「免疫力」が高いと流産する
わけではありません。
「免疫力」を正常に高く保つことは
身体にも胎児にも良いことです。
ちょっとややこしい話ですが、
正常な免疫系では、
自動調節する機能があるのです。
子宮のなかでは、
卵の発育に不可欠な胎盤になる細胞を
免疫細胞が中心となって
調節して育てているのです。
一般的に言う免疫力が高い方は、
免疫系がバランスよく維持されていますが、
不妊(着床障害)・不育で
心身のバランスを崩している方は、
免疫系が
アレルギー的な攻撃性を持ち、
同時に、
胎盤になる細胞を増やす機能を
低下させていることがあるのです。
流産を繰り返したとき、
また、
体外受精の卵を移植しても
繰り返し失敗したとき、
何かに不信感を感じたら、
勇気をだして、
現在の環境を変えてみてください。
繰り返す失敗には、
必ず何かわけがあるはずです。
もちろん、
偶然の運命による確率もありますが、
繰り返すごとに、
ストレスによる原因や
免疫の不具合による原因が
発生してくるのです。
当院の生殖精神分析の検査のなかで、
5つの不安の感情のひとつである
「想定外出来事への受け入れ度」
の程度が分析できます。
妊娠すれば子供は生まれるものだ
と、当たり前のように思っていた方、
体外受精すれば妊娠して出産できる
と、思っていた方、
そして、
それをまさか繰り返すなんて
考えてもいなかった方は、
「想定外出来事への受け入れ度」
が弱っている可能性があります。
そうすると、
次回の妊娠(移植)時、
失敗できないという緊張感が強くなり、
かえってうまくいかなくなってしまいます。
こんな方へ言いたいことは、
自然界の中でも人間界の中でも、
「想定外」 なんてないという真理です。
完全に想定することなんてできません。
びっくりするようなことが起こっても、
時間の経過のなかで、
なんとか納得するようにして、
これからは覚悟もして、
自分を見失わず、生きていきましょう。
免疫は、異物の侵入から
自分の身体を守る生物学的システムです。
花粉症、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎等の
アレルギー気質の方は、
ある種類の異物や刺激に
免疫系が過剰に反応しているのです。
受精卵、胎児も夫由来の異物性を
持っています。
免疫系が一部に過剰反応してしまえば、
局所的な炎症を伴って、
受精卵、胎児を排除してしまいます。
このような原因が疑われる方は、
免疫系をなだめることが必要です。
心身両面から調整することが
最も効果的です。
不安、緊張、抑うつ という感情は、
人間という高等動物の特質です。
感情はときどき 暴走 します。
感情という 「駄々っ子」 を、
いつも理性で抑え込むこと
ということはできませんが、
なだめる
ことはできます。
妊娠すると不安が強くなり、
疑心暗鬼になる方は、
自分の感情という駄々っ子を
なだめてみてください。
子供をあやすように。。。
感情は、
自分の中の
もうひとりの子供
のようなものだから。
平成28年は、さる年です。
卵は半分異物(夫由来)です。
免疫系は
異物と、異物化した細胞(癌、感染)を
受け入れません(攻撃します)が、
通常、
卵については、受け入れています。
その理由の全容は、まだ 「なぞ」 です。
2015年11月号の 「サイエンス」 という
世界で最も権威のある 科学誌 に、
「寄生虫と妊娠のびっくりする関係」
が
報告されました。
寄生虫に感染していない婦人に比べて、
回虫に感染している婦人は
妊娠、出産率が高く、
十二指腸虫に感染している婦人は
妊娠、出産率が低いのです。
世界の10億人以上が何らかの寄生虫に
感染していると言われています。
考えてみれば、
寄生虫って、あまり悪さをせずに、
多くの人間の腸内に寄生してますが、
卵も子宮の中で寄生しているわけですね。
回虫と十二指腸虫に対する
免疫系の対応の違いが
卵を受け入れる免疫系と、
卵を受け入れない免疫系の姿
を教えてくれる可能性があるのです。
同様な研究として、
エール大学の生殖免疫学者の
ギル モア教授は、
「人間の身体の常在菌が
妊娠維持には極めて重要である」
という結果を報告しています。
当院の免疫調節療法のひとつとして
使用している
ピシバニールとは、
ストレプトコックス・ピオゲネスSu株を
ペニシリンと熱処理後に凍結乾燥した
病原性のない菌体製剤です。
がんばって、
かんばって、
最後は 「神だのみ」。
人生って、
多くの事が思うようにはいきません。
がんばることは大切ですが、
「神だのみ」 も大切です。
赤ちゃんは神様からの授かりもの、
「神だのみ」 の心境になることは
いいことだと思います。
最後は神様に おまかせ です。
診察して、
10%の可能性で心配事があっても、
90%の大丈夫という可能性を信じて、
不安をできるだけ小さくするよう
お話しできるドクターが、
不育症、着床障害の方には特に必要です。
今の状態をわかりやすく説明でき、
患者様が納得して、
そして、覚悟もできることが
支持的精神療法となるからです。
平成27年12月20日(日)、
14時から15時30分まで、
三重県立看護大学 (津市)
講義棟2階 多目的講義室にて、
三重県不妊専門相談に関する事業
の一環として、
一般の方向けに、
「不育症について理解を深めるために」
というテーマの講演会の講師を
私が引き受けました。
ご関心と、お時間がある方は、
参加してみてください。
連絡先は、
三重県立看護大学
TEL 059-233-5600(代)です。
ドクターの習性として、
まず最悪の病気を想定します。
悪いところを見つけようとします。
悪いところを見つけることが仕事だからです。
たとえば、診察して、
90%の確率で問題はないと思われても、
10%の可能性で心配がある場合、
その10%の心配事を
強調して説明することがあるのです。
不育症や着床障害の方は、
身体の異常以外に、
心の痛みを持っており、
心配事を強調されると、
心がさらに不安定となり、
かえって
その不安が新たな心的流産原因を
作ってしまう事があるのです。
移植後、あるいは
妊娠成立後の約一か月間は、
心配させるドクターではなく、
安心させるドクターが必要です。
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