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くまごろうのひとりごと

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窓の話23『デコラティブウィンドウ』

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窓の話も既に23回目、木製窓の縦かまちと横かまちの木組みやガラス押えの断面形状や格子の種類などまだまだ話題は尽きないが、これらの事項は専門的過ぎてごく一部の人しか関心がないと思われるので、今回デコラティブウィンドウを述べて最終回としたい。

まだ大きな板ガラスの生産が出来なかった中世以前の時代、ガラスの小片を鉛製のケームと呼ばれる溝付きのリムを使ってより大きなガラス板とする技術が発達したが、この技術を利用して赤、青、緑、白などさまざまなカラーのガラス小片を組み合わせることによりステンドグラスが生み出された。ステンドグラスの技術は特に中世のフランスで発展を遂げ、ゴシック様式のキリスト教寺院では建築技術が進化したことにより窓の大型化が進んだことと相まって、宗教的なステンドグラスが多く採用された。現代でも欧米ではステンドグラスに対する憧れは強く、アメリカの地方にある教会でもステンドグラスは珍しくない。

住宅でもはめ殺しのあかりとり窓などにステンドグラスを使用することがある。以前は単なる1枚のステンドグラスを窓枠にはめるだけだったが、冬の寒さが厳しい地域ではステンドグラスの窓でも建築基準法により高断熱が要求されるため、断熱性の高いペアガラスのエアスペースにステンドグラスを取付けたものが使用される。

図案をさまざまなカラーで形づくったステンドグラスではなく、ケームを使用して面取りした透明ガラスや色々な模様入りガラスを幾何学的に組み合わせた窓も住宅に使われる。カラーガラスを全くもしくはごく一部しか使用しないデコラティブガラスは外の景色がまるで絵画のように見え、また外のあかりが室内に十分に取り入れられるので、リビングルームやベッドルームなどにも使用されることがある。

アメリカの高級木製窓メーカーは、添付の写真に示したような上部のとがったゴチックヘッドやハーフラウンドの窓にデコラティブグラスをはめた固定窓や可動窓を標準モデルとしてお値ごろな価格で販売している。

窓の話2『窓の役割』で述べたように、ローマ帝国時代にヴィトリヴィウスによって著された建築の理論書である「建築論考」によれば、建築には用・強・美を兼ね備えることが必須であり、その中の美を究めるのに中世はもちろん近代建築でも窓は重要な要素として扱われている。アメリカで窓を扱ってきたくまごろうは、窓のデザインを生かしたアメリカの美しい住宅をたくさん見てきたが、それに較べて日本の住宅における窓の役割はいろいろな事情があるにせよまだ十分ではないように思われる。住宅を建築する際には、最も重要な建具のひとつである窓については単に建築士や工務店に任せるのではなく、これまでに窓の話で述べた断熱・遮熱性能、構造強度、水密・気密性能、耐久性に加え、窓そのもののデザインや美しさまで十分に考慮して窓を選定してもらいたい、と願ってやまない。
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窓の話22『カーブした窓と幾何学形状の窓』

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日本では輸入住宅と呼ばれる住宅を除いて現代の窓といえば長方形または正方形のものがほとんどだが、アメリカの木製窓メーカーはそれらに加え、半円形、楕円形、円形、三角形、台形などさまざまな形状の窓を製作している。窓の形状や様式は、建築家がひとつのコンセプトに従って建物をデザインする際に決まってくるものであり、高級木製窓メーカーは建築家の設計上の広範な要求に応えられるよう、多様な窓を揃えている。これら特殊な形状や様式の窓でもペアガラスを用い、断熱や遮熱などの熱的性能や水密製、気密性、構造強度などは一般的な窓に準じている。

ヨーロッパの建築ではローマのコロッセウムや水道橋に見られるように古代ローマの頃から石積みによるアーチ型の造形が取り入れられ、その後ロマネスクやゴシックの教会建築の時代から中世に至るまで上の部分が半円の窓は多く採用されており、19世紀のビクトリアン様式の住宅建築でもこの伝統がしっかりと受け継がれている。そのような影響をいまだに受けているヨーロッパやアメリカの住宅建築では色々な形状の窓が必要になってくる所以である。

