今までの流産のときを思い出してください。
妊娠がわかって喜びと同時に、
流産への恐怖心がありませんでしたか。
そんなとき、
わずかでも出血があれば、
頭が真っ白になりませんでしたか。
出血、すなわち流産。
当然、そのように連想されたことと思います。
そして、
たぶん、
絶対安静のように寝込んでしまいませんでしたか。
少し思い出しただけでも、
心が震えることと思います。
しかし、しかし、
本当は
妊娠反応陽性とわかってからの2週間以内の
出血なんか恐くありません。
恐くないんです。
なぜならば、
この時期において、
出血が主な原因で流産するという例は
ほとんどありません。
私の30年以上の経験から、
1%以下と思います。
あるとすれば、
先天性第13因子欠乏症という極々稀な例か、
巨大な絨毛膜下血腫等によるものです。
この時期の出血の主な原因は、
すでに流産となってしまったその結果による出血か、
下記で説明する
正 常 妊 娠 に 伴 う 生 理 現 象
による出血のどちらかです。
たとえば、
あなた自身にとって、
この時期の出血で、
最悪、
自然流産による結果としての出血となっても、
あなたの命が危険にさらさせることは
まずありません。
多くて生理の多い日の2~3倍ぐらいの量です。
ですから、
最悪な場合であっても、
あわてることなんかないんです。
他方、
その他のほとんどの場合においては、
この時期の出血は、
受精卵が子宮内に埋没するときに生じる着床出血か、
胎のうが大きくなっていくときに生じる
子宮内膜とのズレみたいなことによる出血と考えられてます。
つまり、
正 常 妊 娠 に 伴 う 生 理 現 象
なのです。
それなのに、
あなたが出血してあわててしまい、
ピリピリと緊張してしまったら、
その精神状態が
子宮内の赤ちゃんを
実は、
危険な状態にしてしまっているのです。
なぜならば、
過剰なストレスが、
子宮内のらせん動脈を細くしてしまい、
胎児への血流を低下させてしまうからです。
ですから、
妊娠して2週間以内の出血があっても、
正 常 妊 娠 に 伴 う 生 理 現 象
と信じて、
(信じきってしまうのです)
(それが赤ちゃんにとっていいからです)
いつもどおりの生活を送っていてください。
寝込むのは簡単です。
しかし、
寝込んでしまったら、
血流は悪くなるし、
熟睡できなくなるし、
かえって不安が増大するし、
いいことはないですよ。
赤ちゃんの生命力を信じて、
いつもどおりに過ごすということは、
本当に、なかなか難しいことです。
しかし、
それが一番いいと
私は思っています。
当院を受診される不育症患者さんの
4人に1人は38歳以上47歳以下の方であり、
5人に1人は体外受精・胚移植により妊娠されています。
精神的な危険因子を内在され、
不育症、着床障害の専門的なアドバイス、治療と、
特異的な精神療法を必要とされている方が
多くいらっしゃいます。
先日、
多くの困難を乗り越え、
やっと妊娠11週まで妊娠継続に成功し、
最後の超音波検査で
すくすく育った赤ちゃんを見て、
ついに感情を抑えきれず、
泣き崩れてしまった患者さんが
いらっしゃいました。
「ごめんね、
ごめんなさいね、
今まで育ててあげられなかった赤ちゃんたち。
もっと早くここへ来ていれば・・・。
ごめんね、
ごめんなさいね。」
私は、その言葉に
一瞬、戸惑い、驚いてしまいました。
そして、
ある言葉を思い出しました。
「死者に対する最高のたむけは
悲しみではなく、
感謝の心だ。」
という内容です。
そこで、
「
今までに亡くした赤ちゃんたち。
子宮の中だけのわずかな命であっても、
あなたの体のなかに来てくれたのです。
いろいろな運命を背負って、
精一杯生きてくれたと思います。
後悔するのではなく、
自分を責めるのではなく、
悲しみ続けるのではなく、
やっぱり、
感謝してあげてください。
その心が、
供養になり、
今回の赤ちゃんへの
より深い愛情につながると思います。
」
という内容をお話させていただきました。
現在、いろいろな相談メールを
1日2~3通ぐらい受けています。
2001年9月より初めてから、
約10年になろうとしています。
私は、メールを通じて、
いろいろな人生の考え方を
患者さんから教えていただきました。
私もいろいろと欠点のある弱い人間ですから。
人間とは弱いものですね。
自分の事として、
辛いことが起こったとき、
今までの自分がすべて無くなってしまったような
情けない気分になるものです。
外の社会が怖くて、
人が怖くて、
ひきこもってしまうことでしょう。
ある患者さんは、
そんなとき
キレイな景色を見に行くそうです。
少し気分が良くなってきたら、
「勇 気」 を出して、
公園に行き、
ひなたぼっこ
するそうです。
自分にやさしくなれれば、
「赤ちゃんをきっと抱きしめることができますよ」。
「希 望」 を持ち続けていれば、
大 丈 夫 で す。
今日、さわやかな朝に
道端に咲く小さな紫の花を見つけました。
小さいけれど リ ン として
キ レ イ でした。
人間以外の生物は、
きっと、
明日のこと、
これからのことを
心配することはないんでしょうね。
今日を精一杯生きる。
今日、何かをする。
人間も同じ生物の一員として、
それでいいようにも思います。
そう思うと、
何か心が安らぎます。
