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  • 地域医療の見え方  2015.Dec.9;1(47)

地域医療の見え方  2015.Dec.9;1(47)

スレッド
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1. CLINICAL EVIDENCE SUMMARIES
-[レビュー] 筋萎縮性側索硬化症に対するエダラボンの効果-

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2015年6月、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)における機能障害の進行抑制」に対するエダラホン(ラジカット®)の効能効果及び用法用量が追加承認された。筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制に対する用法用量は以下のとおりである

「通常,成人に1回2管(エダラボンとして60mg)を適当量の生理食塩液等で用時希釈し,60分かけて1日1回点滴静注を行う. 通常,本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし,これを繰り返す.第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し,第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する.」。
[ラジカット®注30mg 製剤添付文書2015年6月改訂(第18版) D15]

「通常,成人に1回2袋(エダラボンとして60mg)を,60分かけて1日1回点滴静注を行う. 通常,本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし,これを繰り返す.第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し,第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する.」
[ラジカット点滴静注バッグ30mg2015年6月改訂(第9版) D10]

ALSは上位あるいは下位運動ニューロンの選択的変性を引き起こす難治性、進行性の疾患である。
[N Engl J Med. 2001 PMID: 11386269]

ALS発症から死亡までの生存期間中央値は20~48か月と言われている。
[Nature. 1993 PMID: 8350919] 

PubMedにて「edaravone als」で検索すると2015年11月11日現在8件の論文しか検索されない。そのうち人を対象としたランダム化比較試験は1件のみであった。[Amyotroph Lateral Scler Frontotemporal Degener. 2014PMID: 25286015] 

この研究はALS患者を対象としたエダラボンの有効性と安全性を検討するための2重盲検ランダム化比較試験である。20歳~75歳で罹病期間3年以内のALS(重症度分類は5段階で1~2)患者206人を対象とした。エダラホン投与群102人、プラセボ投与群104人にランダムに割り付け、12週後のALSFRS-Rスコアが検討されている。エダラボンは60mgを60分かけて1日1回点滴静注。第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬。第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬。これを6クール実施している。

ALSFRS-R(ALS Functional Rating Scale-Revised)スコアはALSの機能評価スケールであり、ALS 患者の総合的な重症度、病態進行の評価として使用される。(0~48点で評価)
[J Neurol Sci. 1999 PMID: 10540002] 

スコアの変化量より病態進行速度を予測することが検討されており、1ヶ月間のALSFRS-R のスコアが 0.67 以上低下している例では進行が急速であると言われている。
[Neurology. 2006 PMID: 16434671]

最終的に205人が解析された。ALSFRS-Rスコア変化量(LSMean±S.E.)は、エダラボン群(100名):-5.70±0.85、プラセボ群(99名):-6.35±0.84で、投与群間差のLSMean±S.E.とその95%信頼区間は0.65±0.78(-0.90~2.19)であり、投与群間で統計学的に有意な差を認めなかった。有害事象はエダラボン群で89.2%、プラセボ群で88.5%であり、絶対差は0.8% (−7.8% to 9.4%)と明確な差は無かった。重篤な有害事象はエダラボン群で17.6%、プラセボ群で23.1%となっている。本研究ではエダラボンがALSの進行を遅らすことはできなかったと結論している。

なお田辺三菱製薬(株):ALS重症度分類3度の患者を対象とした探索的試験(承認時評価資料)によれば、ALS重症度分類3度の患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験でも同様の結果となっており、進行を遅らす効果すらまともに示せていない状況での承認となっている。

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2. CLINICAL EVIDENCE SYNOPSES
-注目論文の紹介です-

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[文献]血圧は厳格にコントロールすべきか(Lancet メタ分析)PMID:26559744

Xie X.et.al. Effects of intensive blood pressure lowering on cardiovascular and renal outcomes: updated systematic review and meta-analysis. Lancet. 2015 Nov 7. pii: S0140-6736(15)00805-3. PMID: 26559744
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26559744