カーブした窓のうちもっとも一般的なものはHalf Circleと呼ばれる半円形の窓である。半円形の固定窓の下に長方形のケースメント窓、ダブルハング窓、あるいはスウィングドアを組合せるタイプや、半円部とその下の長方形部が一体となり半円部も開閉するRound Topと呼ばれるケースメント窓などである。また円弧の一部が窓の上縁部をなすSegment Headと呼ばれる窓やドアもしばしば使われる。添付写真の中に示したように、より複雑なカーブした窓やドアも建築家のデザインに応じて製作される。

幾何学形状の窓は三角形、台形、菱形、六角形、八角形など多様であるが、建築家のコンセプトに従ってこれらの窓を採用した建物が特徴ある建築美を備えていることは添付写真で明らかであろう。これらの窓に加え、アメリカの高級木製窓メーカーは楕円形や円形の窓も製作している。

しかし窓は工業製品である。特に高断熱・高遮熱ペアガラスには製作限界や構造強度を考慮した大きさの限界がある。一例を挙げればひとつの窓については一辺の最大長さは約3m、最大面積は約5㎡までとなり、また最小辺は0.3mである。しかし、窓を組合せ、また必要に応じて組合せた窓の間に構造部材を設置することにより添付写真のような建物の壁面いっぱいに窓を取付けることは可能である。窓を多用した建築の設計に際しては、建築家と窓メーカーによる建設地の気象条件や建築基準に関する技術的な検討がきわめて重要である。
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窓の話21『パティオドア』

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窓の話なのにパティオドアについて語るのは、パティオドアではガラスの占める面積が大きいためであり、構造や機能は異なるが幅900ミリ、高さ1800ミリのケースメント窓は標準寸法が幅914ミリ、高さ2032ミリであるドアと大差なく、アメリカの窓メーカーは例外なくパティオドアも生産しているためである。

アメリカでは高級住宅ではもちろん、お値ごろな価格の一戸建て住宅でもリビングルームの外に張り出したデッキは快適な季節のリビングルームの一部であり、晴天の日にはデッキチェアを置いて家族団らんや読書をしたり寝そべったり、または友人たちを招いてバーベキューパーティを開催したりする重要な空間となっている。このような多機能なデッキへのリビングルームからの出入りにはパティオドアが使われる。

パティオドアにはレールの上をスライドする引き戸タイプとヒンジによるスウィングドアタイプがあるが、これに固定ドアパネルや窓を組み合わせるなどしてデザインや採光に工夫が凝らされる。ドア専門メーカーもガラスの入ったパティオドアを製作するが、窓メーカーはガラスを扱うことについてはプロフェッショナルであり、そのためガラスパネルの断熱や遮熱などの熱的性能、更には嵐や防犯などに対するガラスの強度や安全性に関する知識や経験が豊富なため、寒冷地や砂漠地帯、ハリケーンが頻発するフロリダやテキサスなどはもちろん、アメリカでは窓メーカーの製作するパティオドアの人気が高い。アメリカで生産されるパティオドアのガラスは規制によりすべて焼き入れガラスまたは合わせガラスによる強化ガラスである。

アメリカで生産されるパティオドアは熱的性能を考慮してペアガラスを使用し、また夏の日差しが強い地域では高遮熱コーティングを施したローイーガラスが一般的である。また窓と同等の水密性能や気密性能を追求するため、特にスライドタイプのパティオドアは可動ドアパネル自身の重量が重く、日本で生産される掃き出し窓に比較して開閉が容易ではないという批判があるが、その分性能は高い。窓の話12『気密性能と水密性能』で述べたが、室内外の気圧差を75パスカル(1気圧は101,325パスカルまたは101.3キロパスカル、風速に換算すると約11m/秒)とした時のすきま風が日本ではJISのA-1、A-2、A-3、A-4基準があり、それぞれ750 m3/m2-hr、220 m3/m2-hr、60 m3/m2-hr、15 m3/m2-hrのすきま風に相当するが、日本の最も厳しいA-4基準でもアメリカ基準の約3倍のすきま風を許容している。また水密性能については日米での基準が多少異なるが、日本では1時間に240ミリの降雨のもとで風速20m/秒でも水密性が保たれるJIS W-3が最近の住宅用窓として一般的とのことだが、アメリカのパティオドアは設置される場所により地域差があるものの1時間に204ミリの降雨のもとで風速24m/秒での水密性が要求される。
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ロボットと民主主義

