人は促進力と抑止力のあいだで生きている
7月
4日
普段何気なく過ごす私たちの行動の中には
「進もうとする力(促進力)」と
「踏みとどまろうとする力(抑止力)」
のせめぎ合いがあります。
前に進むことだけが成長ではなく、立ち止まること、踏みとどまることにも意味があるように思っています。
促進力と抑止力は、どちらかが正しくてどちらかが悪いのではなく、どちらも私たちの意思決定を支える『内なる力』です。
どちらか片方だけでなく
この二つの力を丁寧に見つめ、使い分けることができたとき、私たちはより自分らしく、よりしなやかに生きることができるような気がしています。
促進力とは
「やってみたい」
「変わりたい」
「届けたい」
といった内なる願いから生まれる力です。
一方で
抑止力は
「失敗したくない」
「傷つきたくない」
「迷惑をかけたくない」
といった内なる恐れや慎重さから生まれます。
どちらも人間らしい感情ですよね。
そして
どちらも私たちを守ろうとする力です。
新しい挑戦を前にしたときには、「やってみたい」という促進力と、「失敗したらどうしよう」という抑止力が同時に働くことがあります。
このとき、どちらかを否定するのではなく、両方の声に耳を傾けることが、自分にとって最も納得のいく選択を導く鍵になってきたように感じています。
抑止力はしばしば「行動を妨げるもの」としてネガティブに捉えられがちですが、実はそれは暴走を防ぐための『バランサー』でもあるような気がしています。
勢いだけで突き進もうとしたときに、「ちょっと待って、本当にそれでいいの?」と問いかけてくれるのが抑止力で、きっと数え切れないくらい助けられてきたように思います。
この力があるからこそ、私たちは衝動ではなく、意志をもって行動を選ぶことができるんでしょうね。
大切なのは、促進力と抑止力のどちらかを強めることではなく、両者のあいだに『対話』を生み出すことなんじゃないかと。
「やってみたいけど怖い」
という状態は、まさにその対話の入り口。
このとき
「なぜやりたいのか」
「何が怖いのか」
「どうすれば安心して一歩踏み出せるか」
といった問いを重ねることで、行動はより自分らしいかたちで整っていくように思います。
そういう観点でいえば、促進力は『動機づけのエネルギー』であり、抑止力は『ストレス反応の兆し』とも捉えられるように思え、それはしっかりと感じとっておくべき感覚のような気もします。
両者を観察し、言語化し、必要に応じて調整することが、自分の行動スタイルを最適化する鍵になっていくんでしょうね。
促進力と抑止力は、どちらも私たちの内側にある『生きる力』です。
前に進もうとする願いと、立ち止まろうとする慎重さ。
その両方を否定せずに受け入れ、対話させることができたとき、私たちはより深く、より納得のいく行動を選ぶことができるんだと思います。
促進力だけでは空回りし、抑止力だけでは閉じこもってしまう。
だからこそ、両者のバランスを見つめることが、自分らしい実践を育てる土壌になり、それが整ってこそより良い選択ができていくような気がしています。