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くまごろうのひとりごと

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窓の話20『ベイウィンドウ』

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ベイウィンドウとそれに類似のボウウィンドウは建物の外壁より外に突き出した出窓で、より多くの光を室内に取り入れると共に、室内側では部屋が広く見える効果がある。これらの窓は19世紀のヴィクトリアンスタイルの建築で使われるようになり、現在も外国の住宅ではエクステリアデザインのアクセントとしても人気がある。美しく仕上げられた木製ベイウィンドウの室内側に窓と同じ樹種の木目の美しいシートボード(床板)とヘッドボード(天板)が取付けられ、インテリアを引き立たせる。

現代住宅建築に使用されるベイウィンドウでは両翼の窓と正面の窓のなす角度が30度、45度、それに日本での需要は少ないが90度が一般的であるのに対し、ボウウィンドウでは隣接する窓枠のなす角度がより小さく、またいくつもの窓をつなげていくことにより、窓全体がカーブしているように見せることが出来る。

ベイウィンドウはケースメント窓(縦すべりだし窓)で構成されることが多いが、ダブルハング窓(上げ下げ窓)によるベイウィンドウもある。ベイウィンドウでは正面の窓は開閉出来ない固定窓であることが一般的だが、ケースメント窓によるベイウィンドウでは正面の窓も開閉出来ることが少なくない。ボウウィンドウはほとんど例外なくケースメント窓で構成され、すべてのケースメント窓が開閉出来たり、ひとつおきに固定窓だったり設計によりまちまちである。

窓の話4『ガラス』で述べたが、ガラスパネルの取付けには、ディレクトセットと呼ばれるガラスパネルを直接窓枠に取付ける方法と、サッシュセットと呼ばれるガラスパネルを一旦サッシュに取付け、そのサッシュを窓枠に固定窓として取付ける方法がある。前者はコストがかからないので、窓メーカーの中にはベイウィンドウの正面の固定窓をディレクトセットで取付けることが少なくない。しかしこの場合両翼の可動窓にはサッシュのかまちがあるのに正面の固定窓にはかまちがないためガラスの縁の線が揃わず、建築学的には正しくない窓となり、窓に対する目が肥えてくるとおかしな窓に見える。

木製窓の場合、特に幅が1.8メートル、高さが1.2メートルといった大きなベイウィンドウやボウウィンドウはかなりの重量になるため、躯体の開口部下側に横に渡された窓台に取付けるだけでは不十分なことも多く、躯体にしっかりと取付けたブラケット(腕木)で下から支えたり、ベイウィンドウのもっとも外に張り出した上枠をピアノ線のようなケーブルで躯体に固定することもある。これらの窓の躯体への取付けに際してはそれぞれの窓メーカーの指示に従って正しく取付ける必要がある。

出窓のシートボードの下やヘッドボードの上には外壁に準じた十分な断熱材を挿入しておかないと、特に厳冬にはこの部分から室内の熱が失われる。日本でよく見かける出窓には見るからにシートボードやヘッドボード部分が薄く、それらの裏側の断熱が不十分ではないかと思われるものがある。

ベイウィンドウやボウウィンドウを取付けると、通常その上に屋根が必要になる。建物本体の屋根と同じものを葺いても良いが、アメリカでは主要木製窓メーカーのベイウィンドウやボウウィンドウに合わせて銅製の屋根をあつらえるメーカーがある。傾斜のきついものや、よりコンテンポラリーなフラットなものなど数種類のデザインがあり、またそのカラーも磨き上げられた銅や年代を感じさせる青銅色など取り揃え、施主と建築家が相談をして選定する。
#PC #テクノロジー #ネット

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KUMA
KUMAさんからコメント
投稿日 2012-01-16 11:03

素敵ですね、Baliのホテル等では、この窓をよく見かけました、赤道直下なので日照高度が日中では90度に近く、室外が樹木が多いので意外に室内の採光が悪いのですが、この窓のある部屋は昼間でも明るく快適でした。

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くまごろう
くまごろうさんからコメント
投稿日 2012-01-16 21:58

日本ではベイウィンドウの出っ張り部分は床面積に含まれないので建ぺい率や固定資産税の対象にはならないとか。それならもっと取り入れて欲しいと思いました。

そのような現実的な話ではなく、建築の美しさやインテリアデザインの点でも木製窓のベイウィンドウはお奨めの窓です。

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