内田洋一さんの「危機と劇場」である。通勤中に読んでいた本で、先週読み終わった。昨年、出版された本で、東日本大震災後の演劇について述べられている。内田さん本人は、神戸に住んでいて阪神淡路大震災を経験した人だ。
大学院の授業で公共ホールや劇場について講義しているので、タイトルだけで、なんとなく注文したが、いろいろと考えさせられる深い本であった。太田省吾、井上ひさし、蜷川幸雄、寺山修司など懐かしい名前もたくさん出てくる。まだ、現役の野田秀樹や別役実についても述べられている。
第1章の最初「心の復興のためのヴィジョン」に出てくる阪神淡路大震災のときの体験談が良い。でも、ここでは敢えて、あとがきで述べられている最初の言葉を記しておく。
「過去は未来である。なぜなら、破局は必ずやってくるものだから。この地上に新しいできごとはなにもない、そうであればこそ言葉を、劇を信じたいのである。」
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