花の命は短いものです。
生きている今が
幸せなのかもしれません。
あんなに育ちますようにと
願ったのに
祈ったのに、
逝ってしまいました。
実母は前向きにと励ましてくれますが、
それも辛く、
喪失感と無力感と脱力感でいっぱいな私には、
無情に感じます。
同じ女性なのに、
おもいっきり泣かせてくれません。
こんなにも私は弱かったんだろうか。
今まで辛いことや苦しいことには、
自分なりに力を尽くし乗り越えてきたのに、
もがいても
もがいても
苦しみしか感じません。
旦那さんも
ふさぎがちな私に前を見ようとしか言いません。
子供は持ちたいですが、
今度の妊娠するのが怖いです。
妊娠中も
不安で
緊張で
身体がこわばってしまいます。
梅雨の季節の雨上がり、
朝日に光る小さな花々。
命の美しさを実感。
本当に キ レ イ 。
いつも何かにおびえてる。
いつも何かを心配している。
気分が時々ふさぎこむ。
そんなとき、
6月の花に触れてみて。
シルキータッチで、
生きたやさしさを感じます。
できれば、
小さなお花を
育ててみませんか。
土に触れ、
花を育てることが、
あなたの心を
少しだけ
癒してくれますよ。
2011年4月、
妊娠38週で元気な赤ちゃんが誕生しました。
その後も、母児ともに順調です。
出産された方は、
40歳代であり、
九州の有名な体外受精専門クリニックでの治療も含めて、
過去に20回の胚移植を経験されていました。
そのうちの17回は着床に失敗し、
3回は初期流産という結果でした。
21回目の胚移植前に、
当院を受診され、
着床障害の原因をみつけるため、
身体的な面と
精神的な面の両面において
検査を受けられました。
その結果、
生殖促進反応としてのM-CSF値が異常に低く、
抗リン脂質抗体が軽度陽性であり、
さらに、
精神面においては、
長年の心労により、
自己統御力が弱っていました。
想定外の出来事に対して、
心の受け入れ度が乏しくなってきていたのです。
そこで当院では、
移植前からの支持的精神療法
を中心として、
ピシバニール免疫療法、
ヘパリン・アスピリン療法を行いました。
当院での治療の核心部分は、
ご本人への心の気配りと、
精神的な安定がいかに大切かを
わかっていただき、
移植前からの心の不安を、
いっしょに克服していくことでした。
ご本人が、
今までの亡くした赤ちゃんといっしょに、
新しい赤ちゃんを誕生させるため、
心を開き、
怖いものは怖い、
でも、
新しい命の力を信じて、
すべてを受け入れられるよう、
支えになることでした。
今回、
ご本人の不安の克服と
信じる心が、
21回目の奇跡を生んだのでは
と
思っています。
本当に、ご夫婦で、
よく頑張られました。
心からおめでとうございます。
今のままでいいのかな。
自分が本当に納得できているのかな。
ちょっとおかしくないのかな。
人はいろいろな場面で、
よく迷います。
私はこのような時、
自分の感性を信じます。
どんな権威のある人の意見より、
どんな評判のいい人の意見より、
最終的には、
自分で考え、
自分の思うことを信じます。
過剰な不安と心配でいっぱいのとき、
目をつむり、座禅を組み、
ゆっくり呼吸して、
自分の感性を研ぎ澄ましてください。
自分という人間を信じて。
後悔しないために。
でも、でも、
みんなと違う立場、
みんなと違う環境
に居るときは、何か不安ですよね。
あたかも、
集団から外れた羊にように。
自分ひとりでは、
押しつぶされてしまうかもしれません。
仲間をみつけてください。
同じような環境の人と、
同じような考えを共有したとき、
あなたは、きっと、
もっと強くなります。
傷ついたもの同士の結束は
強いものですよ。
私は5月が一番好きです。
5月の風が好きです。
やわらかく、
甘い香りを感じます。
今日は何かいいことがありそうな、
そんな気持ちにしてくれます。
ぽかぽか陽気の昼下がり、
公園のベンチでひと休み。
至福の時間です。
ときどき、
今まで忘れていた
楽しい記憶がよみがえってきます。
ひとりでニヤニヤ。
人生、
楽しいこともけっこうありますよね。
妊娠反応がでた瞬間から
不安と緊張と恐怖の嵐の中にいませんでしたか。
もがくように、とりつかれたように、
情報収集に走り、
今が良いのか悪いのか
自己判断しようとしていませんでしたか。
妊娠初期のときは、
自分が解説者、分析医になっては
だめです。
たとえ、情報収集により、得ることがあっても、
神経系がピリピリした状態になってしまえば、
それ以上に危険だからです。
神経系がピリピリしていれば、
子宮内のラセン動脈、毛細血管が収縮してしまいます。
そうなれば、
子宮内の胎児細胞が低酸素状態になってしまうのです。
妊娠初期はまな板の鯉がいいんですよ。
妊娠初期は
じたばたせずに、
そのときの環境に身を任せたほうが良いと思います。
出血があってもあわてない。
お腹がちくちくしてもあわてない。
赤ちゃんの生命力を信じて、
ゆったりと。
できそうもなければ、
何か感動できそうな映画のビデオを見てください。
たとえば、
宮崎駿のアニメとか。
ロマンチックコメディー物とか。
心にあったかいものが残れば、
それは、
妊娠初期の赤ちゃんに
十分な栄養を届けられますよ。
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