LAN工事のABC-028(PoE5)

PoEはもともと通信線であったLANケーブルに、ほぼ無理矢理
電力伝送を行っているとの認識が必要ですが、この利便性に
つられて本来は別途行うべき電力供給工事を、さして困難でも
高額でもないのに「省く」傾向があります。

これは、後々高い代償を伴うことを忘れてはなりません。
利便性は必ず脆弱性を伴います、PoEを過信してLANを拡張
すると、災害時、酷暑などで不安定な情報通信状態になります。

この不安定(常態化しない)なトラブルは実に根治が厄介で
業務に長期間の障害をもたらします。
通信障害は原因の切り分けが厄介な場合が多く、発生頻度が低いと
長期間に渡るケースも珍しくはありません、この手修復には原因は
簡単でも、突き止めるまでの時間費用が発生するので、思わぬ高額
になることもあります。


わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-027(PoE4)

PoEで最も注意が必要なのは電力伝送に関する知識です。
信号伝送と電力伝送は、同じ銅線を使っても動作が全く異なる
部分があります。それは電力伝送はエネルギー伝送だからです。

信号伝送は電圧の波高値で「情報」を送りますが、電力伝送は
伝送時には切れ目なく一定の波高値でエネルギーを送らねばなりません。

エネルギーは質量であり、この質量は電力つまり、電圧と電流の積です。
信号伝送では質量は多くは要求されないので、伝送路(電線)は、
さほどの容積は必要としません、つまり細い電線でも一定以上あれば
沢山の信号を同時に送ることが出来ます。

これは100人でも、一人でも同じ電線径で伝送が可能です。
ところが電力伝送では一人と100人では百倍となります。

一人の使用料を1Wとすれば、100人なら100Wとなります。
電圧が50Vとすれば、一人なら0.02A(20mA)ですが100人なら
2Aとなります。

電流値の大小は伝送中の電圧降下(損失)に直結します。
電流を流すと、その伝送路(電線)の抵抗(線路抵抗)に比例
して発熱します、発熱は電力ロスとなるので、線路抵抗値は
極めて重要となります。

線路抵抗値は、電線径と反比例し(太い電線は抵抗が少ない)、
線路長(電線の長さ)に比例します。
LANケーブルでも、この法則が適用され、見た目はあまり変わらなくても
電線径の太い細い長い短いで、でロスは大きく変わります。

PoEでは使用する電線径が重要である理由はここにあります。

わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-026(PoE3)

PoEでは電力伝送の送電方式が規定で定められており、
A方式、B方式があります。
A方式は、1-2、3-6を使って送電。
B方式は、4-5、7-8で送電します。

確固たるルールはありませんが、Switchは概ねA方式
インジェクターはB方式を採用しているようです。
極性ですが、A方式では1-2,3-6の極性が反対となるPSEが
存在します。B方式では4-5が「+」7-8が「-」のタイプしか
無い様です。

A方式もB方式でも、PD側は、これを問題とせずに受電出来る
構造であることが規格で定められています。極性も同様です。

これはブリッジダイオードを使って解決しています。

時々、このPSEはA方式かB方式かとの質問があります。
詳細を尋ねると、当該PDではB方式しか受電出来ない等、
PoE規格に逸脱している「仕様」が記載されている模様。
この場合は、IEEE802.3に準拠していないか、PoEの原理を
理解せず仕様を書いているかです。
9割以上が後者です。

PoEはフールプルーフが仕様の基本となっており、メーカに
よる差異を吸収する形になっていますが、それが根本の部分で
理解されていないのが現状です。


わかお かずまさ
VegaSystems


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LAN工事のABC-025(PoE2)

PoEは同一LANケーブルで、信号伝送と電力伝送を同時に行います。

1000Base以上の伝送にはLANの心線4ペア8本をすべて使用して通信するので、
余剰の心線はなく、電力は同じ心線を使って伝送します。

心線は電線径が24AWG(電線径を示す基準値)でも、0.51mmしかなく、
長距離になると線路抵抗のため電圧がドロップします。
このため、1ペアを一本の線路とみなす工夫がされています。

この線路での電位差(電圧)で電力を送りますが、注意が必要なのは
線路間の電位差で、グランド(接地面)との電位差ではありません。

電力伝送用の線路に通信信号を乗せる事を重畳と呼び、TVの増幅器などで
使われている技術で、決して新技術ではありません。

ただ、LANケーブルはストレートばかりではなく、クロスなども存在するので
想定されるケーブル等の対応は規格で定められています。

もう一点重要なのは、電力伝送はいきなり行われるのではなく、PSEが接続先を
PDとして認識し、手順を経て送電開始となるので、PSEの接続先が非PDの機器や
測定器であっても送電による機器破損は発生しません。

しかし、PoEには「亜種」やIEEE802.3に準じていない機器も存在しているいるので
PoEのシステム構築は、この部分の確認が絶対に必要となります。

特にPSEまたはPDのどちらかが故障で交換する場合には、厳密に規格の確認が
必要となります。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

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LAN工事のABC-024(PoE1)

PoEはPowerOverEthernetの略で、メタルLANケーブルで伝送信号に加え、
電力も送る仕組みです。ぴー・おー・いー と読みます
PoEと「o」のみが小文字の表記となっています、以前はP.o.Eとの表示もありました。

世界規格IEEE(あい・とりぷる・いー)で制定されており、現在は
IEEE802.3af/at/btが定められ、最近はTypeとClassに更に細分化されています。

