“I H-5秋の摩耶蘭を観ながら”《襍観・/・点描‘16-65》

マヤラン(摩耶蘭) ラン科(Orchidaceae)
学名:Cymbidium macrorhizon (C.nipponicum)

遠目に見ると踊っているように見えるが、近寄って見ると唄ってる様だ!!



図:(a)ツチアケビ植物体(花期)、(b)ツチアケビ植物体(結実期)、
(c)ツチアケビ花茎につかまるウグイス、(d)ツチアケビ果実を摂食するヒヨドリ、
(e)ヒヨドリに摂食されたツチアケビ果実、(f)ツチアケビ果実の切片、
(g)ヒヨドリ糞中のツチアケビ種子、
(h)ツチアケビ種子の切片(リグニン化した種皮がサフラニンで赤く染色されている)


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
マヤラン(摩耶蘭)
今年も初夏に1回め、そして二回目の花茎が林床に観えた。
定点觀察している場所からかなり広がりも見せはじめている。
腐生植物を探し求め追いかけあたりを注意深く探してみると!!
生態(形態)観察すると、湿度高い林床に生え、菌に依存してるとわかる。
(菌従属栄養植物=光合成能力を失い、菌根菌や腐朽菌から養分を取る植物)

植物の多様性に関しての研究(筑波実験植物園遊川知久博士)
§共生菌からみたマヤランの不思議な暮らし§
以下博士の論考紹介文;ランと共生する菌の研究から。
植物は葉で光合成を行ってデンプンを作り、それによって生きるためのエネル
ギーを得ています。けれども葉のないマヤランは、光合成できません。どうやっ
て生きているのでしょうか?マヤランの地下茎を切って見ると、写真3のように
細胞の中にたくさんの菌がいることが分かります。自力でデンプンを作り、水を
吸収する代わりに、共生する菌から栄養と水をもらって大きくなります。
根も葉もなくてどうやって生きているのだろう
マヤランの共生菌は一体どんな菌なのか気になります。
あちこちのマヤランの自生地から地下茎を採集し、共生菌の DNA を調べました。
その結果、マヤランの共生菌は、担子菌のベニタケ科(Russulaceae)、
イボタケ科(Thelephoraceae)、シロキクラゲ科(Sebacinaceae)
であることがわかりました。平たく言えばキノコの仲間です。
これらのキノコは特定の種類の樹木の根としか共生しないため、共生関係にある
木の種類が生えていなければ死んでしまいます。3者の関係を整理すると、
「マヤランは、ベニタケ科などのキノコなしでは生きていけない」、
「ベニタケ科などのキノコは、特定の種類の木なしでは生きていけない」
ということです。つまり「マヤランは、特定の種類の木なしでは生きていけない」
ということでもあります。では、マヤランの命を支えている木はどんな種類でしょう?
これは今から調べるテーマです。
マヤランは絶滅のおそれのある種です。マヤランを絶滅から救うためにも、マヤランと共生菌、
さらには周囲の樹木の関係を詳しく理解する必要があるのです。
詳しい内容にご興味のある方は、『国立科学博物館ニュース』第 458 号の 26~29 ページを。
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いつもさらっと通っていた場所だが、何か気になって奥に踏み入った。
奥に入る前に路の側面に幾本もの枯れ・・しおれたマヤランの茎をみて想像した。
此の周辺の環境からすると、風による種の飛散はむずかしい様におもえる、種の運搬者は?と。
昨年、以下の記事を拝したことを思い出して。

※   ※   ※ 
光合成をやめたラン科植物ツチアケビにおける鳥による種子散布
-動物に種子散布を託す初めてのラン科植物の発見-
2015年05月12日
末次健司 白眉センター特定助教、川北篤 生態学研究センター准教授、
加藤真 人間・環境学研究科教授による研究グループは、
埃種子とよばれる非常に微細な種子を持ち、
風による種子の散布を行うと考えられてきたラン科植物において、
初めて動物による種子散布を発見しました。
本研究成果は、日本時間2015年5月5日午後7時(英国時間2015年5月5日午前11時)、
英国科学誌「Nature Plants」に掲載されました。
研究者からのコメント;末次特定助教
植物といえば光合成を行い、自ら炭素化合物を生産する独立栄養生物として知られていますが、
中には光合成をやめて地中の菌類から全養分を略奪するという特異な進化を遂げた、
菌従属栄養植物と呼ばれるものが存在します。
光合成をやめることにより、
これらの植物は、植物が通常生育できないような暗い林床でも生育できるようになりましが、
暗く風通しの悪い林床は、風による種子散布に適していないと考えられます。
そのような環境で確実に種子散布を行うため、ツチアケビは液果をつけ、
鳥に種子散布を託すという進化を遂げたと考えられます。

