ホソバヒナウスユキソウ (細葉雛薄雪草) キク科(Asteraceae)
学名:Leontopodium fauriei var.angustifolium
上信越地方の至仏山(尾瀬)・谷川岳周辺にしか見れない固有稀少種。
「ヒナウスユキソウ」の変種で、二千メートル級の蛇紋岩地帯に生える。
背丈10~20センチ位、葉は広線形または長楕円形で表面には綿毛が密生する。
茎の先に黄色い花を咲かせ、総苞が星形につく。
「ホソバヒナウスユキソウ」どことなく日本的な花名に映るのは主観的すぎるか?
国内の薄雪草仲間は、5種類。本州・四国、九州の低山帯に分布するウスユキソウ。
北海道東部と礼文島には、レブンウスユキソウ、早池峰山にはハヤチネウスユキソウ、
中央アルプス木曽駒ケ岳にはコマウスユキソウ、
本州北部、秋田駒ヶ岳、鳥海山、月山、朝日連峰、飯豊連峰にはヒナウスユキソウ、
(一般的には、ミヤマウスユキソウの方が通じるかも知れない)が、分布している。
みな全草に綿毛があり新雪を頂いたようなふわふわの総苞葉が美しい。名の由来でもある。
蛇紋岩の岩場に点々と咲くホソバヒナウスユキソウ、朝露を浴び陽の光にきらめく。
我が若き頃の谷川岳一ノ倉沢岸壁群は、其々のルート、順番待ちの盛況を誇る登攀の聖地だった。
学生には時間があり、わざわざ山頂近くにビバークして翌朝この美しい花に見入った覚えがある。
後にスイスアルプスで見たレオンボディウム・アルピヌム(エーデルワイス)も神秘的だったが、
スイスでは乱獲等で自生地は減少の一途。山岳放牧を減少原因に挙げられているがこれは???
長い間、放牧は続いている。15年ほど前には、スイスの登山基地周辺では、ごく普通に見れた。
“自生野種の花々”もっと大切にすべきだ。国内に置いても同様と思える。
稀少・・・絶滅危惧種の植物を個々の生活地(下界)で育てることは極力避けたい。
植物も動物も同じと心得たい。
流れる霧にみえかくれ、朝露に陽が差した瞬間、ここでしか感じることが出来ない崇高な気分。
背丈15cmほどの可憐さだが、なんとふくよかに見えることか!!
余りにも美しい、貴重な花。来年は、訪ねてみたい。思い出した魅惑の花。
2014年、晩夏
ワオ!と言っているユーザー
ワオ!と言っているユーザー