PoEはメーカが異なっても動作するように仕様が定められていますが、最近は
亜種と思われる規格も出現しており注意が必要です。

電力伝送にはDC(直流)が用いられ、DC48-57Vが動作電圧となっていますが、
上記のようにメーカでの囲い込みが現実には存在しています。
特に囲い込みがお家芸のCisco社を用いる場合は要注意です。

PoEは電源を送る側をPSE、受電側をPDと呼びます。
PSEはHUBやLANケーブルの途中から電源を送るインジェクターなどが
該当します。
PDはカメラや無線LANのアクセスポイントなど。
PoE機能を持ちケーブル延長を可能とするエクステンダー
はPD/PSEと呼ぶことがあります。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

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LAN工事のABC-023(設計5)

LAN工事設計では重要な部分がいくつかありますが、その一つに
「全体がすぐに理解出来る」があります。ケーブルの通線経路は一種の
「流れ」があります。源流になる基幹Switchから全体にどのように配分するかは
基本的な流れというか、通線工事の暗黙のルールのようなものがあります。

これを机上の設計だけですすめると現場では「?」となることがあります。
LANの拡張が全くなければそれでも良いのですが、変更・拡張があると、この
「?」の部分が意外に問題化します。

LANの設計は、必ず現場を見て、通線構造を事前に指示出来るような状態で
行うのがベストです、このスタイルで設計されたLANシステムは、変更・追加が
比較的容易であり、ドキュメントの訂正が忘れられていても、トレースが出来、
結果として良い設計となります。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-022(設計4)

LANの設計で重要のなのは、将来の見通しで、ここが
電気工事などとは大きく異なります。
電気工事は電力伝送であり線材も完成域に達しているため、この部分での
選択はほぼありませんが、情報伝送は、まだまだ先が見通せません。

10Baseから100Base、更に1000Baseとなり、最近は10Gと表面上伝送速度がアップ
していますが使用者はこの実態を理解してはおらず、やたらと期待します。

現在の伝送回路線材は銅線が大半で、引き込みこそ光ファイバーですが、屋内は
99%メタル(銅線)です。
このメタルLANケーブルの伝送帯域は最大でも500Mhz程度が限界で、実際の通信は
1000Baseが限度と思われていましたが、無理矢理エラー訂正を行い、10Gbaseを
行っています。
メーカーは相当の投資を行った形跡があり、当面は何が何でもメタルでの10Gを
押し通すと思われますが、伝送機器での処理でこのエラー訂正は、消費電力が
馬鹿にならず大きな問題を抱えています。

私は早晩、伝送回路線材は光に移行せざるをえないと考えており、回路設計では
基幹部分の通線構造はPD/CDでのパイプ構造にすべきと提案しております。


わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-021(設計3)

このコロナ騒ぎで、LAN環境も大きく変化しています。
その一番は在宅勤務の増加だと思います。
問題は在宅勤務を急ぐあまり、環境整備が追いついていないことです。
RDPアプリなどでの緊急避難対応も、これだけ長引くと「緊急避難」
とは言えず、セキュリティ対策に本腰を入れる必要があります。

従来は閉鎖空間であったためセキュリティ対策が比較的簡単に出来た
のですが、拠点(自宅)が増えると、従来の方法では支障が出ます。
この機会に根本的に見直す必要がありそうです。

しかし、それには従来のビジネスフローの見直しが必要となり、大きな
変革が迫られます。ここで真っ先に検討せねばならないのが基幹系業務の
Serverです、このServerが自社内(オンプレミスといいます)か、クラウド
で運用しているかで、LANの設計も大きく変わって来ます、特に在宅が
増えれば、本社としての管理体制が変わって来ます。



わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-020(設計2)

LAN工事で一番注意すべき点はと聞かれれば、それは拡張性と答えます。

OfficeのLAN工事は拡大・縮小・変更はつきもので、これに対応出来ない
基本設計は結論から言えば「ダメ」となります。

セキュリティ重視だとか、速度を優先とかの説明がありますが、上記の
拡張を行った時、身動きの出来ない設計、根底からやりなさないとダメ
な仕組みでは施主に迷惑をかけるだけです。

拡張性を力点をおいても、実は施工費用はそれほど増えないのです、
要は経験の有無が大きくモノ言うのがこの部分です。
この先、このOfficeがどのようになっていくのだろう。
外部との拠点間通信は必要になるのかなど、未来の姿を想像する事が
設計の重要なポイントです、言われたこと・すぐ目の前しか見ていない
のでは困ります。

一見不便でも習熟でクリア出来るなど、私はあえてリハビリと呼んで
いますが、クライントは「人間」であり、マシンでは無いこと事を
心に留めねばなりません。

わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

LAN工事のABC-019(設計1)

本来は設計の話しを最初にすべきと考えましたが、それでは
あまりに敷居が高いのではと思い、少し回り道を致しました。

今回から設計の基本を解説します。
LAN工事の設計は主に屋内となります、最近はOAフロアと呼称する
フリーアクセスの床が多く、自在に通線が可能であるため、かなり
いきあたりばったりの無定見のLAN工事が見られます。

なかには経営者がやたらレイアウトを変更したがるケースもあり、これは
これで問題でもありましたが、このコロナ騒ぎで、オフィスも様変わりとなり
規模縮小やら変更が相次いでいますが、いまこそ理想的なLAN工事を行う
チャンスでもあります。

わかお かずまさ
VegaSystems


#LAN_PRO

ワオ!と言っているユーザー

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