LAN工事のABC-018(試験5)

LAN工事のABC-018(試...
017でも触れましたが、LANケーブルの試験結果を出力する方法があり、
これを試験成績証明書と言います。
現在は米国フルーク社のテスターで出力するのが一般的で、日本国内での
官庁関連の新規工事は、大抵これの提出が入札の必須事項に書かれています。

ところが、最近のギガスクール案件の応札者には、この書類に関しての知見が
無い方がおり、完了時点で大慌てになるケースがあります。
この試験には高額なテスターが必要であり、レンタル料金も高額です。

通常は工事後に、この試験を行いますが、施工後機器を接続してからは、結構
試験には手間取ります。
この知見がないため、意外に落札してしまうケースもあり官庁側の説明が不十分と
思われますが、なにせ実態を全くご存じない方々がやることですからどうにもなりません。




わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-017(試験4)

ケーブルの試験に関して要注意なのは試験成績証明書です。
官庁系では新築に関しては、完了にはこれを添付しろとの指示があります。

滑稽なのは、これが何かは大抵だれも知りません、情報担当者も、この見方が
わかる方は少ないでしょう、少なくとも官庁の情報担当者で、これが完全に読み切れる
なら、他の仕事についています。

このリストは現時点では米国FLUKE社の機器での出力が標準となっていますが、実際
の値はシュミレーションの部分があり、理論値とは異なる場合があります。

この機器は本来、LAN配線のトラブルの検出に使われていたもので、試験成績証明書
の出力が目的の機器ではありません。

出力してプリントするには専用APPが必要で、テスターからは直接印刷は出来ません。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

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LAN工事のABC-016(試験3)

成端処理での性能チェック、実は10万円以下のテスターでは、はっきり
言って出来ないのです。
性能試験には100万円程度のテスターでないと出来ないのです。
つまり、Cat.XXが十分な性能を発揮出来ているかをエビデンスとして計測可能な
機器は実に高額なのです。

ただし、経験から申し上げると、このテスターでの判定は絶対ではなく測定の種別
や値によっては、実用上差し支えないケースもあります。しかし、この判定には
それなりの知識と経験が必要であるため、性能試験結果での判断が無難とされて
いるのです。

厄介なのは、ケーブル本体の試験と、成端部分(プラグ)の試験では試験に用いる
アダプターが異なるなど、相応の取扱の知識が要求されます。

これは、メタルLANケーブル(銅線)とプラグ(RJ-45)の高周波伝送性能が限界点
に来ているからです。
製造の簡易性、コストなどで極限状態となったのはcat.7が限界点と私は判断して
おります、短距離ならともかく、50mを超えるケーブル長では、上記のテスターでは
どこかでFAILに近い値となり注意が必要です。




わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

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LAN工事のABC-015(試験2)

LANケーブルの試験は厳密には、
ケーブルの成端試験
ケーブル本体の試験
の2つに分類されます、LANケーブルは単純な電線ではないので
ケーブル本体の性能試験も必要となります。
※LANで使用する周波数帯は高く、この伝送のために様々な工夫が
されており、見かけは細いケーブルだが内部の構造は単純ではない。

市販されているテスターで3000円から10万円までの製品は、ケーブルの成端試験
のみで、ケーブル本体の試験は出来ません。
Cat.XXで表示されるケーブルの性能試験は、このクラスでは計測不能です。
※ケーブルそのものの性能も含めての検査は100万円以上の測定器が必要となります。

このクラスではいわゆる直流抵抗の測定による導通試験のみです。
安価なタイプ、この抵抗値の有無のみで合否の判定をおこなうので、芯線の配置ミス
は検出してくれません。これは結構重要な問題です、性能を維持するために、芯線は
よってありますが、この配置を間違えると性能は維持できず、通信速度が低下、または
エラーで通信が出来なくなります。配置は目視、それもルーペなどに頼ることになります
が、橙と茶の白との混合は見分けにくく注意が必要となります。

色配置の間違いはペア割れ、SPLITなどと呼ばれ、現場加工の失敗のTOPです、このエラー
を検出出来るテスターは最低でも1万円以上します。
数千円のテスターでは、この重要な検出が出来ません、最初の購入は、この検出が可能
な製品を選ぶ事を強くすすめます。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

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LAN工事のABC-014(試験1)

