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Forest Aesthetics 森林美学 狐鍚杖

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               ...                                           © Daisuke Kawai




光合成をしない
つまり早い話,自分では稼がない
日々の暮らしの糧は他者依存
自身はただ繁殖のことだけ考えている

そういう花がいたっていい
いたっていいが
それが真白で
はかなげで
どこか浮世ばなれしているような
そういうものなら納得もいく

しかしどうだ
このけばけばしいほどの妖しさときたらどうだ

この花と森の底で向かいあっていると
なんだかそわそわと落ち着かない気持になってくる

この圧倒的なあやしさはなんだ

この花もまた菌従属栄養植物といって
養分のすべてを地下で共生する菌に依存している

この妖しい花のあとに垂下する果実が
鮮やかな朱色をした楕円の多肉であるものだから
そいつが縁もゆかりもない木通(アケビ)の実に
なんだかよく似ていているものだから
木通草などという通り名がついているのであるが

にょきりとした全体を
錫杖(しゃくじょう)に見立てたものか
そのあやかしな様子から「狐の錫杖」などという
そんな名前もあるという

ふむ,そちらの方が
花季のこの存在を表すにはぴったりだ

凝視しているとそわそわしてくるのは
狐にタブラカサレルあの感じが湧き起こるからか

森にはいろいろなものが棲んでいる
森はいろいろなものを棲まわせている
森の底にはいろいろなものが蠢いている







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Forest Aesthetics 森林美学 魚鱗草,銀鱗草

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               ...                                           © Daisuke Kawai




銀龍草には
魚鱗草とか銀鱗草という別称もあるらしい

水晶蘭,幽霊茸だけではなかったのだね

魚の鱗
さもありなん
だが

銀の鱗
さもありなん
だが

構造をよく観ている発想だと
感心もするが
だが

全体の雰囲気というものからすると
やはり銀の龍,幽霊の茸,水晶の蘭だろうか

そしてこういう名称にふさわしい生え方というのがある
わさわさ群生しているより
森の底でひとつきり
ひっそりとたたずむ立ち姿がいい

そしてこういう植物は
森の中でふいに出逢うというのがいい

あ、いたの
という感じ

こんなところにも?
という感じ

それがいい

ちょくちょく見かけはするけれど
気に入った写真はなかなか撮れない

そういうところも
よかったりなんかする










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Forest Aesthetics 森林美学 水晶蘭

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               ...                                           © Daisuke Kawai




かたまって
にょきにょき生えれば
おばけチックな銀龍草
別名・幽霊茸もさもありなん

ちらほらと
はじめのうちはういういしい
これならば
水晶蘭という別名もさもありなん

暗い森の底で
白装束はよく目立つ
蟲を呼ぶためといわれるその白は
しかし人の目もまたよく引く

いろいろな名を持つということは
それだけいろいろな人にいろいろなことを
喚起させてきたのだろうな








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Forest Aesthetics 森林美学 銀龍草

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               ...                                           © Daisuke Kawai




うすきみわるい
という表現はしっくりこない
妖しい,とするのが
もっともぴったりなこの花を
私はとてもとても愛している

このキノコみたいな花は
どうしてかくも妖しいのか
なんといっても,その白装束にある
なんとはいえ,その青い一ツ目にある

鎌首をもたげた銀の龍
よくぞそのような名を与えたものと感心するが
下からのぞきこめば
かの蛍袋と同じく妖怪である
ただしこちらの瞳はおおきいので
ぎょろりと睨まれる感がより強い

妖しい白装束の白装束たるゆえんは
彼女たちが「自ら稼ぐ」ということをしないからである

光合成という仕事をハナから放擲するのなら
なにもわざわざ緑の衣服をまとうことはないのである

彼女たちはいうならば森の囲い者
もしくは居候なのであって
働かなくったって決して食べていくには困らない
寛大な大家さえ,ちゃんと永らえてくれさえすれば
足下の菌類とのつきあいさえ,ちゃんとうまくいきさえすれば

わさわさと,こんなにもたくさん株立ちしている
ここの大家は相当の太ッ腹なのか

案外とこの白装束たちの妖しさにまいってしまって
毎夏の登場を心待ちにしているのかもしれない












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Forest Aesthetics 森林美学 若い枝葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai




面白いことに
大木の若葉が
なにも枝先だけに繁るということはないのであって
こんなところで葉を開いても
ろくすっぽ光もあたらないだろうというような
やたら太っちょな幹の下方に
ふいと若葉が萌えることがある
ふつうならばこれがそのまま育つということもないのだろうが
実はこの大木が病に罹っていて
もうすぐ途中から幹折れしたらどうなるのだろう
あるいは明日の夜に雷が落ちて
上半分が消失したとしたらどうなるのだろう
不測の事態というものを
大木は常に憂いているのか
あるいは
大木の意思に反するはねっかえりの若枝が
あやふやな可能性だけを信じてはじけただけのことなのか








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Forest Aesthetics 森林美学 河鹿の仔

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               ...                                           © Daisuke Kawai



生まれてまだ日の浅い幼い蛙が
苔の森をかきわけながら
何処へ向かおうとしているのか
せっせせっせとあゆんでいる

これは河鹿のこどもである
すぐそこの渓流で生まれて
いまは湿った森の底
苔の森に守られて暮らしている













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Forest Aesthetics 森林美学 蒼光

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               ...                                           © Daisuke Kawai




蕭々とした雨の降る午後
森の底にはほんのわずかな
ぼんやりとした光しかとどかない
苔むした巨大な倒木から
ひょろりと背を伸ばした
背高のっぽなきのこが
ふるふるふるえる微細なしずくを身にまとい
蒼い光を妖しくはらんでいた
きのこ自身が発光しているかのようだった
それは分解者としての矜持であるようにも思えた








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Forest Aesthetics 森林美学 森の主

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               ...                                           © Daisuke Kawai




がさり,ごそり
森の底を静かに踏みしめる音がする

はっとして顔を上げると
森のヌシがゆっくりと去っていく後姿があった

供物の前に呆然とたたずむ
こちらを見ていたのだろうか
気配にまるで気づかなかった

(あ)

声にならない声が聞こえたのか
鷹揚に振り向いたヌシは長老の風格だった











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Forest Aesthetics 森林美学 頭骨

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森の底で羚羊の骸を見つけた
白蝋のような骨だけになっていた

四肢は既に見当たらず
森のけものたちが
思い思いに持ち去ったものと思われる

頭骨だけが,まるでお供えのように
ぽつんと残されていた

遺されたわずかな毛が
うすぎたない老婆の髪のようにも見える
窪んだ眼窩が
なにやら恨みがましいものに思えてくる
居並んだ歯が
生への執着を引き摺っているようで忌々しい
体液のなごりをしきりと舐め取っている
蠅の姿が鬱陶しい

骸は不快だ
おぞましい
もはや腐臭こそ薄らいではいるが
見ているとどうしてか,次第に腹が立ってくる
しかし不快なる聖というものもあるのだ

なにゆえに古人は
頭骨を神前に供えたのか

土に還る
森に還る

そんな上澄みの言葉だけでは決して御しきれない
この猛烈な腹立たしさはなんだ

体液のなごりをしきりと舐め取っている
蠅の姿が鬱陶しい
しかし不快なる聖というものも
やはり明らかにあるのだ









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Forest Aesthetics 森林美学 葬送花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



とっても愛らしい可憐な花だったのだが
どこか憂鬱な供花のように見えてしまう

葬送に花を供する
人間的な,あまりニンゲン的な発想かと思っていたが
屍の上に咲いた紅い花は
案外とそうでもないことを物語っているようだった






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Forest Aesthetics 森林美学 胡蝶花

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               ...                                           © Daisuke Kawai



胡蝶花は
そのままただながめているだけでも
じゅうぶんに美しいのだけれど
目を近づければ近づけるほど
その不思議な構造美に魅入らされる
これを蟲になった気分というのか
それでも当の蟲たちが
花蜜を堪能するという食欲以外の愉しさを
はたして享受しているのかどうかうたがわしい







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Forest Aesthetics 森林美学 蛍袋

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               ...                                           © Daisuke Kawai



愛らしい袋だった
蛍を入れれば
小さな燈火になると
それをふだんとは異なる角度から覗き込んでみる
すると妖怪がこちらを見ていた
ぎょっとした
されど見入ってしまった

この妖しげな紅い斑点に魅かれ導かれて
いろいろな蟲たちがこの袋を訪れるのだろう

出口のない袋小路なのに
どこかへ通じているようにも思われてくる




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Forest Aesthetics 森林美学 脱殻

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               ...                                           © Daisuke Kawai



