-
投稿日 2020-12-31 10:43
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
■阿部亀商店 WILD ALBACORE TUNAの解説:クラウドファンディングからの刺客 宮城県は塩釜の水産加工会社によるツナパウチ。はるか昔ツナ缶の黎明期、塩釜にもツナ缶会社が点在していたが、企業の統廃合や気仙沼への移転ほかの事情でむこう半世紀くらいは製品作ったぜという記録がなかった。本品は、各地で興る小ロットツナパウチのトレンドをくみ、そこにクラウドファンディングという新機軸を用い資金を獲得している。インスタでも購入報告がちらほら。 原材料はビンナガと食塩のみ。食品添加物不使用を前面に押し出し、裏面にはアレンジレシピも書いてある。 クラウドファンディングのリターンのため、通常の方法では...
-
投稿日 2020-10-14 07:00
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
伝説のツナ缶みたび お土産ツナ缶として定着した由比缶詰所が誇るラインナップのうち、門外不出の至宝「炙りビントロ」。炙りビントロそのものの詳しい解説は、一昨年の2017モデルを参考されたい。本稿では筆者から見たツナ缶の総括、2017モデルと2020モデルの違いを中心に紹介している。 「入手性を無視して、長井さんが最高と思うツナ缶は何ですか?」への答え。ビンナガのとろ肉を炙り、それを一つ一つ剥がし詰め、オリーブオイルに漬けたツナ缶。同様の製法を用いるツナ缶としてシーチキン炙りとろを挙げるが、あちらはキハダのとろを使ったライトミート製品で、こちらはビンナガを使ったホワイトミート製品だ。 10月10日...
-
投稿日 2020-01-21 03:43
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
本州の果てで造られる生マグロの味付缶(本記事の「勝浦」は、特記ない限り和歌山県の「那智勝浦」です) 本場静岡県から西に450km弱。和歌山県、那智勝浦町。国産ツナ缶の97%は静岡でつくられている(2018年)が、わずかに別の地域でも製造されている。 読者にとってなじみ深い宮城県が数パーセント、他に高知県、和歌山県。この風光明媚な場所でごく少量製造され続けているツナ缶がある。 筆者は過去二度にわたり勝浦へ出向き、このツナ缶を購入しているが、JF和歌山に移管したあとの製品はまだ購入していなかった。そのため、またツナ缶のためだけに勝浦まで足を運び、本缶を手に入れた。しかも今回は日帰り。 なお、兄弟...
-
投稿日 2019-08-28 13:17
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
希少な自社ブランド&ホワイトミートのツナ袋 三共食品は主にOEMでレトルトパウチ製品を作っている会社で、一般消費者がその名前を目にすることはほとんどない。このツナ袋も二十年ほど前から作られていたものの、大々的にアピールされるようになったのは最近のことだ。製品の出自は山梨罐詰のまぐろ油漬ソリッドとよく似ている。 ツナ缶との違いはパッケージや油の割合にあり、缶よりかさばらないパッケージで、油漬カテゴリながらツナ缶(70g)に換算したカロリーは163kcalまで抑えられている。これでいて液切りが要らず、あらゆる手間が軽減されている。なにより、ホワイトミート(ビンナガ)製品でパウチを採用する国産品は...
-
投稿日 2019-05-14 06:22
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
事実上セカンドグレードとなった無添加系ツナ缶 三洋食品が誇るエース・赤缶(No.69)のサポート役として一定の存在感を放つのが、この銀缶。油漬としては珍しく「無添加」を大々的に押し出し、魚介系のエキスで味を整えている。 原材料名などスペックに出てこない部分で差異があり、赤缶と違って魚体の小ささを指定していない。赤缶と銀缶で銀缶のほうが一回り安いのは、魚体の小さいビンナガが高騰して18年の暮れに値上げを敢行(銀缶は据え置き)したためで、元からセカンドグレードだったわけではない。 赤缶より多くの実店舗に置いてあり、直売所は勿論、静岡SAやJR清水駅前のマックスバリュエクスプレス辺りで常時置いてあ...
