先日、建築文化のところで長八美術館を紹介したが、その伊豆長八について書かれた本である。2002年に発行された。伊豆長八は、本名入江長八(1839-1889)といい、幕末から明治に初期に活躍した鏝絵師である。特に伊豆に多く作品が残っており、松崎に長八美術館が建設された。東京にも多くの作品があったが、震災と戦災にあってかなりの作品がなくなったようである。この長八の漆喰細工の技術はすごく、現在の鏝絵師はみなこの長八の流れを汲んでいるようである。また、若い頃は狩野派の絵師、喜多武清の内弟子になっており、漆喰絵の浮き彫りを創造し、色をつけ、鏝絵を芸術作品までにした人である。明治11年に行われた第一回内国勧業博覧会に出展し、明治18年にはロンドン万国博覧会にも出展した。その超絶技巧は、当時の彫刻家高村光雲が長八のことを「江戸の左官としては前後に比類ない名人であった。」と言っていることからも知ることができる。漆絵の柴田是真のところでも書いたが、この時代の工藝にはあまり知られていない名工が多い。
この本には長八の作品が沢山紹介されており、いろいろな人のエッセイが掲載されている。つげ義春が1967年のマンガで描いた「長八の宿」に関わるエッセイ「伊豆半島周遊(抄)」を載せている。その最後に富士が雲から顔を出している絵(「長八の宿」から抜粋)がなんともいい。もちろん、長八の作品もすばらしいですよ!
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投稿日 2010-02-06 23:17
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2010-02-07 18:25
ワオ!と言っているユーザー