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昨日のNew York Times電子版には”Do Drones Undermine Democracies?”と題するBrookings InstitutionのPeter W. Singerの署名記事が掲載されている。その概要は下記の如くである。

民主主義のもとでは国家に多大な影響を与える戦争は国民と不可分な関係にあり、国民は選挙による代表により参戦の可否を決定すると共に人的・経済的負担を承認する。アメリカ合衆国憲法によれば、大統領は米軍の最高司令官ではあるものの、宣戦布告は連邦議会が行うことになっている。しかし連邦議会が最後に宣戦布告を行ったのは1942年、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニアに対してであり、それ以来1度も宣戦布告を行っていない。1973年に成立したThe War Powers Resolutionでは60日以内の連邦議会承認を条件に大統領に宣戦布告なしに軍隊を派遣する権限が与えられているが、ホワイトハウスは陸上軍を派兵していないことを理由に多くの紛争に際し議会の承認を得ていない。(くまごろう注:ベトナム戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争などは連邦議会が同意しており、ガルフ戦争、リビア反政府動乱などは国連安保理決議に従った派兵である。)2004年以降300回もパキスタンで無人機による攻撃を行っているにもかかわらず、この戦闘に関し連邦議会では1度も議論が行われておらず、更にこのオペレーションは空軍ではなくCIAの政治的に任命された官僚が民間人である法律家の助言に基づいて遂行している。2011年のリビアでのカダフィ大佐排除のためのアメリカの関与は、昔なら連邦議会の承認のもとに行われた戦闘行為がホワイトハウスの一存で遂行され、後方支援と言いながら無人機による150回近い攻撃を行っている。このような状況を可能にしたのは国民の血を流すことがないロボットによる戦闘が過去10年間に急速に増加したためで、現在米軍には7,000機の無人機と12,000台のロボット兵器が6カ国に配備されている。

このような状況についてSingerは兵器のロボット化により、国の運命や経済に多大な影響を及ぼす戦争が必ずしも国民の意思を反映せずにホワイトハウスの一存で遂行され、民主主義が守られていないことを憂いている。ロボットが民主主義を脅かす、とはひとつの視点だろう。

技術の進歩は更に高度なロボットを生むだろう。技術革新により軍事的なロボットではなく、人間を助けるロボットが主役となることを願うのはくまごろうだけだろうか。
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窓の話20『ベイウィンドウ』

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ベイウィンドウとそれに類似のボウウィンドウは建物の外壁より外に突き出した出窓で、より多くの光を室内に取り入れると共に、室内側では部屋が広く見える効果がある。これらの窓は19世紀のヴィクトリアンスタイルの建築で使われるようになり、現在も外国の住宅ではエクステリアデザインのアクセントとしても人気がある。美しく仕上げられた木製ベイウィンドウの室内側に窓と同じ樹種の木目の美しいシートボード(床板)とヘッドボード(天板)が取付けられ、インテリアを引き立たせる。

現代住宅建築に使用されるベイウィンドウでは両翼の窓と正面の窓のなす角度が30度、45度、それに日本での需要は少ないが90度が一般的であるのに対し、ボウウィンドウでは隣接する窓枠のなす角度がより小さく、またいくつもの窓をつなげていくことにより、窓全体がカーブしているように見せることが出来る。