すでに生命の本体が脱け出たあとの
文字通りの「脱け殻」であるというのに
この触れればすぐに毀れてしまいそうな
あまりもはかなげな透明感ときたらどうだ

あたりで喧しく鳴き騒いでいる蝉たちにも
こういう頃があったのだ

過去の記憶をとどめた脱殻にこそ美を感じるのは
思い出を尊ぶ心理につながるものなのであろうか




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Forest Aesthetics 森林美学 菌の花

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               ...                                           © Daisuke Kawai





うずたかく積もった落葉の布団を
やわらかな土壌に還す菌の花には
実にいろいろなかたちがある
地味ではあるが愛らしい
頭巾を被ったきのこに逢った






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Forest Aesthetics 森林美学 落葉

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底の落葉が
その日最後の残光をはらんで
ふっくらとふくらんでいるように見えた
硬いブナの落葉が
ほんのすこしやわらかくなったように思えた

岩の風化の歳月と
葉の朽ちる時間との
圧倒的なちがいを思いはするが
時間軸のちがいというだけで
どちらも永劫に同じというわけにはいくまい




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Forest Aesthetics 森林美学 モアイは語る

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               ...                                           © Daisuke Kawai



イースター島のモアイは
文化人類史学的に
いろいろなことを語っていると思う

こちら岩崖で見いだしたモアイは
人類が築いたオブジェではないものの
やはり実にいろいろなことを物語っている

そもそも岩の造形に美を感じるという
ヒトの視点こそが芸術であり

蒼然とした岩肌に無機の美を感じ
そこに生きる地衣類や蘚苔類
そして樹木に有機の美を観取する

この渾然一体の美の世界観こそ
自然史を読むことの醍醐味であろう








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Forest Aesthetics 森林美学 岩肌の美

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               ...                                           © Daisuke Kawai





岩肌の美に目を向ける人は少ない
冷たい感じのする無機物だからだろうか
森の底の,そのさらに底には
土や岩の世界がある

地熱,という言葉がある
無機的な気がしない
むしろ鉱物やミネラルと共に
生命の源をささえる恵みの言葉だと思う

そういうことを忘れて
森の美を讃えてもつまらない

森の底でこんこんと湧く滋養の水は
はたして森の土壌がつくるものだが
その下に広がる岩盤というベースがなければ成立しない

鉱石からの恵み
それが泉や水源への信仰へとつながる
そしてそれはそのまま
一見冷徹な岩肌への
篤い敬いとなる






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Forest Aesthetics 森林美学 樹の時間

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ブナの巨木に魅せられて
そればかりを撮り歩いていた頃があった

ながいながい歳月
風雪に耐えぬいてきたのであろう
威風堂々とした立姿と
美しいフォルム
そんなものにあこがれていた

あきてしまったなどというわけでもないが
いつのまにかそういうことをしなくなった

そのかわりというわけでもないが
いつの頃からか
みっしりと苔むした樹ばかりを撮るようになった
そこにもまた歳月という時間がある

それは樹の時間だ
樹が過ごしてきた時間である
苔むした緑の幹から感じる時間である
そういう意味では
威風堂々とした立姿や美しいフォルムにだって
それはじゅうぶんに感ぜられることではあるが

苔をみっしりと身にまとった樹の時間
なにか格別のものという気がするのだ









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Forest Aesthetics 森林美学 頭上の蟻

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               ...                                           © Daisuke Kawai



蟻という蟲を視るおのれの立ち位置は
いつも眼下であると
そんなふうに思い込んでいたのである

実は,頭の上でも蟲は蠢いていたのである
ふむ,これはちょっとした発見であるなと
そんなふうにやけに感心してしまったのだ









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Forest Aesthetics 森林美学 蜉蝣

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               ...                                           © Daisuke Kawai



瞑想というほどのことでもないのだけれど
ただ森の底に坐ってぼんやりしていただけのことのなのだけど
フト気づいたら目の前の笹の葉裏に
水生昆虫の成虫がひとつぶらさがっていた
端正で,美しいフォルムだ
地味な色あいだけれども,そこがまたいい
ピンと張った触覚や
翅の網目模様や
しなやかに反らせたからだにすらりと長い尾
ニンフというよりは
女王の風格すらある
ちょっとした宝物を見つけた気分だ

はかないもの
かそけきもの
めぐりあいであるとか
運のよしあしであるとか
そんなあいまいとしたことを思った









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Forest Aesthetics 森林美学 森の径

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               ...                                           © Daisuke Kawai