[背景]厳格な血圧コントロールが心血管イベントや腎臓イベントを大きく減らすかどうかについては議論の余地がある。厳格な血圧コントロール戦略の有効性・安全性を検討したシステマテックレビュー・メタ分析

[方法] 1950年1月1日~2015年11月3日までに公開されているデータをMEDLINE, Embase, and the Cochrane Libraryで検索。少なくとも6か月以上追跡し、厳格な血圧コントロールと通常の血圧コントロールを比較したランダム化比較試験を解析対象とした。なお言語制限なく論文を検索した。心筋梗塞、脳卒中、心不全、心血管死亡の心血管イベント単独もしくは組み合わせ、非血管死亡、総死亡、末期腎不全、有害事象、糖尿病患者におけるアルブミン尿、網膜症の進展をメタ分析し相対危険を算出した。

[結果]19研究に参加した44 989人が解析対象となった。平均3.8年の追跡期間中2496件の主要な心血管イベントが記録された。厳格血圧コントロール群の平均血圧は133/76 mm Hg、通常の血圧コントロール群の平均血圧は140/81 mmであった。相対危険減少は、心血管イベントで14% [95% CI 4–22]、心筋梗塞で13% [0–24]、脳卒中で22% [10–32]、アルブミン尿で10% [3–16]網膜症進展で19% [0–34]であった。しかし、次のアウトカムに関する有効性は不明確であった。心不全15% [95% CI −11 to 34]、心血管死亡9% [–11 to 26]、総死亡9% [–3 to 19]、末期腎不全10% [–6 to 23]有害事象に関しては厳格治療群で11.2%/年、通常治療群で0.9%/年(相対危険1.35 [95% CI 0.93–1.97]であった。重篤な低血圧は厳格治療群で多い(相対危険2.68 [1.21–5.89])が絶対差は微小であった。(追跡期間中0.3%/年 対 0.1% /年)

[解釈]厳格な血圧コントロールは通常コントロールに比べて血管保護作用を示唆する。高リスク患者では収縮期血圧を140 mmHgとすることで、さらなるベネフィットを享受できる可能性がある。個人の絶対利益は決して少なくない。

[コメント]集中的な血圧コントロールと標準的な血圧コントロールのベネフィット比較した臨床上、重要なメタ分析。近年では、軽度高血圧患者においても血圧は厳格にコントロールした方が良いという報告がなされている。[RCTメタ分析Ann Intern Med. 2014 PMID: 25531552] また2型糖尿病患者等、心血管疾患ハイリスク患者では収縮期圧が10mmHg低下ごとに心血管リスクが低下し、特にベースラインの収縮期血圧が140mmHgを超えるグループでは有意な低下が見られたと報告されている。[RCT メタ分析 JAMA. 2015 PMID: 25668264]

本研究では心血管死亡や総死亡に明確な差は見られなかったものの、主要な心血管イベントが厳格な血圧コントロール群で有意に低下した。研究間の異質性もそれほど高くなく、個々の研究結果も一貫している。

ただ高齢者における降圧療法を厳格にすべきか、という臨床課題に答えるものではなく、あくまで“平均的”なデータであろう。より厳格と言う定義もなかなか微妙ではあるが、ハイリスク患者における降圧療法は収縮期血圧で140mmHg未満を目指すのも良いかもしれない。しかし、80を超えるような高齢者では収縮期血圧が130mmHg以下の状態で降圧薬を2種類以上投与することは避けるべきである。[縦断研究JAMA Intern Med. 2015 PMID: 25685919]

[文献]血圧は厳格にコントロールすべきか(NEJM RCT)PMID: 26551272

SPRINT Research Group, Wright JT Jr.et.al.The SPRINT Research Group. A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control. N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2103-16. PMID:26551272
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26551272

[背景]糖尿病ではない患者における収縮期血圧のコントロールと心血管疾患、や死亡への関連は不明である。

[方法]収縮期血圧が130mmHgで糖尿病のない患者9361人を対象に収縮期血圧120 mm Hg未満を目指す厳格血圧コントロール群、140mmHg未満を目指す通常血圧コントロール群にランダムに割り付けた。一次アウトカムは心筋梗塞、他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、心血管死亡の複合アウトカム。

