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jazzと煙と珈琲 vol 1

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白く燻る煙草と琥珀色の白熱灯を背に浮かび上がるひとつの黒いシルエット。
上まぶたと下まぶたの境界線が無くなる程顔をくしゃくしゃにして笑うベーシストのMさんが深く椅子に腰掛け、水を得た魚のようにjazz論を語ってくれた。


「jazzは好きだけれどピアノを辞めてもう10年も経つし、コード進行は覚えてないわ、アドリブも弾けないわの三拍子なんです」と自嘲気味に言った私の台詞に


「コードなんて簡単だよ!
ピアノだったら左手で和音を押さえて、右手で音階を弾くの。Cで言えば、C7,CM7,Cm7って基本があるでしょう?
C7はド、ミ、ソ、シ♭。
CM7はド、ミ、ソ、シ。
Cm7はド、ミ♭、ソ、シ♭。
これを一気に覚えようとすると大変だけど、一日1個!今日はC7、明日はCm7ってやってけば体で覚えちゃうもの。コードが分かればjazzは出来るの!」
とMさん。


彼は14歳でjazzに興味を持ち若くしてその道のプロになった。10代の頃jazz喫茶の店長をしていた彼は料理から演奏までこなしていたと言う。弾く真似だけで良いからliveに出てくれ、と人に頼まれ初めて舞台に立ったときはいっぱしのミュージシャンを演じたそうだ。回を重ねるごとに「演技をするだけじゃツマラナイ!」と感じた彼は試しにビンと弦を爪弾いた。音が鳴っているかどうかなんて、賑やかなjazz演奏の中で気付く者は誰一人いない。味をしめた彼は演技ではなく少しずつ音を出し、気付いたらコードも弾けるようになっていた。



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私をしあわせにする料理

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papaとmamanが毎日作ってくれる手料理がもう最高に美味しくて、これを食べられただけでパリに来た甲斐があったというもの。

「パパ、なんて美味しいの✨✨✨レストランみたい」
と舌鼓を打った。

星付きレストランで出されるような煌びやかな、作られた作品とは違い愛を感じる。ある日ふとキッチンへ行くとパパが料理本を見ながらバターをさいの目切りにし、フォークで一つひとつ丁寧に耐熱皿の上に乗せている場面に遭遇した。私はフランス人に対し「大雑把で適当な人種」と今まで間違ったラベルを貼り付けていた事に気付き、そっとラベルを剥ぎ取った。

パパの料理を褒めちぎったのが嬉しかったのか「シノブはいつも僕の料理を食べてセ デリシューしか言わないんだよ。まるでレストランみたいだってさ!ハッハッハ、参ったなぁ」と会う人あうひとに必ずこの話をした。満更でもなかったのかな!

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使えなくなった切符

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使えなくなった切符
日本から遊びに来た義兄のお母さんにパリ案内をしようと私は張り切っていた。

ほの暗く黴た匂いのする地下鉄の階段を急ぎ足で登り、行き交う人々の流れに沿うように改札口へ進んだ。幸か不幸か、お母さんは私がフランス語が達者だと素敵な勘違いをしてくれている。得意げにパリのよもやま話をしていると、お母さんが改札の手前で急に立ち止まってしまった。切符の出し入れを間違えたらしく、外へ出られなくなったのだ。

インフォメーションでこの事を説明すればいいわよ、と突っ走ってゆくお母さん。外国語が出来ない彼女に代わって私がフランス語で説明しなければいけない、と思っていたのに切符をひらひらさせたお母さんは
「あのね、これ改札通そうとしたんだけど、間違って使えなくなっちゃったの〜。新しい切符と交換してくれる?」と窓口の女性に日本語で話し掛けている。

「Ok !」軽く肩をすくめながら女性は思いのほか簡単に新しい切符を差し出してくれた。あぁ、なんてシンプルなの!フランス語が上手に話せなくて悩んでいた私に最高の答えを教えてくれたお母さん。

いざとなったら日本語で当たって砕けろ、という癖がついたのはこれがキッカケなのでございます。

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Le Mont-Saint-Michel vol 3

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後から代わりの運転手が愛想良く乗り込んできた。これで一安心!