-
投稿日 2019-05-02 00:04
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
岐阜は踊り、静岡はツナ缶を作った 高いツナ缶のラインナップをスタンドプレーで埋め尽くしているモンマルシェ。十分な利ザヤさえあればプロモーション戦略に押せ押せできると身をもって証明した同社が「令和」にツナ缶をぶつけてきた。 平成末期現在の同社は看板製品たる鮪とろブラックレーベル(No.127)・鮪とろ(No.48)の二大フラグシップを長期バックオーダーで欠いていて、ためしに1000円のサバ缶を出してみるなどの小刻みな動きが多かったが、その一環で特別ラベルのツナ缶を提案したのである。 プレスリリースいわく、"新天皇が即位される5月1日に親戚や友人らと集まりに"使うらしい。 "新天皇が即位される...
-
投稿日 2019-03-14 08:23
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
見た目に反して入手困難なツナ缶 キョクヨーの名を聞いたことがある、見たことのある読者諸兄は多いと思う。店頭に並んでいるものはタイ産のものが大勢を占め、タイ産でない国内詰のライトツナ(No.39)を取り上げたが、その時寄せられた反響もまた「キョクヨーで国産品があるのか」という驚きの声だった。 いくつかツナ缶を出しているが悉くタイ産。キョクヨー自社通販のキョクヨーマルシェで取り寄せられる国産ツナ缶は前出ライトツナ国内詰のみ。ツナ缶多様性から取り残されている…… と私は思っていた。実際は違った。 今回取り上げる「ライトツナ カロリー1/2」は、ただ静かに、その青いフォルムを筆者に見せた。 出先で...
-
投稿日 2019-01-23 07:00
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
門外不出! 水産学校のツナ缶・沖縄編 沖縄本島の南端、糸満市にある沖縄水産高校のツナ缶。いわゆる「その学校の学生が、学校教育の一環で原材料漁獲からパッケージングまで行い、学園祭などでのみ直売する」水産校ツナ缶のひとつ。 水産校ツナ缶は性質上、入手難度はきわめて高く、本州でこのツナ缶の存在を知ることも、拝むこともできなかった。しかし、沖縄在住のフォロワー・亀野夕日氏から本品を寄贈いただいたことにより、ツナ缶ブログでのレビューが実現。 実は地元焼津水産高のツナ缶も入手できてなかったので、水産校ツナ缶一番乗りのレビューとなる。 沖水の実習船・海邦丸五世によって遠洋漁業を行った。もちろん船を操るの...
-
投稿日 2018-11-27 00:00
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
孤高の頂へ 高いツナ缶に定評のあるモンマルシェが2018年のいいツナの日合わせにリリースした、厳選したとろ肉をブラックレーベル・オリーブオイルに漬けたツナ缶。 モンマルシェの企業哲学「究極のツナ缶」を、何ら妥協せず体現し、ソフトとハードの両面で究極に達した結果、孤高の頂へ上りつめた。 思えば、1,296円・日本一高いツナ缶の座に立った鮪とろ(No.48)から、2年にわたり力をためていたのだ。今夏に同社のK氏から「鮪とろを超える鮪とろを作る」とアナウンスされ、その情報をこの日まで伏せつつ心待ちにしていた。 本稿を執筆したのは11月中旬だが、21日にプレスリリース・ティザーサイトが発表され、そこで...
-
投稿日 2018-10-10 07:30
ツナ缶レビュー zu-mix3.0
by
長井ずみ
創業85年の老舗が紡ぐ伝説のツナ缶 由比缶詰所のフラッグシップ、「炙りビントロ」。ツナ缶ブログの愛読者には説明不要のレジェンドだが、改めて一から解説する。 「入手性を無視して、長井さんが最高と思うツナ缶は何ですか?」への答え。 ビンナガの身を炙り、それを一つ一つ剥がし詰め、オリーブオイルに漬けたツナ缶。 そのグレードはツナ缶ブログの5.0点評価を覆す6.0点。炙ったビンナガの身を崩さずにはがして詰める職人技は、缶詰会社の求めた最高のツナ缶といえる。2013との相違点で、2016年からモンマルシェが1296円のツナ缶を出し始めたが、「かたまりのまま詰める技術」と「炙ったビンナガの身を崩さずにはが...