ベイウィンドウはケースメント窓(縦すべりだし窓)で構成されることが多いが、ダブルハング窓(上げ下げ窓)によるベイウィンドウもある。ベイウィンドウでは正面の窓は開閉出来ない固定窓であることが一般的だが、ケースメント窓によるベイウィンドウでは正面の窓も開閉出来ることが少なくない。ボウウィンドウはほとんど例外なくケースメント窓で構成され、すべてのケースメント窓が開閉出来たり、ひとつおきに固定窓だったり設計によりまちまちである。

窓の話4『ガラス』で述べたが、ガラスパネルの取付けには、ディレクトセットと呼ばれるガラスパネルを直接窓枠に取付ける方法と、サッシュセットと呼ばれるガラスパネルを一旦サッシュに取付け、そのサッシュを窓枠に固定窓として取付ける方法がある。前者はコストがかからないので、窓メーカーの中にはベイウィンドウの正面の固定窓をディレクトセットで取付けることが少なくない。しかしこの場合両翼の可動窓にはサッシュのかまちがあるのに正面の固定窓にはかまちがないためガラスの縁の線が揃わず、建築学的には正しくない窓となり、窓に対する目が肥えてくるとおかしな窓に見える。

木製窓の場合、特に幅が1.8メートル、高さが1.2メートルといった大きなベイウィンドウやボウウィンドウはかなりの重量になるため、躯体の開口部下側に横に渡された窓台に取付けるだけでは不十分なことも多く、躯体にしっかりと取付けたブラケット(腕木)で下から支えたり、ベイウィンドウのもっとも外に張り出した上枠をピアノ線のようなケーブルで躯体に固定することもある。これらの窓の躯体への取付けに際してはそれぞれの窓メーカーの指示に従って正しく取付ける必要がある。

出窓のシートボードの下やヘッドボードの上には外壁に準じた十分な断熱材を挿入しておかないと、特に厳冬にはこの部分から室内の熱が失われる。日本でよく見かける出窓には見るからにシートボードやヘッドボード部分が薄く、それらの裏側の断熱が不十分ではないかと思われるものがある。

ベイウィンドウやボウウィンドウを取付けると、通常その上に屋根が必要になる。建物本体の屋根と同じものを葺いても良いが、アメリカでは主要木製窓メーカーのベイウィンドウやボウウィンドウに合わせて銅製の屋根をあつらえるメーカーがある。傾斜のきついものや、よりコンテンポラリーなフラットなものなど数種類のデザインがあり、またそのカラーも磨き上げられた銅や年代を感じさせる青銅色など取り揃え、施主と建築家が相談をして選定する。
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無人ヘリコプター

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無人ヘリコプター
今週のSeattle Times日曜版に無人ヘリコプターによるアフガニスタン前線への物資輸送に関する記事が掲載されていた。昨年11月以降、くまごろうは本ブログルに無人機によるメキシコ国境警備(Predator B)、無人機によるイラン偵察(RQ170 Sentinel)について述べたが、2ヶ月間に3回目となるKaman K-Max無人ヘリコプターについても書かないわけには行かない。

K-MaxはKaman社が開発した二つの同期されたメインローターが互いに反転することによりテールローターを無くしたヘリコプターで、常にエンジン効率を高めた状態で飛行出来ると共に、テールローターによる慣性モーメントを減少させるので、機体の操縦安定性とホバリングの正確性が向上する。主な用途には重量物を吊るしての輸送、送電線や高層での建築工事 山火事での消火活動などがある。HoneywellT-53 Turboshaftエンジンを搭載し自重5,100ポンド、ペイロード6,000ポンド、巡航速度は時速約150キロ、航続距離約500キロで、乗員1名の有人ヘリコプターとして1991年に処女飛行を行った。Kaman社のホームページによれば、K-Maxは通常のヘリコプターよりペイロードが高く、通常の消火活動用飛行機の25%の水を搭載可能で、狭い貯水池や池からの給水や消火の正確性という特長によりもっとも効率の高い消火性能を持つ山火事用航空機と言う。