このアクシデントを私は楽しんでいたが、苦々しく思っている日本人客がいた。
「到着予定時刻はもうとっくに過ぎてますよね?Parisに到着したらイタリアに行く予定があるんですよ。おたく責任取れるんですか!」と添乗員さんに噛み付いている。ここはフランス、日本の手厚いサービスとは違うのだ。

遅れたからこそ出会えるモノ、ヒト、場所、予定通りにいかなくて良かった事は世の中に山ほどある。死にゃあしないんだから楽しみましょう✨





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Le Mont-Saint-Michel vol 2

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モンサンミシェルで置き去りにされたお客さん約1名。バスは無残にも出発してしまい、一路Parisへ向かう。あぁ、お気の毒に。

その日はキリスト降臨祭で道路は大渋滞を引き起こしていた。
「運転手はさっきから奥さんと電話ばかりしてますねぇ。あら、まずい事になったわ。このペースでParisへ帰ると彼はオーバーワークになると言い出しています。フランスは一日7時間までしか働けないと決まっていますからね。」と添乗員さんが教えてくれた。

まぁそれは分かるけれど、一体どうするんだろうと私は行く末を見守った。運転手は怒りながら会社と電話のやり取りをし、決着がついたようだ。権利を主張するのは当然だと言わんばかりの顔でバスを脇へ止め「じゃあね、皆。バ〜イ」と1人だけ運転の途中で降りていってしまった。参った!さすがフランス人。




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Le Mont-Saint-Michel vol 1

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とっぺん先に大天使ミシェルがい... とっぺん先に大天使ミシェルがいる

















地平線の先に浮かび上がる修道院、モンサンミシェル。

多くの観光客は名物の巨大オムレツや土産物屋を楽しげに眺めているが、私は目もくれず先へさきへ一直線に進んでいる。今回はツアーで来ているため余計なものを見ている暇はないのだ。

美しい大天使ミシェルに魅入っていると、混じりっ気のないビードロのような女性の歌声が遠くのほうから聴こえてきた。ミサだ。階下の喧騒とは打って変わって空気が澄んでいる。天井の格子窓から差し込む清らかな陽の光を感じながら、時が許すまで心静かに過ごした。無宗教だが私は教会や神社仏閣で過ごす時間が大好きなのだ。

見たいものも見れ、ツアーの集合時間も迫ってきたので駐車場で待っている観光バスに乗り込んだ。出発時間になったがどうやらツアー客が1人戻ってこないらしく添乗員さんが困っていた。行きと帰りで集合場所が違ったので恐らく迷っているのだろう。日本人の感覚としては「主催側はツアー客が全員揃うまで待つ」「迷子者は探す」のが当然。しかし時間になり呆気なくバスは出発してしまった!なんてこった








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色にまつわるイロイロ

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皆様は「黒色」に対してどのようなイメージをお持ちでいらっしゃいますか。黒がお好きな方、割といらっしゃると思うのですが、つい最近まで私のクローゼットには1枚も黒い洋服が入っておりませんでした。本当に1枚も。その理由を私と一緒に少しだけ紐解いて参りましょう。

黒は昔から身を守るための入墨、平安時代に公家たちの間で流行ったお歯黒、武士の鎧に塗りこめられた漆黒など様々な場面で登場し、人々は染料や顔料を使い黒を表現しておりました。
現代は絵の具ひとつで簡単に色を出せる時代になりましたね。パレットに色の三原色と言われるシアン、マゼンタ、イエローの絵の具を出して混ぜ合わせてみて下さい、何色が出来ると思われますか。皆様経験済みなのでもうお分かりですよね。そう、黒(厳密に言うと真っ黒ではない)です。絵の具の場合、混ぜれば混ぜる程に色が濁るという仕組みですね。