こういう感じの森の径が好きだ

ほてほてと
どこまでも歩きたくなってしまう

道なき道を果敢に進む,というのは気が重い
人をいざなう感じのする,おだやかな森の径が好きだ











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Forest Aesthetics 森林美学 南国の鳥

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               ...                                           © Daisuke Kawai




鳥の図鑑が好きで
よく眺めている

こんな綺麗な鳥が本当にいるのかと
感心するほど美しいものもいる

そういうものが
不意に目の前に現れることがある
たいていは
森の底でじっとしている時である

緑陰にまぎれて,全貌はよく見えないが
それだけに秘密めいて魅惑的である

目のまわりが青い鳥である
顔が真黒なので,よほど目立つ

背の微細な羽毛は
濃いパープルに輝いている

どう見ても南国を想わせる色彩の鳥である
どこか幻想的である

鳥の図鑑でいつも眺めていた紙上の存在が
ついと現実の存在となる

どきどきする
妖しく美しいものには
いろいろな秘密があるような気がする

南国の森の鳥がいるこの北国の森は
南国をも包括している世界なのかとか

いや南国の森の鳥が棲むこの北国の森は
南国のさいはてに位置しているのかとか

堪能すべき美を前にして
どうしてこんなどうでもよいことばかり
頭をぐるぐるめぐるのだろう






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Forest Aesthetics 森林美学 毀れた卵

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底に
毀れた卵殻が
ぽつんとひとつきり
落ちていた

このひとつの小さな卵が産まれるまでに
どれほどのドラマがあったのだろう

このひとつの小さな卵が毀れるまでに
どれほどのドラマがあったのか

森とは,無限の生と死の坩堝である
あえなく毀れた卵の殻が
それを静かに物語っている







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Forest Aesthetics 森林美学 落ちた鷹

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               ...                                           © Daisuke Kawai



森の底にうずくまっていた
この白い鷹の姿を目にした時には
本当におどろいた

ミサゴというこの鷹は
水際に棲む鳥である
魚を食べる猛禽類である

ふだんは海岸,大きな川にいる
森に姿を見せる場合は
川幅のある渓流や
大きな湖などのそばである

それがなにゆえに
高木の連立する森の底で
こんなふうに雌伏しているのか

ああ,近くには川が流れている
その川の源は巨きな湖である

そこに棲んでいるものが
なにかのアクシデントで森の底に落ちたのだろう

眼の光が死んでいない
羽衣も美しくつやめいている
近づいても,さほどおそれるふうもなく
素知らぬ顔である

きっとまだ若い鳥なのだろう
それにしてはなかなかの肝ッ玉である









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Forest Aesthetics 森林美学 鷹

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               ...                                           © Daisuke Kawai




森をぬけたところで
頭上からの視線を感じた

見上げると鷹が舞っている
空に浮かび,こちらを睥睨している

オオタカと呼ばれる
実にスタイリッシュな猛禽類である

なんという美しいフォルムだろう
鷹狩の際,殿様が最も愛した鷹である

この姿に孤高の美を感じるのは
なにも武将だけでもあるまい

深山幽谷の森に棲む珍しい鳥かと思われがちだが
むしろ耕地の防風林や雑木林など
人の生活圏に近い「森のかけら」で出逢える機会が多い

されど木々のあいまを潜行するように飛び動くから
そうそう目につくわけでもない

森の鷹の美を堪能するには
近隣のちょっとした森や林の
その梢あたりをただじっと見つめながら
ひたすらに待つのがよかろう

むかし,そんな仕事をしていたことがある
鷹を待つ仕事である

そんな仕事があるものかと思う人もいるだろうが
そういう仕事があるのである

世の中にはいろいろな仕事があるものだ

いたって呑気な仕事のようだが
わたしには長くつとまらなかった

あくまで個人的嗜好としてだが
待って見る喜びよりも
偶然の出逢いの喜びの方に重きを置いてしまう

待ってまで見るほどの
待ちわびるほどの
そこまでの情熱を対象に持てないのだろう

待つという行為を伴っても対峙したいと思う
そんな相手が自分にはあるかと問うてみる

こころもとない
待てない
待つほどのことはない,とすぐに思ってしまう

そのくせに
正体のよくわからないなにかを
もうずっと待っているような気もする




















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Forest Aesthetics 森林美学 草の美

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               ...                                           © Daisuke Kawai



