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- 132. マタニティー・ブルーではなく、プレグナンシー・ブルー
お産を終えた母親が、
わけもなく涙もろくなったり、
ゆううつな気分になったりすることを、
俗に、
マタニティー・ブルーと呼んでいます。
ご存知ですよね。
私が尊敬している
前・熊本大学精神科教授の北村先生らによる
ベビー・ブルーズ・プロジェクトという研究の結果では、
いわゆるマタニティー・ブルーに相当する方が
約9%存在していたということです。
ここで肝心なことですが、
同研究結果で興味深いことに、
妊娠初期の時点で
新しく精神障害を呈していると診断された妊婦さんが
約11%存在していたということでした。
その精神障害とは、
抑うつ、不安といった気分障害のことです。
この診断は、
専門的な精神科医が面接によって行ったものであり、
信頼性は高いと判断されます。
精神障害と診断された妊婦さんは、
ひとつには、
過去に人工妊娠中絶、自然流産、異常分娩などの
経験が多いからではないかと考察されています。
「 妊 娠 初 期 の 精 神 障 害 」
これって、
プレグナンシー・ブルー
というような造語で、
私は考えており、
不育症や、着床障害の方に
多いと感じています。
一日でも早く妊娠したい。
でも、
いざ妊娠したら、
恐い。
「 妊 娠 恐 怖 症 」
とも考えられます。
この心の葛藤を十分くみ取ってあげて、
心のケアーもすることが、
すなわち、
不育症、着床障害の治療の
基本と考え、
日々の診療にあたっています。
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