※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
クロヤツシロラン(黒八代蘭) ラン科(Orchidaceaeオニノヤガラ属)
10月2日、泉の森を散策していて、クロヤツシロランの花を漸く見つけた。
林床と同色系で遠目だと地味なキノコの様に見える。
花・正面から撮るのは、足場が悪く骨が折れる。
菌従属栄養植物、いわゆる腐生ランでまったく葉緑素を待たない。
竹、杉、常緑広葉樹の純林やこれらの混成林の湿気ある場所を好む。
地上の茎は高さ3cm以下、上部に1~8個の花をロゼット状につけ花は平開する。
果実期になると花柄が急速に伸び、高さが40cm程になるものもある由。
花期は、 9~10月だが開花期間が短いと見え機会を逸しやすい。
ハルザキヤツシロラン,アキザキヤツシロラン及びクロヤツシロランと種類がある。
1981年に、澤完氏(高知大学)により新種として発表された。
それ以前は、アキザキヤツシロランと区別されていなかったようである。
1991年発行の「野生ラン」には、
「神奈川県と高知県のスギとモウソウチクの混生林下に生えているのが確かめられている」とあるが、
今は、九州、四国、本州の各所で自生が確認され、分布域はアキザキヤツシロランを超えた!!
昨年の11月に偶然、20cm近い柄の果実を数本見つけた(泉の森)。
今年の9月から花が地上に現れるのを度々探しに行ったが、漸く花を確認できた。
花は、地表すれすれ落ち葉にくっつくほど背丈であった。
タネを広く遠くへ運んでもらうべく、結実すると花柄の部分が伸びる。。。自然界の妙だ。
今年の泉の森探訪でかなりの広範囲に生育していることを検証できたこと、驚きであった。
アキザキヤツシロランとクロヤツシロランの見分け方;
クロヤツシロランとアキザキヤツシロランは花の咲く時期は同じ。
アキザキヤツシロランは竹林以外ではあまり見られないらしい!!
クロヤツシロランの自生地は常緑広葉樹林、杉林などのほか竹林にも生えて、
アキザキヤツシロランと隣り合わせに花を咲かせていることもあると聞く。
1980年に新種として黒八代蘭が発表される迄は、両者は同じ種として扱われていた。
しかし、咲いた花を見れば簡単に見分けができる由。
黒八代蘭は殆ど平開に近い状態になる、が秋咲き八代蘭は筒状のままで平開しない。
色は、ク黒八代蘭は赤みがあり、秋咲き八代蘭には緑が入っているように見える。
決め手は、クロヤツシロランの唇弁には毛があり、肉眼でもよくよく見ればわかる。
アキザキヤツシロランにはこの毛はない。ヤツシロラン類は全て背が低く花の色も地味、
地表の色に溶け込んで、見つけるのは大変である。
結実すると花柄(花茎ではない)がぐんぐん伸びる。それ故、昨年は見つけられた。
アキザキヤツシロランとクロヤツシロランは、果実期でも違いが在ると聞いた。
果実を付けている時期の両者の違いは、第一に果実の色。
クロヤツシロランの果実は、黒っぽく見える(赤黒い)か、栗色系。
アキザキヤツシロランの方はこれに比べると白っぽく、鼠色に近いように見える。
花茎部分にしてもクロヤツシロランは花柄の出る箇所の間隔が狭いが、
アキザキヤツシロランは、この間隔が広い。しかし、個体差があり中々見極められない。
四国には、このほかにハルザキヤツシロランがある由。これは春咲き(5月中旬)。
これらの八代蘭に来るポリネータ(送粉者)は、花色ではなく臭いに惹きつけられて来る。
受粉がうまくいって受精すると、花柄が急速に伸び始めるが、花被は溶けるようになくなる。
我が両親が、里山に移植した植物や資料を検証すべく歩いている。
だが場所が移動したりして探すのが難しい。
おまけに今では、散策路が決められており目的地に行きづらい。
今年は、花を見つけることが出来た。更には周辺に広がっているのも確認できた。
クロヤツシロランは腐生植物、葉緑素をもたず、腐植質の豊富な場所に生きている。
どんな菌類とどの程度の共生あるいは寄生関係にあるかは分からないが、
葉緑素をもたない以上、菌類が分解した有機物に頼った生活をしているのは確かだ。
林の奥深いところには、色々な植物が生育してると確認できた至福の時であった。
※ ※ ※ ※ ※
「大和市泉の森2016/10/02&/4」
ワオ!と言っているユーザー
ワオ!と言っているユーザー
ワオ!と言っているユーザー