ラン科植物は一般に、葉を展開するまでの間、
菌根菌とよばれる地中の菌からの養分供給がなければ成長することができないため、
無数の微細な種子を風に飛ばすことで菌根菌と遭遇できる確率を高めているというのが定説でした。
しかしツチアケビは、菌根菌への寄生を一生涯に延長し、風通しの悪い林床に進出することで、
逆に風散布を喪失し、動物散布を再獲得したと考えられます。
このように、植物が光合成をやめるという進化は、単なる機能の喪失ではなく、
一見関係ないと思われる種子散布様式の変化まで促す可能性が示唆されました。
今後も菌従属栄養植物の分類学的、生態学的研究を行うことで、
植物が「光合成をやめる」という究極の選択をした過程で起こった変化を、
一つでも多く明らかにしたいと考えています。
概要
ラン科植物は、そのすべての種が、葉を展開するまでの間、
菌根菌とよばれる菌類からの養分供給に依存して生育しています。
発芽直後に菌に寄生するという特徴のため、ラン科植物の種子は胚乳などの養分を保持しておらず、
その微細さから埃種子とも呼ばれます。
ラン科植物は埃種子を大量に生産し、それらを風に乗せて散布させることで、
生存に必要な菌根菌と出会う確率を高めていると考えられてきました。

一方ラン科では、実生が菌に寄生するという特徴が前適応となり、およそ200種が一生涯に渡り、
菌から得て生育することで、完全に光合成をやめるという進化を遂げています。
完全に光合成をやめてしまったツチアケビのようなラン科植物は、光合成を行う必要がないため、
競争相手となる光合成を行う植物が生育できない非常に暗い林床に生育していますが、
暗く風通しの悪い林床は、風による種子散布に適していないと考えられます。
例えばラン科以外の単子葉植物では、液果をつけて動物に種子散布を託す進化が21回起こっていますが、
そのうち19回が林床への進出と関係があることがわかっています。
また動物による種子散布様式を獲得した単子葉植物のうち、
11回は再び風など動物によらない種子散布様式を再獲得していますが、
このうち8回は林床から日向への進出と関連があることがわかっています。
事実、葉緑素を持たないラン科植物の中には、液果をつけるものが存在し、
被食動物散布の可能性が指摘されていましたが、これまで証明された例は皆無でした。
そこで本研究グループは、暗い森林に生育し、鮮やかな赤色の液果をつけるツチアケビに注目し、
その種子散布様式を明らかにしました。
その結果、ツチアケビの果実は、ヒヨドリ、シロハラなど 4種の鳥によって消費されていることがわかりました。
さらに、このうち最も主要な摂食者であったヒヨドリの糞を調べたところ、
ツチアケビの種子は鳥の消化管内で損傷を受けず発芽能力を保っていることがわかりました。
 これらの結果より、ツチアケビは、鳥に種子散布を託していることが明らかとなりました。
ラン科は被子植物において最も種数の多い科ですが、
今回の発見は、世界でも初めてのラン科植物における動物による種子散布の報告となります。
(上、2番目の画像参照)

詳しい研究内容について;
光合成をやめたラン科植物ツチアケビにおける鳥による種子散布
-動物に種子散布を託す初めてのラン科植物の発見-
書誌情報
[DOI] http://dx.doi.org/10.1038/nplants.2015.52
[KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/197830
Kenji Suetsugu, Atsushi Kawakita & Makoto Kato
"Avian seed dispersal in a mycoheterotrophic orchid Cyrtosia septentrionalis"
Nature Plants 1, Article number: 15052 Published online 05 May 2015
<用語解説>
菌従属栄養植物;
光合成能力を失い、菌根菌や腐朽菌から養分を奪うようになった植物のこと。ツツジ科、
ヒメハギ科、リンドウ科、ヒナノシャクジョウ科、コルシア科、ユリ科、ラン科、サクラ
イソウ科、ホンゴウソウ科などが該当し、これまで日本からは約 50 種が報告されている。
ツチアケビ
ラン科ツチアケビ属に属し、暗い林床に生息する菌従属栄養植物の一種。
葉はなく、秋に赤いウインナーソーセージのような液果をつける。
液果
多肉果、湿果ともいい、多肉化した果皮が成熟後も水分を多く持つ果実。トマト、モモ、
ミカンなどがこれに相当する。
被食動物散布;
動物が食べることによって種子が運ばれ、糞と共に排出される散布方式。
動物に対する報酬として、液果をつけるものが多い。
※   ※   ※


「大和市泉の森2016/10/10」


#ブログ #植物 #花

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