一見するだけでは見間違えてしまう。
それ以上に、変化する花々、自然の凄さを思える時、一瞬。微妙な変化が見て取れた。
生涯、学習である。微妙な変化だが、その違いを見分けられるようにしっかりと観察だ。