Lockeed Martin社はK-Maxを無人機とするための制御システムなどを担当し、米国海軍との契約でK-Max無人機の軍用輸送機としての評価を実施したがその結果は好ましいものであり、更にアフガニスタンでの試験的物資輸送を行って、12月17日の初飛行から既に20回にわたり前線への18トンの補給物資を輸送した。K-Max無人機は陸上輸送の場合のような地雷の撤去やタリバン襲撃の排除など輸送経路の安全保障の必要がなく、また有人ヘリコプターのような人的損失の恐れもないため、6ヶ月の試用期間の後アフガニスタンでの連合軍での採用を決定する。

アメリカなど先進国が介入する最近の戦争では科学技術の進歩によりロボット兵器や無人機が多く使用され、機械対人間の戦いといった様相を呈している。人間同士が戦うのなら良いとは言わないが、ロボットや無人機に殺害される兵士は一層哀れに思われる。ロボット工学三原則第一条の『ロボットは人間に危害を加えてはならない。』や第二条の『第一条に反する場合は人間の命令に従わなくても良い。』が実現する社会は残念ながらかなり先のことだろう。
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窓の話19『ケースメント窓』

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ケースメント窓とはサッシュの右または左の縦かまちにヒンジを取付けた開き窓、またはサッシュの上かまちおよび下かまちに複合ヒンジを取付けた縦すべりだし窓のことで、現代の住宅用窓として普及している。

前回取上げたダブルハング窓が住宅に普及する18世紀頃まではイギリスを中心としたヨーロッパでは、大きな板ガラスが高価なため住宅用窓としてはステンドグラスのように鉛のケームを使用してガラスの小片をつなぎ合わせて大きくしたガラスをはめた内開きのケースメント窓が一般的で、屋外側には外開きのシャッターが取付けられていた。そのなごりで現代のアメリカやヨーロッパの住宅でもデザインのために窓の両側に固定したシャッターを取付けることが少なくない。

ケースメント窓はダブルハング窓やスライダー窓と較べると窓をロックした時の窓枠に対する密着性に優れており、その結果としてダブルハング窓より気密性能や断熱性能を高めることが容易である。

またケースメントのサッシュをヒンジなしに直接窓枠に固定した固定窓もケースメント窓と組み合わせて広く使われている。窓の話4『ガラス』でも述べたが、固定窓を作る場合、窓枠に直接ガラスをはめることも出来るが、ケースメントのサッシュを製作してこれを窓枠に固定すると、サッシュのかまち(ガラスパネルの外側にある上下左右の枠の部分)の幅が隣接するケースメントと統一され、建築学的に正しい窓となる。添付写真のうち、上がカーブした3つのサッシュによる窓は両翼のサッシュと中央のサッシュのかまちが統一されており美しく見える。

ケースメント窓の中には幅900ミリメートル、高さ1800ミリメートルに達しドアとあまり変わらない大きさのものもあるが、このような大型のケースメント窓でもクランクハンドルを回転することにより開閉することが出来る。当然のことながらこのような大型ケースメント窓のハードウェアは丈夫に作られている。添付のダイニングルームの写真はその一例である。

ヨーロッパやアメリカのニューイングランドでは昔ながらの内開きケースメントに対する郷愁があるようで、アメリカの高級木製窓メーカーは添付写真のような窓を製作しそのような需要に応えている。ただこの窓は室内にサッシュを引き込むので、部屋の広さに余裕がないとお勧め出来ない。

住宅の正面を示した添付写真は、ケースメント窓をカーブした窓と組合せ、窓枠のカラーも相まって住宅の美しいデザインを一層引き立たせている。窓の話2『窓の役割』で述べたように、窓は建物をより美しく見せるためのアクセサリーとしての役割があり、中世はもちろん近代建築でも建築設計の重要な要素として扱われている。

添付写真のうちレンガの外壁に取付けられているケースメント窓はCopper Cladと呼ばれる屋外側が銅葺きの窓で、値段は少々張るが時間の経過と共に銅葺きの屋根と共に青銅色に変化する趣のある窓である。
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無人機によるイラン偵察

