LAN工事のABC-009(成端2)

LAN工事のABC-008の続きです。
プラグを付けるのは成端といいます、この成端には重要な注意点があります。
それはケーブルの構造上、4対の撚りを成端時にはすべて戻す必要があるからです。
撚りは信号伝送時のノイズ発生を抑制するために必要な構造ですが、これを
直線にしなければプラグ内で接続が出来ません。

しかし直線にすればノイズ抑制力は低下するので、直線にする部分を極力短く
する必要があります。プラグ内の金属ピンの下側の直線部分がこれに該当します。
これを短くするためには加工時とプラグの構造が決めてとなります。

最近、開発されたプラグは、この部分のノイズ発生を如何に低減するかに工夫が
凝らされています。
様々な方法が試みられており、Cat5eの初期段階と比べると性能は向上していますが、
10G伝送には高い加工精度も要求されます。

この部分を軽視し、Cat.5eと同じ感覚で成端処理を行うとケーブルしての性能が
劣化します。
短い距離では目立ちませんが、15mを越すあたりから性能劣化が顕著となります。



わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-008(成端1)

ケーブルにプラグを付けることを「成端処理」といいます。
これはLANケーブルだけではありません。

この成端、以前は現場で行っていましたが、ここ15年くらい
前から「既製品」のLANケーブル(これをパッチコードと言います)
が普及し始め、現場での成端はどんどん減っています。

既製品の成端処理、仕上がり状況から、ほとんどの方は「全自動」で
作成と思っておられるようですが、実は機械化などはコンマ以下で、
実質100%は労働集約型の手加工なんです。

驚かれると思いますが、一部は機器を使ってはいますが、皮むき
芯線の並べ替え、プラグへの挿入、カシメ(これは機器使用)、
ブーツの取り付け(流し込み)、検査等、ほとんど人力です。

このため生産地は現在では中国にほぼ集約され、驚く程大量のパッチコード
が生産されています。

この現場を日本人ではおそらく一番多数見てきたのは私と自負しております。
これは現場にいた年数が長いので当然といえば当然です。

ここで言える事はLANケーブルは確実に進化し、製造方法も進歩しています。
ただ、高周波伝送というのは実に厄介な部分があり、Cat.8がほぼ限界であり
実質的にはCat.6Aあたりで、現在のプラグ形状(RJ-45)ならMAXだと思うです。

今回は、ここまで



わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-007(T-568A/B)

T-568A/B少しLANケーブルに関心があるなら必ず聞く用語です。
これは米国の電気工業会(正確な名称は?)が決めた規格で
LANケーブルのプラグ内のロケーション(配置)を指します。
W/G G W/O BL W/BL O W/BR BR T-568A (1-8)
W/O O W/G BL W/BL G W/BR BR T-568B
※Gは緑、BLは青、Oは橙、 BRは茶 W/XXは白と混合

これが色配列です、最初T-568だけでしたが、当時もっとも
米国でシェアを持っていたベル研究所が、この規格ではダメだ
とゴネたため、やむなくベルの配列を568Bに従来の規格を
568Aとしたと、AMP社の研修で聞かされましたが、当時の
私の英語力なので誤訳かもしれません。

Cat.5e程度ではこの双方の差は「色」だけでしたが、Cat.6で
十字介在(フィラー)がケーブル内部に組み込まれると、
プラグ加工の際、性能差が出ることが判明しました。
橙の対極が茶の場合にはT-568Bのほうが高性能になるのです。
このためCat.6以上はT-568Bが多用されています。

ケーブルにこの表記があるのはわかりやすくしているためで、
ケーブルにはA/Bの区分は存在しません、あくまでもプラグ付け
(成端と言います)の区分の名称です。

当然ですが、パッチコード(両端を成端したケーブル)なら、
AでもBでも構いません、社内でAとBが混在しても、何の
問題も発生しないはずです。

この成端で問題が発生するのは現地での加工時です。
これについては次号で・・・・



わかお かずまさ
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LAN工事のABC-006(なぜ撚り線にするのか)