LANケーブルの試験は、それが現場加工(自作)なら必須です。
既製品のパッチケーブルであれば、ほぼ信用出来ますが、不安な場合には試験
してみます。

試験方法は様々です。
まず自作の場合、加工後にルーペを用いての試験が有効です。
プラグ部分の3箇所を見ます、倍率は10倍程度で十分です。
※スマホの拡大でも可能ですが光学ルーペがベストです。

まず、プラグボディ内の色配列を見ます。
T-568AとT-568Bは色配列が異なりますが、どちらも純色(白が混じらない)は
隣り合わせにならないとの原則があります。
それと、どちらも4-5-7-8の色は同じです。

次にプラグの先端を見ます金属ピンが刺さっている芯線の断面を見ます。
この断面が見えない、または他と比べると不鮮明な場合、これは芯線の差し込み
が先端まで達していない証拠です。
これは導通はOkでも、その後半断線の恐れが高くなります。

最後に金属ピン8本の接触面がすべて同じ高さであり表面に傷が無いかを見ます。
同時に金属ピンの仕切りになっているスリット部分に変形が無いかも調べます。
※この検査での異常はカシメ工具の不良の恐れがあります

これが目視による検査です、簡易型の導通テスターでは判定出来ない部分が
この方法でチェックが出来ます。


わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-013(成端6)

LANケーブルの成端工事で工具の優劣が性能に現れるのは圧着ペンチと呼ばれる
カシメ工具です。
数千円から1万円程度、昔は25000円もする工具も販売されていした。

LANケーブルはRJ-45ですが、RJ-11と呼ばれる電話用のプラグの加工も可能な
マルチツールもありますが、シンプルで単機能が一番のおすすめです。

構造が単純だけに、素材の優劣が耐久性に現れます、現在では国産、台湾製が
主力を占めています。中国製もありますが、その大半は台湾資本の工場か、それに
類する企業の製造です。

最悪なのは中国でのコピー品です、人気のあるタイプをコピーしていますが、肝心
の部分の精度・硬度が不十分で、0.1mm以下の精度が要求されるレベルには
達していません。

これは極めて厄介なトラブルを抱え込みます、最初から導通不良などのテスターで
チェック出来る加工不良であればまだしも、ピンのスリットの傷、接触面の不揃いは
予期せぬトラブルが発生します。

速度は不安定、100/1000のLEDが不安定に点滅など、PCの不良を疑いますが、
意外にこのカシメ部分の不良が原因の場合があります。

既成のパッチケーブルが出回るまでは、LANトラブルの70%はケーブルに起因していた
とのAMP社が集計したデータが存在します。

HUBやPCのポートとの相性問題は皆無ではありませんが、まずそのケーブルが自作か
既製品かの切り分けが最初で、まずケーブルを交換してみることが重要です。

LANケーブルの自作加工にはそれなりの知識が必要です、見よう見まねでは十分で
安定した性能を得ることは簡単ではありません。

Webサイトでは詳細な加工方法が開示されています、施工者は是非見ていただいのです。

https://www.sanwa.co.jp/seihin_joho/lan/index.html
このページの大半は私が撮影・監修したものです。

わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-000(Start)

先日からLAN工事のABC-XXX とのタイトルで連載を始めました。

おそらく、現在現役でLAN工事経験年数が最長で、中国工場を多分最多数
見てきたと自負しております。

メタルも光も設計から施工、保守まで全部の経験があり、現在でも
メタルも光も成端処理を行っています。

過去には米国AMP社(現存しない)のトレナー試験ACT1/2/3の日本人最後の
公認トレーナであり、2000人を越す方々の指導をしてきました。

高齢者の仲間入りした現在、記憶の確かなうちに過去からの様々な情報を
後世に残すべく執筆したいと考えております。

このシリーズは、私の備忘録の形で書きすすめているため、画像は現時点では
添付しておりません。近々まとめてWeb等で公開する予定です。

タイトル等や順番も現時点では「備忘録」であることをご承知ください。
すでに投稿済みなものも、加筆・修正を頻繁に繰り返しているので、ご注意ください。

https://jp.bloguru.com/kuma/query/?search=LAN%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E3%81%AEABC&go=
このURLですべてをご覧いただくことが可能です。



わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-012(成端5)