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無人機によるイラン偵察
先週イランでアメリカCIA所有の無人偵察機がイランに捕獲された。この無人機はアフガニスタン国境から220キロもイラン国内に侵入しており、イランの核開発を偵察していたと見られるが詳細は不明である。この無人偵察機はLockheed Martin社製のRQ-170 Sentinelと呼ばれる無尾翼のステルス機で、詳細は機密だが翼幅66フィート(約20メートル)、離陸時最大重量は8,500ポンド(約3,860キロ)を越す。オサマ・ビン・ラデン殺害のミッションにもRQ-170が使用された。RQ-170は偵察用のため攻撃兵器は搭載しないが、ビデオカメラの他に無線傍受機器や放射線測定機器を装備していたものと思われる。

今日のニューヨークタイムズ電子版によれば、イランは捕獲したRQ-170を詳細に調査し、更には無人機の技術がほしいロシアか中国に高値で売却するのではないか、とのことだ。アメリカとしては軍事機密が漏れることを恐れ、無人機を回収するか爆破することを検討したが危険が高すぎるため断念したとのことだ。

まだ東西冷戦が続いていた1970年代、ソビエトの空軍パイロットが亡命のために当時最新のミグ25戦闘機で函館空港に着陸したことがあったが、その時は自衛隊がアメリカ軍と共に詳細に戦闘機を分解点検の後ソビエトに返還した。この事件により敵機の性能分析に大いに貢献したことが思い出される。仮想敵国の軍事情報はいつの時代も重要だが、戦闘機や無人機など相手国の最新鋭兵器を入手すれば専門家は色々なことがわかるのだろう。

専門家の話ではこのようなハイテク兵器の現物から製作図を作成することは容易ではなく、たとえ出来たとしても高い精度で部品を製作することはそれなりの技術が必要なため、仮想敵国が複製することは難しく、アメリカにとって緊急な懸念とはならないだろうとのことだが、アメリカとしてはこっそりとやっていた覗き見が白日の下にさらされたようなもので当惑している。もっとも衛星による偵察は日本を含む多くの国が行っており、現代の世の中では他国に知られずに何かをやるのは容易ではない。
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無人飛行機による国境偵察

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無人飛行機による国境偵察
数日前のSeattle Times日曜版にアメリカの無人飛行機によるメキシコ国境警備に関する記事が掲載されていた。アメリカ国土安全保障省は無人飛行機Predator Bによりメキシコからの麻薬密輸や不法移民の監視を19,000フィート上空から行っており、過去6年間に1機の無人機で7,500人を超える不法移民と46,600ポンドの麻薬を捕獲したそうだ。先月2機目を投入し、ルイジアナのガルフ湾岸からテキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、カリフォルニアに至る広範な地域をカバーするために本年末までに更に4機を投入する予定とのことだ。

Predator BはGeneral Atomics社製の高い偵察能力と攻撃能力を持つイラクやアフガニスタンで既に実戦に配備されている無人機の改良型で、飛行機とそのコントロールシステム1式で$18.5 millionもするが、全長11m、翼幅20mの機体に912 HPのターボプロップエンジンを搭載し、巡航速度約300Km/Hr、航続距離約6,000Km、ペイロード1,700Kgといった優れものである。地上誘導ステーションで1機につきパイロットと監視員の2人が無人機を制御し、熱線センサーを使って岩陰に潜んだり闇夜に砂漠地帯を移動している麻薬密輸犯や不法移民などを監視している。容疑者を熱線センサーで発見すると国境付近に待機している地上の取締官に通報し、無人機からグリーンの光線を容疑者に当てるので、暗視ゴーグル着用の取締官は夜間でも簡単に容疑者を確保出来る。無人機は通信衛星を介して数千キロ離れていても制御可能だ。

現在地球の周りには各国の偵察衛星が飛んでいる。日本の情報収集衛星も地上の60センチの物体が判別出来るという。偵察衛星のおかげで災害の状況把握や北朝鮮やイランの核開発の様子がモニター出来る。無人機や偵察衛星ほどのハイテクではないが都会では数多くの防犯モニターが設置され、市民の行動が監視されている。アメリカの多くの都市では交差点にカメラを取付けて信号無視した車の運転者に交通違反チケットを送りつけている。