LANケーブルは、芯線二本を撚り合わせ、4対で構成されています。
これはCatに関係なくすべて同じ構造です。

では、なぜ撚ってあるのでしょうか?
これは中学校の理科で学んだ(はず)のフレミングの法則の利用なんです。
電線に電流を流すと、磁界(磁力)が発生します、この磁界の中に他の
電線を入れると、そこに電気が発生します、この電気は実はノイズとなります。

このノイズを防ぐ方法が撚り合わせなんです。
芯線二本は、回路になって入力と出力では波形が反転します(逆位相といいます)
つまり、芯線二本には入力側と出力側では、点でみるとプラスとマイナスが
逆転しています。
電流の流れとそこで生まれる磁界の強さは比例します、そのままではノイズが
他の回路に影響を与えてしまいますが、この二本を撚り合わせると逆位相のため
磁界の強さが打ち消し合うことになります。
この作用で磁界から発生する電気(起電力と言います)は無くなるのです。

通常、この磁界を防ぐために、シールド(遮蔽と言います)をしますが、LANケーブル
では4対の間では、この磁界は発生しない事になります。

ただし条件があります、この撚り合わせは4対が同じピッチではダメなこと。
撚りピッチは位置によって粗・密がないことです。

このより密度の均一性は施工時に、ケーブルの強くひっぱたり、急角度に曲げる
事で維持出来なくなります。100Baseでは大きな問題にはなりませんでしたが、
10Gでは無視出来ない状態になります。

特に撚りの固定化が困難な「より線:strand」は、この施工時の問題に弱く
驚くような性能劣化が発生します。



わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-005(Cat)

LAN工事のABC-005(C...
LANケーブルでの種別は、まずCat(カテゴリー)の表記に目が行きます。
このCatは
Cat.5e,Cat.6,Cat6.a,Cat.6e,Cat.7,Cat.8などが現在存在します。
※この内容はすべてメタルケーブルを指します
 「撚り」は芯線二本を撚り合わせた状態を指し、芯線を構成する「より線」と区別
 しています。

このCatは、ケーブルの製法で決定されます。
LANケーブルは8本の芯線で構成されていますが、Catは、この芯線の撚り密度が
大きく影響します。
この撚り密度は結構厄介です、8本で4対の撚り線となりますが、この4対の撚り密度
は同じでダメで、それぞれを異なる密度にします。(理由は別途解説)

この密度に規定は無く、メーカの判断ですが、最終的に性能検査で合否が決まるので
いい加減な事は出来ません。

Catの区別は、伝送可能な周波数帯域で決まります。
伝送帯域とは道路の車線数と思ってください、車線数が多ければ同時に沢山の車の
移動が可能となります。
通信速度を早めるには、この車線数が重要です。通信速度とは車のように時速を上げる
のではなく、一定時間にどれだけ「荷物」が運べるかなんです。

電流の伝わる速さは光と同じとされており、30万Kmで一定です。
これを車に例えると、車速は一定で高速化も低速化も出来ません。
この条件で「高速」にするには、単位時間帯での荷物量を増やすしかありません。
つまり、車の台数を増やし全て並列走行をするしかないのです。
当然これには車線数が必要となります、車線数が少なければ車の台数は減るため
荷物の数は減ります。この荷物はまさにパケットなんです。

この車線数によってCatは決定されます。
この測定にはネットワークアナライザーを使用します。

今回はここまで






わかお かずまさ
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LAN工事のABC-004(より線と単線)

LAN工事のABC-004(よ...
003の続きです。単線とより線の違いについての説明です。
柔軟性はより線が勝っていますが、あまりに柔軟性が高いと
ケーブルとして「クセ」がなさ過ぎて、収まりが悪い事にもなります。

一番の問題は性能ですが、これは15m以上(20mがMAX)あたりから
性能差が顕著となります。
性能は単線が勝っており、特に10Gになると顕著です。
短い携行用ならともかく、固定したケーブルなら単線が有利。
特に基幹配線は単線を使うべきです。





わかお かずまさ
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LAN工事のABC-003(ケーブル種類)