[結果]1年後の収縮期血圧は厳格治療群で121.4 mm Hg、通常治療群で136.2 mm Hgであった。複合アウトカムに有意な差がついたために、追跡中央値3.26年で研究を早期中止した。(1.65%/年 対2.19%/年 ハザード比0.75[95%信頼区間0.64 to 0.89] P<0.001) 総死亡もまた有意に低下した。(ハザード比0.73[95%信頼区間0.60 to 0.90] P=0.003)低血圧、失神、電解質異常、急性腎傷害は厳格治療群で多かった。転倒による外傷には統計的な差は出なかった。

[結論]いくつかの有害事象が厳格血圧コントロール群で観察されたが、糖尿病のない高リスク患者では、心血管アウトカムや総死亡に対するベネフィットが認められた。

[コメント]Lancetのメタ分析に続きRCTが報告された。対象となったのは50歳以上で糖尿病を有さず、収縮期血圧が130 ~180 mm Hgの患者9361人である。平均年齢は67.9歳、75歳以上の高齢者が28.2%含まれており、高齢者を含むランダム化比較試験として貴重な研究となっている。なお盲検化は行われておらず、outcome adjudicatorsのみ割り当てを知らされていない、つまりPROBE法と思われる。

糖尿病こそないもののBMIは29.9と日本人のそれと比べれば高い。厳格治療群4678人、通常治療群4683人にランダム化され、全例が解析されている。なお、統計解析はintention-to-treat approach。追跡期間は5年と計画されたが、明らかなベネフィットのために中央値3.26年で早期中止された。プライマリアウトカムはハザード比で25%低下。総死亡も低下した。但し、低血圧や失心などの有害事象が多いという結果であった。

早期中止トライアルでは結果を過大評価するという報告[メタ分析JAMA. 2010 PMID:20332404] もあり、研究結果を鵜呑みにできるかは議論のよりがあるかもしれない。しかし、これまでのメタ分析からも、集中的な血圧コントロールはハイリスク患者においては糖尿病の有無にかかわらずメリットがある可能性がある。しかしながら、日本人の平均的な高血圧患者においてここまでのベネフィットがリスクを上回るだろうかと考えると、結果の適用については議論の酔いがありそうだ。

なお治療薬は第一推奨としてサイアザイド系利尿剤、高度な慢性腎疾患を有する患者ではループ利尿剤、冠動脈疾患患者ではβ遮断薬。特にクロルタリドンが主要なサイアザイド系利尿薬として推奨されている点に注意したい。その他にはアムロジピン、アジルサルタン、アジルサルタンとクロルタリドンの合剤が挙げられている。

PROBE法という研究デザインにも注目したい。1年後の収縮期血圧、厳格治療群で121.4 mm Hg、通常治療群で136.2 mm Hgという群間差が、心筋梗塞、他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、心血管死亡の複合アウトカムに差をもたらしたのか、それとも厳格な治療という介入がこの差をもたらしたのかは、この研究からではよく分からない。僕はどちらかと言えば、後者の影響は大きいのではないかと推測する。虚弱高齢者では、血圧のみに注目してより厳格な降圧を目指すと、思わぬ有害事象を招く恐れがあり注意が必要だろう、と言うのが僕の印象だ。

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3. EDITORIAL NOTE
-編集後記-

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血圧コントロールに関する重要論文が立て続けに出ていますが、皆様はどのように論文結果を捉えたでしょうか。降圧目標はやはり、年齢にもよるのかなあ、というのが正直なところです。特に高齢者では利尿薬による厳格治療は電解質異常などのリスクもありますし、難しいところです。

さて、なかなかブログを編集する時間を確保することが難しいのですが、できる限り更新は続けていきたいと考えています。基本的にはミニレビューと論文紹介の2本立て、時間が取れるようになったら、症例報告なども取り上げていきたいと考えています。
#学校 #教育 #受験 #外国語 #科学

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