犯罪者の取締りにはこれらのモニターシステムは効果的だが、普通に生活している市民も常に誰かに監視されている可能性がある。最近のテレビドラマでは携帯電話のGPS機能により夫が浮気している場所を特定するシーンもある。ハイテクが庶民の生活に深く入り込むと、人によっては色々と不都合なことも増えてくるのだろう。
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窓の話18『ダブルハング窓』

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これまで窓の話では窓全般に関することがらを取り上げてきたが、ここからは色々な種類の窓の特徴などについて述べる。その第1回として、外国の住宅といえば先ず頭に浮かぶダブルハング窓を取り上げる。

18世紀以来のジョージアンスタイルやヴィクトリアンスタイルなどはイギリスの伝統的建築様式だが、これらの建築様式はイギリスの植民地やアメリカに持ち込まれ、更に日本でも明治維新以来、役所や商業ビルをはじめ、学校、病院などの西洋建築にも多く採用された。

これらの建築様式に使われた窓はサッシュ窓(Sash Window)またはハングサッシュ窓(Hung Sash Window)と呼ばれ、引き違い窓を縦にしたようなもので、ガラスをはめたふたつのサッシュが窓枠の内側で上下することにより開閉する。明治以降の日本でもサッシュ窓を使った建築は多く、今でも北海道庁庁舎、札幌時計台、横浜や神戸などにある異人館などの古い建物では当時のサッシュ窓を見ることが出来る。

サッシュ窓のうちダブルハング窓は2つの独立したそれぞれのサッシュが上下にスライドすることにより開閉するが、ひとつのサッシュは固定され、もうひとつのサッシュだけが上下するものはシングルハングと呼ばれる。窓を閉じた時に上に来るサッシュをトップサッシュ、下に来るサッシュをボトムサッシュと呼ぶが、雨の室内への侵入を防ぐ理由でトップサッシュは屋外側に、ボトムサッシュは室内側に取付けられる。

昔のサッシュ窓はサッシュの上端部両側にロープまたはチェインを取付け、プーリー(滑車)を介して屋内外からは見えない窓枠の内側にあるカウンターバランスであるおもりにつないでサッシュの上下を容易にしたが、現在生産されるサッシュ窓ではおもりではなくスプリング式のバランサーを使用しているものがほとんどである。スプリング式バランサーのサッシュ窓はおもりのカウンターバランス式に較べて操作がやや重く感じられるが、アメリカの高級木製窓メーカーのなかには今でもチェイン・プーリー・おもりを使った高断熱・高気密ダブルハング窓を製作しているところもある。

昔のサッシュ窓は木製窓枠に設けられた溝にサッシュがはめられており、その溝をサッシュが上下する事により開閉する。また接するふたつのサッシュの間にも特別な気密性を高めるパーツが取付けられていなかったため、サッシュ窓は現代の基準から見ると気密性が高くなく、断熱性能も優れてはいなかった。現代のサッシュ窓は断熱性や気密性を高めるために木製窓でもサッシュが上下する溝の部分にはジャームライナーと呼ばれるPVCなどのプラスティック製パーツを、また二つのサッシュが接する部分にも気密を高めるためのウェザーストリップを使用している。しかしこれらの気密性を高めるためのパーツはサッシュの上下に対しては摩擦抵抗を大きくすることとなり、現代の高気密・高断熱のダブルハング窓は昔のサッシュ窓のように大きな窓でも軽々と開閉することは叶わない。

2枚のサッシュを窓枠内で上下させるため、ハングサッシュ窓のサッシュは他のタイプの窓よりも厚みが薄く、アメリカ製木製窓では1-3/8インチ(35ミリ)の厚みが一般的である。この厚みでは1/2インチ(13ミリ)の厚さのペアガラスしか取付けることが出来ず、より高い断熱性能を求める場合には木製ドアの一般的な厚みである1-3/4インチ(44ミリ)のサッシュに7/8インチ(22ミリ)の厚さのより高断熱なペアガラスを取付けたハングサッシュ窓が使用される。
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