LAN工事のABC-003(ケ...
LANケーブルの種類についての解説です、まず素材の形状から。
LANケーブルの素材は銅線で、純度は99.999(ファイブナイン)で、これが
標準の純度です。純度が低くなると硬度が増え加工がやりにくくなるので、
余程の事情がない限り、この純度が使われます。
芯線(電線)の太さは「AWG」で表記されています、一部の例外を除き
このAWGは必ず表記されています。
通常は24AWGで導体径は0.51mmです。

AWGはAmericanWireGageの略で、AWGで検索すれば、一覧表などがヒットします。
注意点はAWGは数値が大きいほど導体径は細くなることです。

芯線として使用するるには、これにビニール被覆で絶縁した後、これを
撚り合わせ整形します。

ここで、芯線の種類についての説明です。※ひらがな表記に注意!
芯線には、単線とより線があります、ここでのよりは、二本を撚り合わせる「撚り」
ではなく、一本の芯線が単線か複数の線がより合わされているかです。
単線は当然一本ですが、より線は通常7本で構成されています。
完成形のAWGは同じです。

単線はSOLID、より線はSTRANDと表記されていますが、単線は元々の標準であったため
SOLIDの表記が無い場合もありますが、STRANDは通常表記されています。

単線とより線にはそれぞれの特徴があります。

それは004で・・・・





わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-002(HUB&ケーブル)

LAN工事のABC-002(H...
前回の続きを解説します。
事業所の机の配置は、いわゆる「島」になっているケースが大半です。
LAN工事は、この「島」に一台のHUBを設置し、これを数珠つなぎ(デージーチェン
と言います)する方法が多用されますが、これはGiga伝送では好ましくありません。
※私は島HUB式と命名しています

原則的にスター結線が理想ですが、ケーブルの本数が増えてもスター型は二段程度で
押さえ、HUBの台数をへらす工夫をすべきです。
これによりHUB指数は向上します。

島HUB式は工事は簡単、誰でも出来ます。しかし、脆弱性は大きいいのです。
クラウドが良いと言いながら、この状態では極めて不安定な状態となります。
島HUBの数だけ故障要因を抱える事になります。
その時、HUBを交換すれば良いは机上の空論です、トラブル時にHUBの不良と断定し、
そのHUBを特定するのには結構な経験が必要です、HUBが10を越えるとお手上げに
なります、そしてその修復が終わまで、該当デバイスは通信不能となり、確実に
業務は停止します。



わかお かずまさ
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LAN工事のABC-001(HUB&ケーブル)

LAN工事のABC-001(H...
ここでは、私の本業のLAN工事設計を可能な限り平易
解説します。
ただ用語の解説は検索で可能なものについては、そちら
に頼ってください。

LAN工事の主体はHUBとケーブルですが、この扱いには
法則があります。この法則に従えば一定以上の性能は担保
されますが、工事を簡便にと思う方は無視される法則です。

以下は解説
LAN工事では、いかにHUBの数(ポート数ではなく)を減らす
かが重要です、これは伝送速度とトラブル対策です。
デバイス数だけポート数は必要ですが、可能な限り多ポートの
HUBを使用し、台数を抑えます。
全デバイス数をHUBの台数(ポート数では無い)で割った値を
HUB指数と言います

これには以下の短所があります。
工事が面倒になる(配線が長くなる)
多ポートのHUBは価格が高い

しかし、これで得られるメリットは
高速伝送
伝送の安定
HUBのトラブルの減少
セキュリティの向上

安価なHUBはそれなりの部材しか使っておらず家庭用
ならともかく事業所向きではありません。

ところが、ちょっとLANの事を知ると、ケーブルと
HUBを買ってくれば、ちょいちょいで簡単。
私はこれを「生兵法は大怪我の元」と断じます。

この大怪我は意外に傷が深いのです、ネットワークが
停止したり不安定になった時、このHUB指数が低い、
つまりHUBの台数が多いと、復旧にかなり手間取ります。
法則に従うと工事は面倒ですが、得られるメリットは
極めて大きいのです。

実際の工事事例は002で




わかお かずまさ
VegaSystems


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