「色の秘密」(野村順一 著)という本で黒にまつわるこのような面白い話がありました。

①熟していない緑のトマトを採り、それぞれに白い布、赤い布、黒い布を被せ日光の当たる場所に置く
②つるに残った他の緑のトマトが熟した頃、布を剥がす。
さて、このトマトはどうなっていたと思いますか?
白い布を被せたトマトは弦のトマト同様に完熟しており、赤い布のトマトは発酵する程に熟し、黒い布のトマトは熟さずシワシワにしぼむという実験結果が出たそうです。「白」は生命体が必要とする光・波長を透過する力があり、「赤」は刺激の強い650nmの波長をよく通す力を持ち、「黒」は光を全て吸収する力が証明されました。
黒はクールで神秘的で強いイメージもあるのですが、闇や死をも連想させます。都心では黒づくめの格好をしている人をよく見掛けますが、このトマトのようにならないとも限りませんね!黒い下着は官能的だと言われますが、果たしてそうでしょうか。私は生を感じる赤のほうがより素敵だと思うのですが。もし黒を身に付ける場合は力を相殺する赤や金、白と組み合わせるか、ひかる素材を選ぶなどバランスをとれば問題ないでしょう。







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キャフェ

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キャフェ
古い町屋が並ぶ界隈に創業140年の老舗キャフェがある。

常々行きたいと思っていたその建物にようやく足を踏み入れた。着物姿のハイカラ娘が居そうなちょっと古めかしい雰囲気である。仕事の途中で立ち寄ったのだが、一人になれホッと心が落ち着く。ビーフカレーを注文したところ「時間が掛かる」と学生服の香りがまだ残っている男性スタッフから告げられたので、席を離れ調度品などを一通り見てみることにした。テーブルの上に無造作に置かれたスケッチブックを何気なく見ると村上春樹氏のサインが書いてあるではないか!
彼の湿り気のある作品を以前はよく好んで見たものだ。顔はタイプではないが、教養もあるし、声が渋くてイイ。春樹氏はどのテーブルに腰掛け何を想ったであろうか。願わくば私と同じ席でありますように!











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お伽噺の町ブルージュ

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ブロンズではなく人間... ブロンズではなく人間









お伽噺に出てきそうな可愛らしいブルージュの町におばあちゃまがやっている小さなチョコレート屋さんがある。小さな玄関扉を開け、地下へ続く階段を降りると、小柄で優しい眼差しのおばあちゃまがお出迎えしてくれた。
一緒に居た私の姉はおばあちゃまとお話をしている。なにやら私について話しているようだ。

「あなた、Parisから来た日本人でしょう?」とおばあちゃまは私に言った。
何も話してないのにどうして分かったんだろう。
ここはお伽噺の国で、おばあちゃまは魔法使いなのかしら。不思議な話が大好きな私はしばし空想に浸っていた。よくよく話してみると昔、Parisに住んでいた私にそっくりな日本人が時々このチョコレート屋さんへ遊びにきていたそうだ。なぁ〜んだ。

私に似てる人、結構多いみたい。よく人から「○○で見掛けたよ!」と言われるがそれは私ではございません!





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スィルヴプレ

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初めてのベルギー旅行。
予想外に寒かったので私はタイツを買うことにした。レジで支払いを済ませ商品を受け取る際、お店の方が
「スィルヴプレ」と言いながらタイツを渡してくれた。

なぜこのタイミングでスィルヴプレ??
フランスでは、自分が何か人にお願いをしたい時に使う言葉と認識している私は少し戸惑った(買い物中、店員は使わない)。これは間違いかと思ったが、他のお店でも同じ事を言われた。

この小さな謎を解きたくてフランス人やフランス在住の方何人かに聞いてみたがこれといった答えは得られなかった。この理由をご存知の方、ぜひとも私に教えて下さい、スィルヴプレ!



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