今年の読書(123)『まんまこと』畠中恵(文春文庫)
11月
14日
若い頃は親も自慢の才気あふれる若者でしたが、16歳を境に突然お気楽な極楽とんぼの生活が始まりました。
同じ古名主の跡取り息子でもあり幼馴染の<八木清十郎>や、今は同心見習いをしている<相馬吉五郎>たちを中心に遊んでいますが、町名主ともなると支配町の揉め事をまとめるという役目が背負わされています。
心の奥に、二歳年上の幼馴染であり、今は<清十郎>の義母となっている<お有由>の面影がちらついているのですが、このことが横線となりながら物語は続いて行きます。
本書には6編が収められていますが、挙式以前に身ごもった娘さん、万年青の盆栽をめぐる争い、隠し子騒動、<清十郎>の義弟の誘拐事件等、自分の支配町で起こる何事件を、<麻之助>を中心に<清十郎>や<吉五郎>達が大岡裁きにも似た活躍で治めてゆきます。
心温まる江戸市井の人情味と、<麻之助>の<お有由>への淡い恋心が揺れ動くせつなさが、胸に残る一冊でした。
投稿日 2012-11-20 02:06
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2012-11-20 18:21
ワオ!と言っているユーザー