RJ-45のプラグは先端部分は規格で世界共通ですが、ボディ部分は実は沢山の
種類があります。
10Baseから100Baseの時代には、RJ-45のプラグでカシメる箇所が3箇所のモノが
結構主流だった時代があります。
これを3点圧接と呼び、先端の金属ピンと末端のケーブル抑え、ソの中間に更に
芯線を抑えて抜けにくくする抑えがあり、当然プラグもそれに対応しておりました。
厄介なのは、これに使う圧着ペンチも当然3点圧接ですから、このペンチを現在
最も使われている2点圧接のプラグに用いると、中間部分が破損する事になります。
現在では販売されていませんが、こんな時代もあったのです。

その後、2点圧接が主流となりましたが、形状の関係で短いコネクターも存在し
このコネクターを一点圧接であるため。この加工には1点用のペンチが必要でした。

最近ではシールド専用プラグも発売されていますが、これは1点圧接で、2点用を
使うとプラグが変形します。このため、これ専用のペンチが販売されていますが、
つい最近は、1点と2点がネジ一本で変更出来るタイプのペンチが発売されています。

さらにこれらとは別に、ペンチが不要の内部部品でカシメが可能な高性能タイプも
販売されています。

もう1点重要なポイント。
プラグに芯線を挿入して加工するのですが、これが慣れないと意外に難しい。
これを解消したのがロードバーと呼ばれる小さな部品。これに芯線をセットし、
先端をカットすればプラグボディへの挿入は実に簡単です。
このロードバーにはNEXT値を下げる工夫もされたモノもあります。
この発展型として、芯線をプラグボディに貫通させるタイプもあります、これは
NEXT値の向上を狙った製品です。
いずれも、それぞれの加工手順と注意点があり、メーカーの作業指示書を読むことが
必須です。

既成のパッチケーブルのみを使っているなら、これらの情報は不要ですが、現場加工
をお考えなら、知っておくべき情報です。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-011(成端4)

現場での成端工事での一番の注意点は外皮の除去です。

効率と安全のために必ず専用工具を使います、専用工具は多機能型ではなく
外皮除去のみに特化された製品が一番のおすすめです。
この手の製品は刃の調整が微妙に可能であり、ケーブルの固定側にもテンション
のあるモノが一番です。

外皮の除去で一番の注意点は、内部の芯線の外皮に傷を付けないことです。
外皮はもちろん、内部の銅線にスリットが入ると最悪の結果になります。
整形時に芯線にストレスがかかると、そこから轢断の恐れが出てきます。
性能アップのためには結構整形をせねばならぬため、この注意が必要です。

完全に轢断ならケーブル試験で断線となりますが、なまじ接触していると
初期検査では発見出来ず、極めて厄介な故障を抱え込むことになります。
特に単線ではこの症状が顕著に現れます。

決してレアケースではなく、意外なほど危険因子を含んでいることの認識
が必要です。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-010(成端3)

最近、成端処理を自前で行うことは少なくなりました。
短い距離なら既成のパッチケーブルの方が手軽で安全です。

でも基幹配線などは現地での加工が有利ですが、この時
最も注意が必要なのがプラグの選定です。
プラグの先端形状は現在ほぼRJ-45に統一されています。
このため、プラグはどれでも同じと考えがちですが、実は
そうではなくケーブルの特性に応じたプラグが用意されて
います。

当然これを使うのがベストですが、これに関する資料は
十分とは言えず、Cat.XXだけで選んでいるのが実情です。

実際の加工方法もプラグによってことなリます。
単純に接続だけなら簡単ですが、これでは直流だけの
導通のみとなり、高周波(交流)の特性は引き出せません。

009でも触れましたが、プラグ内でのケーブルの整形で
性能は大きく変化します、安価なテスターではわかりませんが
専用のケーブルテスターを使うと、その性能差がはっきりと出ます。

100Base程度で、短期距離なら大きな問題とはなりませんが
10Gでは、この性能差は無視できなくなります。
実際の使用ではわかりにくいのですが、性能試験データには
合格・不合格の結果が明示されるため、性能試験結果の添付が
必要な場合には厄介な事になります。

最近のギガスクール案件では、このデータの添付が求められて
おり、Cat.5e時代の感覚で対応すると、なかなか合格になりません。

100Baseと10Gでは、施工方法や部品は大きく異ることへの
認識が必要です。

※筆者はこの10G伝送の試験方法にはいささか疑問を持っていますが、
これを「正規」と定めた以上、合格させねばなりません。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

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