僕らにとって、サバニの3号艇の意味するものは大きい。 これまでの知りえた歴史、これまで蓄えた知識を全て表現したいからだ。 それを現実のものとできるサバニ職人は、高齢化が進み、形として残すためには少々時間が迫っている。 今日は、カヤックセンター代表の仲村(忠ぶらりん)氏と、サバニレースの最強チーム「海想」代表の森氏と共に伊江島の下門(しもじょう)さんの工房を訪ねた。
睡眠は3時間で終了した。 全身の筋肉がだるい。 発作的な咳も出る。 もう、睡眠薬や咳止めは使いたくない。 胃腸薬だけを飲む。ホテルのシングルルームに持ち込んだ、スモールホイールのMV3が、数時間前の出来事を誇らしげに語るように見えた。
自分の体がどういう状態かは解っている。 いわゆる筋肉痛はひどくはならないだろうけど、今夜は全身の筋肉が炎症を起こして痛むだろう。 ビタミンが破壊されるので、ビタミンや栄養ドリンクが必要だけれども、残念ながら胃腸が持ちそうにない。飲み放題・食べ放題の表彰式では何も食べずに、那覇まで帰ってきた。 明日は早朝から伊江島までサバニ大工のおじいを訪ねる事になった。 一度眠ってから、深夜に食事を取ろうと思っていたが、時間的に難しい。 まずはレンタカーの返却、パッキングの変更。 筋肉を補修するたんぱく質の食事をぶち込んで、Dickで寝酒を1杯。 全身の筋肉が発熱して、このタンカレーのボトルのように動きが悪い。
【ツールドおきなわ】 ゴール手前のビーチで休憩。 高橋君もすぐに追いついてきた。記念撮影タイム! ここから先はわずかなパレードでゴールだ!このビーチではしゃぎすぎたので、ゴールタイムは15:55だ。走行距離320km! サイクリングとは名ばかりの激闘の2日間。スモールホイールに跨る初心者が、ロードバイカーたちに一泡吹かせる計画は、僕が泡を吹いて終わった。いや、それでも勲章には違いない。 何が凄いって、僕が凄い! 練習は4回のみで、みごとに完走できたのだから。 気管支炎部門優勝にしてあげたい。
【ツールドおきなわ】 昼食が終了してのひとコマ。 TOPに程近い時間に昼食を取れたので、休憩時間はたっぷり。 しかし、走り続けた筋肉と食べ続けた胃が悲鳴を上げ始める。あと何時間かで全てが終わる。 そのくらいは大丈夫なはず。
【ツールドおきなわ】 モータースポーツの世界で、エンジンが非力な場合、前に出るにはどうしたらいいか? 空気抵抗の少ないボディ形状を得ることも重要だが、多くは腕に頼ることになる。 コーナリング手前のブレーキをぎりぎりまで我慢すれば、先にブレーキングした車両を抜き去ることができる。 コーナリングスピードを落とさないことも重要だ。 コースは信号のある都会に差し掛かりつつある。 公道、そう公道なら僕の領域だ。 小径タイヤの走行抵抗は、路肩のライン上を走ることにより軽減させる。 走行中は必ず先行車両のスリップストリームに入る。 下り坂は、体を前傾し空気抵抗を最小にする。制限速度を大幅に超えてもペダルの力を緩めない。 そして、次に来る上り坂を可能な限り惰性で登る。 信号のタイミングを計りながら、スピードコントロールし、赤に変わる前のダッシュ、青に変わった瞬間の無減速通過の確率を上げる。 そうすれば、正真正銘の先頭集団の仲間入りだ!もちろん、周囲の人たちの実力はぜんぜん違う。 我ながら、アホアホ作戦だ。
【ツールドおきなわ】 2日目は、西海岸の名護から南下し、その後東海岸の金武町へ抜け、うるま市、中城村などを南下して那覇に入り、那覇からは58号を北上して1日目スタートの名護市民会館へ戻る。7:00のスタートから23分が経過した。 山道が始まる。 このような混戦状態でも、脚力で優位な者は前に出ることができる。TOPライダー達は、上り坂が始まると、とたんに僕を置き去りにする。 TOP集団から脱落していく者達が、僕の数少ない獲物だ。
【ツールドおきなわ】 2日目のスタートが迫る。 法螺吹き男爵も高橋君も、気合充分! 空気圧やその他の確認をして、スタートを待つ。 北風は強く、昨日より肌寒い。僕はロングスリーブのブレスサーモを選択した。
【ツールドおきなわ】 TOPから遅れること17分。 喜瀬ビーチパレスに到着。 1日目の戦いが終わった。本日の走行距離は184km。 消費したエネルギーの補給と、筋肉の補修に必要なたんぱく質の補給が今夜の仕事だ。季節はずれのリゾートホテルのベランダからは、強風に波立つ海が見えた。この後、日が暮れても続々とゴールする勇者達が続く。