カツラ(桂);
雌雄異株でフサザクラやツノハシバミの様に雄花は赤い花穂をつけるが、先端から枯れる。
カツラは日本全土に分布するが、 ブナ と同じく関東より北の冷温帯に多い。
山地の湿った谷沿いなどに自生が多いが、神社などに植栽されているものも多い。
樹高が30mを超え、天然記念物に指定されている樹も各地に多々ある。
中でも兵庫県の糸井の大カツラは樹齢2000年と推定されている。
古くなると周囲に孫生えが出て太くなり、主幹が空洞になっても枯れない。
山形県にある権現山の大カツラと地蔵鞍の大カツラは全周が約20mもある。
樹幹は直立、幹は暗灰褐色、樹皮は縦に浅く割目が入り老木では薄く剥がれる。
葉は、長さ5cm前後の丸いハート形が特徴的であり、長枝では対生する。
次の年に長枝の葉腋から生えた短枝に1枚の葉が付く。
4月頃、葉が出る前に葉腋に小さな花をつける。花弁も萼もなく基部は苞に包まれる。
雄花には、多数の雄蕊があり、葯は淡紅色。雌花は3~5個の雌蕊で柱頭は糸状で淡紅色。
秋にカツラの木のそばを通ると、心形(ハート形)の落ち葉から甘い香りがしてくる。
(カツラの葉に含まれるマルトールという香気成分による)
この香りは新鮮な葉からはせず、乾燥させた葉から放出されることが分かっている。
秋のカツラの木の下で、甘い香りを感受することは楽しいものである。
『古事記』の海幸彦・山幸彦の伝説の中に、「其れ綿津見神(わたつみのかみ)の宮ぞ。
其の神の御門に到りましなば、傍の井の上に湯津(ゆつ)香木有らむ。云々」とあり、
註して「香木を訓みて加都良(かつら)と云ふ。木なり」と記述がある。
材質が美しく加工し易いので建築材、家具、楽器、彫刻などと用途が広い。
トサミズキ(土佐水木) ;
公園や庭によく植えられているが、日本固有種で高知市附近だけに自生するミズキ。
蛇紋岩地帯や石灰岩地などのやせ山に自生している落葉低木で高さ2-4mになる。
ヒュウガミズキと比べ枝が太い。葉は長さ5-10cmで互生、葉裏や葉柄などに毛が多い。
葉の出る前に花序に淡黄色の花を7~8個つけ下垂する。花弁は5個で長さ7mmのへら形。
花色は、黄色で長さ約1㎝。雄蕊は5個、花弁より長く、雄蕊が突き出る。葯は暗赤色。
準絶滅危惧 (NT) 『和漢三才図会』(1713)に土佐美豆木とある。興味深い。
「令和参年(皇紀2681年)3月26日、記」