麗しい緑に染められた
夏草のデザインを
眺めているうち
こんなことを想った

自然に対する
「観察」
「観賞」
「観想」
という態度
それは自然というものを知覚し
そして思考する人間からのまなざしそのものである

それはやがて
目に見えぬ聖なるものをも探り出し
畏敬という想念を生む

それはやがて
森の底で蠢くものどもが
宇宙的に融和していく原初性をも見いだしていく

森羅万象へと向ける深く広いまなざしは
それゆえに,どこか宗教的なものとなる

その表出の一端が
きっとアートと呼ばれるものだろう
自然の模倣を,人工的創造へと
感性的・技術的に転換する瞬間である

アートとは,その元素となった自然を
改めて批評的に観察することを
つよく促す力を秘めたものでなくてはならない




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Forest Aesthetics 森林美学 夏草

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               ...                                           © Daisuke Kawai




自然と向きあう,というと
とかく人間に対する巨きな存在としての自然が想定される
日常ではなかなか遭遇することも接点を持つこともない
いわばふだんの暮らしとは対極に位置する行為として

だが冒険や探検やサバイバルを通さなければ
人は自身の身体および精神に攪乱を及ぼすような
根深い自然体験ができないかといえば
実はそうでもないのではないか

むしろ自然体験を特殊なものとしてカテゴライズすることで
自分の日常から遠く離れた,まず無関係なものとして考える
そうした思考の癖がついているだけなのではないか

森の底に繁茂する
名も知らない(名もなき,ではない)草を観察する
ただの草である
よくある草である
なんの価値も魅力もない草である
そういう既成の概念を
いちどクリアするということは
想うほどには容易でもないにせよ
観賞する・観想するといった行為を通し
やがてある種の精神性・身体性がともなってくることがある
そういう試みを,人は身近な場所でも行うことが可能である

もちろん巨大な山岳,大原生林,大河,大海原を
日常のつながりとしての事象として身体感覚でもって捉え
それをひたひたと実感することなどできない

しかし小さなとるにたらない自然の一端が
どこかに,なにかにつながっているという
不思議な端緒の実感というものは
案外なところで口を開けていることがある

そんなふうに想わせる小景というものが,確かに在る





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Forest Aesthetics 森林美学 樹花と虫

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               ...                                           © Daisuke Kawai



オオバクロモジという
ブナの森の常連ともいうべき低木に咲いた
クリーム色の地味だけれど可憐な花に
どこからともなく羽虫がやってきた

ただそれだけのことなのに
その光景が妙に心に焼きついてしまう

ほのかな木洩陽をはらむように
うすぼんやりと輝く花の姿だけであったなら
こんなにも視点がさだまったろうか

ひとは
あるものとあるものの「関係」に
心魅かれるのかもしれない










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Forest Aesthetics 森林美学 傘の下

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               ...                                           © Daisuke Kawai



柄が二本あるが
傘の部分がひとつに融合している
不思議なかたちのきのこがあった

下からのぞきこんでみると
それぞれの白い柄に
ひとつずつ黒い蟲がついていた

傘はひとつだが柄は二本あるのだから
蟲が二頭いたっていいわけだ










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Forest Aesthetics 森林美学 渦蜘蛛の巣

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               ...                                           © Daisuke Kawai




ずいぶん変わったデザインの蜘蛛の巣だと思い
きっと珍しいものだろうと思っていたら
どうやらそうでもないらしい

渦巻状の巣を張るので渦蜘蛛というのである
蜘蛛は渦の中央でじっとしていて目立たない

普通の蜘蛛の巣にも幾何学的な魅力を感じているのだが
渦蜘蛛の巣にはよりアーティスティックな様式美がある

蜘蛛が芸術的であろうとしているのかどうか
そんなことはわからないし,おそらくそうではないのだろうが
あまりのオリジナリティと
あまりの精密さに舌を巻く

生きる糧を得るためのものが
結果的に芸術的であると感じ入る
それが人に独自の感覚なのだといいきれる根拠はあるのだろうか














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Forest Aesthetics 森林美学 草鞋虫

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               ...                                           © Daisuke Kawai



草鞋虫と団子虫というのがいるのだが
それらのちがいがよくわかっていない
こいつはたぶん草鞋虫と呼ばれる方だ
霧の森ではこんなものにもよく出逢う

植木鉢を持ち上げると,ごそごそしている
古い木造のアパートずまいだったころには
廊下や壁をよくごぞごぞしていた気もする

庭や家屋で目にする時の印象とは
ちょっとちがってみえるのだから
相手の陣地にいるせいもあるのか

こういう生きものも,森にはいる
どういう生きものがいたってよい





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